231話 雷狼の騎士VS炎龍の帝王


 もはや細けぇ探り合いなんて必要ねぇ! ここからはただ単純にどちらが強いか、それだけでいい。


「うおらぁ!」


「ぬん!」


 俺の拳がオッサンの体を捉えたと感じた瞬間に対応され防がれる。だが反撃はない……だったらこのまま奴に反撃をさせる暇なくどこまで耐えられるか勝負といこうじゃねぇか!


「オラオラオラァ!」


(獣の力が強まったことにより俊敏さと反応速度が格段に上昇している。それでもまだ我の龍鱗ドラゴンスケイルを破るには至らないが……この者の打撃は内臓に響く。受けに回っているだけでは勝機はないだろう)


 ……なんだ? オッサンの纏う空気がどこか変わったぞ。なんだかピリピリとした空気が全身に伝わってきやがるが、だからってここで引くのは男らしくねぇ! 俺の全霊を乗せた一撃で受けてやるよ!


「"一ノ型"『牙点ガテン』!」


「『剛龍拳ドラゴブロウ』!」


 『獣深化ジュウシンカ』によって身体を極限まで高めたうえでの『牙点ガテン』……だが、オッサンの拳に宿る闘気はそれすら上回り……。


「ぐあっ……!?」


 俺はそのまま勢いに吹き飛ばされ地面に叩きつけられちまった。対するオッサンは……クソっ、しっかりと二本足で地面に立ってやがる。


「ぬうっ、我が拳の衝撃とこれほどまで互角に渡り合うとは……正直、驚きを隠せぬ」


 ああそうかい。それにしちゃまだまだ余裕そうなのが余計に腹が立ってくるぜ。こっちは腕が折れそうになるほどの衝撃だったってのによ。


「しかし、我の闘気の変化を感じておきながらよく立ち向かった。その勇気は称賛に値する」


「ハッ! よく言うぜ、あのまま避けに徹してたら再起不能にしようとしてたくせに」


 あの一撃……『牙点ガテン』で威力を殺したからこの程度のダメージで済んだってとこか。避けようとしたらその一瞬を突かれ、俺はやられていたはずだ。


「呆けている場合ではないぞ若者よ」


「なっ!? いつの間に……!」


 こっちが態勢を立て直す一瞬でもう目の前まで飛んできやがった! しかも、ご丁寧に拳を振りかぶってやがるしよぉ!


「今度こそその体に叩きこんでやろう」


「そうはいくかよ! "ニノ型"『流転ルテン』……ッ!」


 体全身を使った回転力でオッサンの拳を受け流したはいいが、突きの衝撃の余波だけで内臓に響きやがる。

 ……だが! おかげで懐まで潜り込めたぜ! このまま体を掴んで技を仕掛ける!


「うおおおおお! 食らいやがれ、"五ノ型"……!」


「させぬ! 『龍翼爆走フェイブースト』、ふんっ!」


「ぬおおおおお!? こっ……の!」


 掴み技を食らわせてやるつもりが、逆に空へと飛翔されて足の踏ん張りがきかねぇ! しかも……この上昇速度による圧力のせいで腕の負担がやべぇ。

 それに、これ以上上昇されたら落っこちた時の落下ダメージでかなりの痛手を負っちまう。


「離すしかねぇか!」


「ふむ、それはよいが……この空中で我の拳を受けることができるか?」


 ヤロウ……今度は翼を広げつつ拳を構えてやがる。やっぱりそれも計算ずくかよ。しかも、すでにこっちの弱点を見抜いてやがる。確かに地ノ章は地面への踏ん張りを最大限に活かして戦う型がほとんどだからな。

 けど甘いぜオッサン! 流派『獣王流』はなにも"地"の力を借りるだけじゃねぇ!


