【登場人物紹介】

◎南雲ヨウ陣営


南雲ヨウ(仮名)


 記憶喪失の少年。目を覚ましたタワーマンションの一室で監禁されていることに気づき、窓から見えたアルカトピア中央の“赤い月”を目指して脱出。郵便受けに入っていた『南雲陽を忘れるな』というメモ書きを頼りに、現れた追跡者を迎え討ちながら記憶を取り戻すための旅を始める。

 武器はナックルダスターであり、近接格闘を中心とした戦闘スタイル。能力は『触れたものの時間を経過させる』。

 目標に対しては最短距離を行く性格だが、同時にマイペースでもあるため、突如として暴走しがち。


ミカオ


 オオカミのディーク。宿主であるヨウに比べると常識的だが、リスクを負うことを極端に避けたり金銭への執着を見せたりする世俗的な一面も。

 彼も記憶喪失であるため、ヨウと共に監禁される以前の記憶がない。そのためか、ヨウが操る能力に奇妙な違和感を覚えている。


灰江ナオヤ


 眉月新聞の元事件記者にして、現在はアルカトピア・ジャーナルのオカルト担当記者。かつては“報道部のハイエナ”として企業や政治家の不正を糾弾していたが、とある事情から転職。過去の栄光に縋りながら、惰性でゴシップ記者を続けている。

 懇意にしている娼婦から運び屋を依頼され、帝亜建設のトンネル落盤事故にまつわる証拠品をレコード店に運んだ直後に店主の死体を発見。犯人を追跡し、ディークノアにまつわる事件に巻き込まれる。

 記憶力に優れ、一目見た物は忘れない。しかし、同時に覚えてしまうことへの苦労も抱えている。




◎追跡者陣営


□芦束製薬


芦束リク


 新進気鋭のバイオ製薬会社を1代にして立ち上げた若きCEOであり、生物研究者。対外的には冷静で太々しい経営者を演じてはいるが、プライベートは夢に向かって邁進する穏やかな青年。ミント系のタブレット菓子が好物であり、徹夜仕事やストレス環境では大量に口に含む。

 伯父であるアルベルト・ボルゾーが提唱したディークノア理論の信奉者であり、彼が立ち上げた理論の裏付けを行うことを夢見ている。

 契約したディークノアはイルカで、普段はPCやタブレットに潜んでいる。彼の能力である『未来世界で発展している技術の提供』を受け、クローン警備兵やデミ・ディークなどの開発を行った。

 スポンサーである“先生”の意向に従い、不老不死にまつわる研究を同時に行っている。そのための重要な要因である“赤い月”の解体に向け、技術提供を行ったのだが……。


周防


 芦束の大学時代の親友であり、現在は芦束製薬の経営コンサルタントを行う男。経営に不安が残る芦束を心配し、会社設立時から陰日向となって芦束の経営をサポートする。

 芦束のディークノアに関する研究については詳しくないが、彼の夢を叶えるために最大限のサポートを行うことを決意している。


ドクター根黒


 芦束製薬の第6研究棟でディークノアの管理を行っていた男。研究対象を家族のように扱うが、そのあり方にはどこか歪みがある。

 不老不死の研究にも携わっており、彼の研究アプローチは蘇生ネクロマンスである。



□人材派遣会社『ベルルム』


ジャック・ベルルム


 ベルルムの設立者である、元傭兵の男。紛争地を渡り歩いては生還してきた男であり、“死神”や“身内殺し”などの異名を持つ。

 アルカトピアの企業群では処理しきれない荒事や裏稼業を一手に引き受け、出向という形で多数の社員を潜伏させている。芦束製薬とも提携しており、代わりにデミ・ディークやクローン警備兵等の提供を受けた。

 その経歴に反して飄々とした性格であり、炎や孤独を嫌う。


ネイビィ


 ベルルムの秘書であり、組織の幹部格である女性。実務能力も高いが、対人戦闘においては関節技を得意とする組織内トップの実力を持つ。

 かつてベルルムと紛争地での決闘経験があり、勝敗がつかなかった事で組織にスカウトされた。


カワード


 ピエロ面を被った小男。組織内では新人教育及びスカウト担当で、他者の弱みを握る事で決定権を奪う交渉術を得意とする。

 物腰は丁寧だが、サディスト。独立志向が強く、組織内では派閥を率いている。

 能力は『相手の深層意識に潜む恐怖を具現化する』。


インペリウム


 通称『チャールズ・ビット』。頭部が無機質な立方体の機械であり、感情表現は声色と明滅するLEDランプ。

 ワーカホリックの気があり、出向中の草彅製作所では子会社のサーバー管理を行っていた。本人は人間嫌いのため、苦ではなかったようだ。

 組織内のIT業務を一手に引き受けており、クラッキングに関する知識も豊富。その功績を買われてか、草薙製作所本社のVR会議や兵器開発にも関わっているという噂も……。


クロム(レミニセンス)


