種族について②

 種族その4、「エンゲリオ」。 「延長(Enhance)」と「福音(evangelion)」2つの意味を持つ種族ですが、これは簡単に言えば、その人間の機能の一部を活性化させるという性質を持った種族です。足が速くなったり、手が増えたり、等……。


 どのような機能が備わるかは、その個人個人の潜在的願望が大きく影響します。この種族は他の種族とは違い、アウトレイスとなったことにより精神が不安定になる可能性が大きくありません。


 そのかわり、力を強く意識し、制御する意思を持たなければ、その能力が野放図に(本人の意志とは無関係に)暴走してしまう可能性が非常に強く、油断がならないことには変わりはありません。


 第八機関のチヨ・タカナシは四肢の汗腺が異常発達したことで、発汗を「爆発」にまで高めた「孔」を各部に備えるに至りましたが、その力は彼女の剣技と合わさって比類なきものとなっています。もっとも、それも彼女自身が力と向き合い、修行を重ねてきたことによる賜物だと思われます。



 そして最後に――「ザイン」。 存在、を意味する「幻の種族」です。その能力の特性は謎めいており、一言で説明できるようなものではなさそうです。


 現在フェイとシャーリーの二名が確認されておりますが、二人共全く違った力を身につけており、共通して言えることは「超常的なチカラ」であるということ。 それはもはやカートゥーンの世界のチカラであり、他の種族とはまるで指向性が異なっています。


 とにかく言えることは、ディプスにとって特別な種族であるということ。シャーリーはこの種族に覚醒したために、ディプスの陰謀に巻き込まれています。そしてフェイは――かつては強力なチカラを身につけていたようですが、今は力を使うたびに激しい消耗に襲われるようになっています。


 シャーリーは、ディプスにとってなんなのか。かつてフェイに何があったのか。そして、「ザイン」とはそもそも何か。それは今後、作品内で明らかにされる、かもしれません。



 以上で種族の解説を終わります。 ここで言っておく必要があるのは、現在の街の混沌、治安の悪さを創り出しているのは――人間が人間でなくなってしまったという事実があるから、ということ。


 くわえて、人々からその心を制御するものがなくなってしまったからとも言えます。モロウの獣性、テロドの凶暴性――それらが、変化した人間性によって人々を犯罪行為や暴力行為などに奔らせるのです。その力を制御できないばかりに。


 そして――言っておかなければなりません。 第八機関のメンバーは皆、上記で説明してきた「種族としての衝動、欠点」と常に向き合い続けて今に至る、ということです。 彼女達がその境地に至るまで、何があったのか。 それはこの先のエピソードで次々に明らかになっていくと思います。


 読者の皆さんも、この解説を踏まえて作品を味わってみて下さい。 ひたすらに騒がしく、濃い登場人物たちがわんさと出てきますが……その内側に色々なものを抱えていると考えれば、また違った味わいが生まれてくるかもしれません。


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