「ゆくぞ! 『飛翔剛龍拳ドラゴフェイド』!」


「受けてやらぁ! 獣王流天ノ章、"一ノ型"『飛脚ヒキャク』!」


 空気を切り裂く俺の蹴りと、空気ごと押し潰してくるオッサンの拳がぶつかり、大気が震える。

 が、俺の体はその衝撃に耐えられなかったのか、弾かれ地面に向かって落ちていき……。


「がはっ……!」


 途中の樹木をいくつもなぎ倒してようやくその勢いが収まり、俺の体はいくつもの倒木の上に収まっていた。


「ちっ……クショウ! ここまで力の差があるってのかよ……」


 確かには天ノ章は地ノ章と比べて大分苦手な方ではある。ムゲンとの特訓でようやくすべての型はカタチにできたが、完全に会得したとは言い難いからな。

 だが、あのオッサンの力は……天ノ章を完璧に会得していたとしても届かねぇ領域にいやがる。


「どうした若者よ、これでお終いか」


「いや……まだだ」


 だけど、まだ終れねぇ。終わるわけにはいかねぇ!


 俺は……強くなったと思ってた。いや、実際に強くなったんだ……故郷の村でくすぶっていたあの頃よりはずっと。けどよ、それでいい気になって、親父の復讐だなんだのとすべてが叶うと粋がってた……。

 だが俺は弱かった……この程度の強さを得たくらいでなんでも叶うなんて勘違いしててよ。"真の強さ"を持つ存在を目の当たりにして……ようやくそれを理解したぜ。


「……なあオッサン。あんたには、どうしても答えの出ない悩みや、どうしようもない不安があるか?」


「ある!」


 気持ちいいくらいの即答に質問してるこっちの方が馬鹿らしくなって笑いがこみあげてくるぜ。でも俺自身、その答えが返ってくることは大方予想がついてたさ。だってあんたは……。


「だが、我はそれを恐れはしない。答えが見つからないなら探せばよい。それでも見つからなければ自ら作り出せばよい! 不安がついて回るなら歩み続けれよい。それでも不安ならば共に歩めばよい……不安を打ち明けられる友愛なる者とな」


「ああ、まったくその通りだ」


 あんたは"真の強者"だ。だからこそ俺はその力を超えたいと思ってる。きっとその先に、悩みも不安も乗り越えられる真の強さがあるはずだから。


「……」


「やっと剣を抜いたか。ただの見せかけかとも思ったが……どうやら違うようだな」


 本来、獣王流に剣を使う技は存在しない。俺は今まで何度か剣技に応用してはきたが、どれも本家の技との差異のないパッとしないもんしかできなかったしな。

 『獣王流』は拳を使った体術であり、その根底は覆せねぇ。だからこそ俺は剣を使わずに元来の手法である拳による獣王流皆伝を目指した……けどよ、その目標もあっさり打ち砕かれちまった。

 この大陸に来るまでの道中、魔導師ギルド本部で幻影に見せてもらったの目の当たりにして俺は実感したんだ。


(俺には無理だ……)


 ってな……実力が足らないからじゃない、体のつくりから根本的に無理だと悟っちまった。だから俺は、今の強さに満足しちまってたんだろうよ。

 これ以上強くなれない俺は前に進むこともできない……なんて自分を閉じ込めちまって……。


(だがよ、そんな弱い自分とはここでサヨナラだ)


 剣を構え、精神を集中させる。今から俺が使おうとしている剣技は、獣王流の要素を応用したものだ。だが……これは俺のオリジナルじゃない。

 俺は、自分の家の中から獣王流の奥義書を見つけた際、同時に別の手記も発見していた。それは、俺のよく知るきったねぇ字で書かれていたある騎士の書き残したもの。


 そこに書かれていた内容は……。


「『獣人剣技』……」


 俺と同じように獣王流の皆伝を断念した手記の主は、それでも諦めずにある一つの可能性を考案していた。獣王流最強の型である『俺様ノ章』を剣技として新たに生まれ変わらせる方法を。


