「金髪馬鹿でも分かる! 設定解説」「誰が馬鹿よ根暗女」

街について

【ロサンゼルス】


 第一章より十年前、「魔人」混沌のディプスによって、突如として異界と化したアメリカ合衆国有数の都市。

 

 その異界への変貌は、まず街を覆うように大地からせり上がった黒檀の壁がLAを囲い込み、


 市内の富裕層、特権階級居住区を含む一部土地が空中へと「浮かび上がり」「より集まり」「一つの浮島となり」、


 更にその上空から巨大な塔のごとき一本の剣が突き刺さり、浮島と大地の構造となったことで完成した。


 更に、逃げ場をなくした大地には無数の短剣が降り注ぎ、それは人々の六割を異形の化物に変貌させた――浮島の住人たちを除いて。

 (この種族については、本章の「種族について」を参照。)


 なおこの街は合衆国からは実質的に無視のような扱いを受けており、一種の独立国家の様相を呈している。



【ハイヤーグラウンド】


 剣に突き刺された「上側」、つまり浮島の部分。ビバリーヒルズを含んだ、かつて特権階級の者たちが数多く住んでいた地区が集まって形成された場所。


 ディプスによる短剣はここには降り注がなかったため、純粋な人間だけが存在している。その情景はアンダーグラウンドと比較して一種のユートピアじみており、

一見すればまるで天国のようにさえ見えてしまう。


 しかし実際には、元々根強かった「下々の者たち」への偏見や嫌悪が十年間で加速し、熟成された結果、異常とも言えるまでのアンダーグラウンドへの蔑視が渦巻いており、「人間至上主義」がこの場所の根幹となっている。


 ディプスにより形作られたこの場所は現在、アンダー、ハイヤーを含めたLA全体の政治、経済を統括しているが、その方法論はやはりハイヤーに搾取、差別されるアンダー、という歪な構造を維持するためだけのものとなっているという現実がある。


 当然ながらそのようなハイヤーグラウンドの在り方にアンダーグラウンドの住人、特にアウトレイス達は激しい憎悪を抱いているが、表立ってハイヤーに対して

反旗を翻すことが出来ないのは、ひとえに「評議会チャプターハウス」の存在があるからであると思われる。


 「評議会チャプターハウス」とは、まさにハイヤーグラウンドを管理し、LA全体を支配する組織であり、詳細は不明であるが凄まじいまでの武力を保持しているとされている。その存在が街の「秩序」を守る限り、アンダーはハイヤーに支配され続けるのである。


 豊かな自然と美しい建造物が並ぶ空中の楽園のような世界であるが、そこにはこの街のいびつさの根幹があることを忘れてはいけない。



【アンダーグラウンド】


 剣に突き刺された「下側」。


 アウトレイスと呼ばれる異形の化け物たちが跳梁跋扈する異界。その周囲は巨大な黒檀の壁により囲まれており、ここに流れ着けば最後、決して出ることは出来ない――(一部、例外を除いて)。


 彼らの出現から十年、街は世界中でも屈指の犯罪都市と化し、日々様々な事件、事故が発生し――混沌の日常が流れ続けている。


 当然国際的な犯罪、陰謀も数多く渦巻いており、わざわざ外からこの街にやってくる犯罪組織やマフィア組織、更に貧困層の移民なども決して少なくはない模様。


 この街の治安の悪さはそのような状況に加え、人間の本能を刺激し、暴走させてしまう危険性のあるアウトレイスの力を人々が制御できず、犯罪行為などに走らせてしまうという現状が根幹にある。(それぞれの種族については「種族について」参照。)


 街が形成されて十年、人々は空に浮かぶハイヤーグラウンドからの理不尽な蔑視を浴びながら煉獄を生き続けており、変わらない運命を嘆き、憎み続けている。

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