「それが貴殿の"答え"か……若者よ」


「いいや違ぇな。この一撃こそが始まりだ」


 俺が真の"答え"を見つけるための始まりであり、今までの過去をすべて背負っていくという意思の表れ。


「良い覚悟だ。ならば、我も全力で応えねばなるまいな」


 オッサンの体が赤い光を放つと、そこにはさっきまでの人型の姿はなく……。


「へっ、それが本来の姿ってか」



「貴殿を誇り高き戦士と認め名乗ろう。我が名はアポロニクス・タキオン・ギャラクシア、新たな時代を切り開く龍の王である」


「悪ぃが、俺は戦士じゃねぇよ。アレス王国第三騎士団副隊長、カロフ・カエストスだ。覚えとけよオッサン」



 空気が……かつてないほど荒ぶってやがる。俺達の闘気がぶつかり合って、まるで大陸全体を覆っていくかのように強く、強く広がっていく。

 勝負は一瞬で決まる……この一撃で!


「『龍王拳エンドオブドラゴニス』!」


「獣人剣技、"一ノ型"『バクリュウケン』!」


 ぶつかり合う……純粋な力と力が……。もはや何も考える必要はない。ただすべてを込めて、すべてをかけて……進めばいい。


 俺の剣が砕けていく。俺の腕が未熟なせいでもあるが、この衝撃に耐えられず形を留めていることができなかったんだな。


 視界が光に包まれていく。そのまま俺の意識はどこかに飛んで……なんだかよくわからねぇ光景を見た。

 あれは……そうだ、幻影で見た獣王流を生み出した奴だ。そして、それと対峙してるのは……龍族の剣士か? へっ、まるで今の俺達と正反対な状況だな。


 そいつらはお互いに互角で、とてもいい勝負をしていた。まったく、こっちは一方的だったってのに……。でも、俺もきっといつか、そのぐらい強く……。



「カハッ……!?」



 目が覚めると、俺は大木を背に腰を下ろした状態でうなだれていた。そして、視界の先にはオッサンが仁王立ちでこっちを眺めてやがる。

 つまり、この状況が意味することは……。


「俺の……負けってことか」


 結局、俺は何も得ることができなかったってことだ。まったく、情けねぇったらありゃしねぇ。


「好きにしろよ……俺はもう動けねぇ」


「そうか、ならば遠慮なく……」



「二人とも、そこまでよ」

ヒュウッ……ガシャアン!



「……!? こいつは!」


 それは、オッサンが俺に近づこうとした瞬間だった。突如冷たい空気が俺達の間を通り抜けたと思うと、その上空から巨大な氷柱がオッサンの動きを抑止するように落ちてきやがった。


「大丈夫だネルよ。我もこれ以上この者に危害を加えるつもりはない」


「わたしだってそんなことは思ってないわよ。ただアポロに任せるとおかしな方向に話が進みそうだから止めただけ」


「む、むぅ……相変わらず手厳しいな。だが! それも愛ゆえということだな! ハッハッハ!」


「わかったから……初対面の人の前であんまり恥ずかしいこと言わないで」


 な、なんだぁ? 急に現れたこの女とオッサンは知り合いなのか?

何か反応してぇとこだがもう体が動かねぇ……。


「カロフ! 大丈夫!?」


「は!? あ!? リィナ!? なんでここに……」


 俺にはまったく関係ない話かと思っていた矢先にあの女と同行するような形でリィナ、それに後からお嬢さんやカトレアまでやってきたぞ。

 ど、どうなってやがんだいったい?


「しっかりしなさいカロフ! 傷は浅いですわよ!」


「いえお嬢様。確かに命にかかわるような外傷はありませんが、見ての通り傷は決して浅くはないでしょう」


「カトレアさん、なに冷静に分析してるんですか! 龍妃様、お話の前にまずは彼の手当てさせてください」


 人がぐったりしてる横であんま騒がないでくれよ……。ん? ってかちょっと待て、今リィナはあの女のことを"龍妃"って言わなかったか?


「それなら心配いらないわ。アクラス! どうせ見てるんだからとっとと出てきなさい!」


「誰ですの?」


「さぁ……この辺りには私達以外見当たらないけど……」


 確かに、俺達以外に第三者がいる気配もねぇのに誰を呼んだってんだ。それも空に向かっ呼びかけるなんて、まるで空からやってくるかのような……。


ザッパーン!

「ハッハハーイ! 呼ばれて飛び出てワンダホー! 事情はぜーんぶ把握してるよミネルヴァっち! まったくアポロもそこの獣人くんも派手にやってくれたよネー。おかげでこの周辺の魔物や精霊みーんな怯えてエスケープっちゃったヨー」


 な、なんだぁ!? 当然上空に水の塊が集まったと思ったら、盛大にはじけ飛んで中からまた変な奴が現れやがった。


「アクラス、そういうのはいいから先に彼を助けてあげて」


「わかってるってバ。相変わらずミネルヴァっちはお堅いネー」


「え、えっと……いったい何を始めるんですか」


「まぁ見てて。少し離れてた方がいいかもね」


 お、おい……結局何をしでかすつもりなんだよ。ふわふわ浮かぶ水の男が周囲に水を浮かべて……なんかこっち見て笑ってんぞ!


「ハーイ、それじゃお口にチョット失礼するヨー……。そーれッ!」


 周囲に浮かんでた水の色が緑や紫色に変化したと思うと、次の瞬間には流水になって俺の口に真っ直ぐ向かってきやがっ……!


「ちょま……ゴボォ!?」


 きょ、強制的に飲まされて……息ができねぇ。それに、なんか七色のへんてこな味が口いっぱいに広がって……。


「ちょ、ちょっとそこの上半身裸の変態! カロフになんてことしますのよ!」


「変態とは心外ダナー。ミーはただ彼の治療をしてるだけサ」


「で、でも、カロフはあんなに苦しそうに……」


 いや、確かに最初は苦しかったんだが。なんつーか、水が体に浸透していくたびに体が軽くなってる。口の中の何とも言えねぇ苦みはそのまんまだけどよ。


「プハッ!? リィナもお嬢さんも落ち着いてくれ。なんかマジに治っちまったみてぇだからよ」


「カロフ! よかった……」


「本当に大丈夫ですの? あんな得体のしれないものを飲んで」


「ああ、おかげさまで体はすっかり元気になっちまったぜ。すっげぇ不味かったけどな」


 ホント、あの味の悪ささえなけりゃ完璧な回復効果だ。


「生命力を回復させる魔力と、その他もろもろ体にベストな成分をミーの水源操作で即効性もアップさせたからネ。あ、でも味が悪かったってことは……ソーリー、どうやらフレーバーをミステイクしちゃったみたいだネー」


 このヤロウ……だったら最初から変に味付けするんじゃねぇよ。

 とまぁなにはともあれ、俺が元気になったのはいいんだが問題は……。


「なぁリィナ、さっきそこの女を"龍妃"っつってたけど……」


「もう、失礼だよカロフ。この人こそ、私達の探していた龍皇帝国の龍帝様なんだよ。カロフと別れてすぐの村で早速出会っちゃったの」


 マジか……そういやよく見りゃあの酔っ払い女が言ってた龍妃の印をつけてやがるな。見た目は本当にただの人族だってのに不思議なもんだ。


「別にそんな偉いものでもないわよ。わたしのことも別にミネルヴァって呼んでもらって構わないわ。それにしても……うちの夫が迷惑かけたわね、ごめんなさい」


「い、いえいえ! カロフにも何か事情があったみたいですし。ほら、カロフも何か言って……」


「いや何かって言われてもよ……」


 そもそも俺とオッサンはなんで争ってたんだっけか? ……ってそうだ、俺達はもともとあの逃げてきた魔導師をかけて争ってたんじゃねぇか!


「そういやあの魔導師どこいきやがった!」


「魔導師? ああハウザーのことね。あいつならさっき逃げようとしてたところをわたし達が捕まえて送還するよう手をまわしておいたわ」


 そうか、せっかく手がかりを見つけたと思ったのに……って待てよ? そもそも龍妃がここにいるんだから別にあの魔導師にはもう要はねぇんだよな。

 それにこの龍妃、ミネルヴァだったか? さっきオッサンのことを"夫"だとか言ってなかったか?


「……え、まさかあのオッサンってもしかして龍帝なのか」


「え!? まさかカロフ気づいてなかったの!?」


「あんなわかりやすい姿をしてるんですから普通はわかると思いますのよ……」


 おお、そういやよく見りゃ龍じゃねぇかあのオッサン! なんつーか、戦ってるときは集中しすぎてそれにか頭に入ってこないせいでまったく気にしてなかったぜ。


「うむ! なんだかよくわからんがすべてが丸く収まったということだな!」


「だな! ……じゃないでしょう! そもそもはアポロの勘違いが原因じゃない! なんでもっと穏便に解決できないのあんたは!」


「ぬ、ぬぅ……しかしネルよ、彼もなかなか見どころのある若者で、我も一人の戦士として純粋に手合わせしたくなったというか……。そうだ! いっそのこと彼を我が龍皇帝国の防衛隊にスカウトしてみるのはどうだろう。いい案だと我は思うのだ……」


「話を逸らさない! いい、今度ばかりはちゃんと反省しなさい!」


 なんか俺らそっちのけで痴話げんかが始まっちまったぞおい。あんなに強かったオッサンも嫁さんの前にゃ形無しとは……どうして男ってのは惚れた女にゃ弱腰になっちまうのかね。


「しかし、あたなもよくスカウトされる男ですのね」


「そうだね、なんだかディーオ陛下を思い出しすかな」


 ったく、俺はどうあろうと自分の故郷のために働く一介の騎士だっての。

 ま、それはさておきだ……。


「なぁオッサンよ、反省させられてるとこわりぃが……そろそろ本題に入ろうぜ」




 俺達はようやく、世界の危機を乗り越えるためにオッサン達の力を借りたいこと、大陸の協定の事情を説明して……あとは何日かかろうと答えを待つ。と、思ったんだが。


「なんと! 盟友が我の助けを必要としてると! ならば急いで駆け付けねばなるまい。ううむこうしてはおれん、今すぐこの翼を広げて飛んでゆこうではないか!」


「バカ! 気が早すぎるわよ! ま、わたしもあいつには恩があるから協力は受け入れるわ」


 なんかあっさりと受け入れられちまった。もうちょっとこじれるかと思ったがムゲンの名前を出したとたんにこれだからな。あいついったい何したんだよ?


「しかし、龍帝と龍妃であるお二人が国を留守にして大丈夫なんでしょうか」


「別に構わないわよ。国といっても小さな村みたいなものだし、ないんかあったらアポロなら飛んで駆け付けられるでしょ」


「確かに、オッサンの飛ぶスピード早えからな」


 昔読んだおとぎ話の絵本じゃ、『龍族はその翼で簡単に世界を飛び回った』ってのを噓っぱちだなんて思いながら読んでたが……あながち間違ってねぇ気がするぜ。


「そうね……もう少しこの大陸でやらなきゃいけないことを済ましたらすぐにでも向かえるわ。国のことはあなた達の使者と、アクラスとユリカさんに任せるわ。……任せるのには不安な二人だけど」


「もーミネルヴァっちったラー! もっとミー達を信頼してヨー!」


 いや部外者の俺から見ても不安だろ、あんたとあの酔っ払い女に任せるのは。ヴォリンレクスの使者のやつら……頑張って対処しろよ。


「うむ! では向かう際には我の翼ですぐにそのヴォリンレクス帝国とやらに出発しようではないか。我もこの大陸を出るのは初めてだからなかなか楽しみではあるな! ハッハッハ!」


「あの……あまり目立つのは避けたいのでどうか地上を進む方向でお願いします」


 しっかし、なんだか今回は精神的にどっと疲れた気がするぜ。まぁでも、俺の中のモヤモヤもちったぁ収まったみてぇだし……。

 ただ、オッサンとの勝負に負けたのはちと心残りだけどな。


「今回の任務は、これにて完了……ってか」


 こうして俺達は無事、龍帝のオッサンアポロと、その嫁である龍妃のミネルヴァの勧誘に成功し、再びヴォリンレクス帝国へと帰還することとなる……ってこった。


 待ってろよムゲン、帰ったら今度こそテメェの言う"真実"ってのを教えてもらうからな。


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