 元ネットアイドルの引きこもり少女。組織内では数少ないオリジナル・ディークと契約している存在であるため、ベルルムからの直接スカウトによって組織入りした。

 ウミウシのディークであるワルプルとの契約において得た能力は『その土地に残った記憶を抜き出す』。戦闘においては電脳黒魔術によって召喚した機械仕掛けの黒甲冑を遠隔操作する。

 未成年のため、組織の一員を表すルーン文字はタトゥーシールである。


テンダーレイン


 帝亜建設の不祥事データ回収ミッションに参加し、灰江を襲った男。相棒であるタシターンと新薬を飲み、自らが生き残ってしまった事で精神に不調をきたし、ドラッグ中毒に。常にレインコートを着ているのが特徴的で、目の焦点は常に合わない。

 能力は『治癒能力のある雨を降らす』。本来なら負傷治療用として用いられる能力だが、彼はそれを暴行の証拠隠滅として用いる。


スカルプチャー


 ヨウの追跡ミッションに参加した男。新人ながら職務態度は良くないが、創作行為に対する熱量は他者に引けを取らない。

 能力は『彫った彫像に生命を与える』。特にゴーレムは彼の最高傑作であり、日々改良を重ねている。


ゲイザードッグ


 ヨウの追跡ミッションに参加した男。チンピラ然とした偉丈夫で運動神経が良く、ディークノア化によって強化された膂力は暴力装置めいて強い。負け犬ルーザードッグと呼ばれることを嫌うが、警察の存在に慌てて逃げるなど表の世界の癖が抜けない。

 能力は『対象を追跡できるほど強固な嗅覚』。


エンラージ


 3人でヨウを捕獲するミッションを行ったチームの1人である長身の男。直情的で喧嘩早いが、尊敬する人物には義理堅い。

 能力は『物体を拡大し、武器にする』。彼が触ればただのコインもバズソーと化す。


バルクキューブ


 3人でヨウを捕獲するミッションを行ったチームの1人である肥満体に作業服の男。3人の中ではブレイン役で、交渉などを担当する。

 能力は『触れた物体をキューブ状に整形する』。巨大な鉄塊をコマのように回転させ、敵を追尾する攻撃が得意。


ハンドレッドアイ


 3人でヨウを捕獲するミッションを行ったチームの1人である人民服の男。感情表現に乏しいが、優れた観察眼を持つ。

 能力は『視認した対象に飛び道具を追尾させ続ける』。卓越した動体視力と三次元レーダーを用いた索敵は全方位に隙がない。


タシターン


 テンダーレインの元相棒。コードネーム通り寡黙な男で、ブラックスミス社のチョッパーバイクを恋人のように扱う仕事人。

 芦束製薬から提供されたディーク能力発現のための新薬を摂取したことで死んだ半数の一人であり、その肉体はドクター根黒によって回収されたが……?


ポーラスター


 元草薙製作所本社の営業部から出向してきたサラリーマンの男。荒くれ者や猛者の多い組織内では特異なほどリスク回避の傾向が強いが、目的を達するために手段は選ばない。また、組織内では数少ない妻子持ち。

 能力は『設定した目標に到達するための行動がナビゲーションされる』。


□アルカトピア警察


須藤フミアキ


 特殊犯罪対策課の責任者を務める元ディークノアの刑事。“先生”からの勅命に従い、逃亡した被験体を捜索している。

 “赤い月”の誕生に立ち会った一人で、彼が回収したディークノアの腕は不死のクローンを研究する際にとても役に立った。一方で、『組合』のメンバーからは不穏分子として怪しまれつつある。


赤間メレオ


 “先生”子飼いの部下であり、特殊犯罪対策課で須藤の監視役を務める青年。軍服めいた黒ずくめの衣服に長身と貼り付けたような笑顔が特徴的。『ディストーション』というパンク・バンドのファンで、ライブに足繁く通う。

 神出鬼没にしてどこか浮世離れした性格で、その素性は謎に包まれている。表向きは“先生”の右腕だが、その裏には彼なりの考えがあるらしい。


“先生”


 アルカトピア警察の上層部であること以外は謎に包まれた男。老いと死を恐れているため、芦束製薬のスポンサーとして不老不死の研究をさせている。

 その素顔は仮面に覆われて知り得ないが、相対した人々に古くからの友人のような親近感を与えるらしい。


田丸


 定年間際の老刑事。『鬼の田丸』と呼ばれた名刑事で部下からの人望も熱いが、上層部に対する現場人としての反感が強いため出世はできていない。

 健啖家で、最近流行の料理も戸惑いながら完食する。引きこもりの孫には厳しくできず、距離感を図っている。


□ディークノア自治組合『太陽と林檎の会』


夕澄ライ/ミューズ


 生前の姿と記憶を取り戻した元人間にしてコウモリのディーク。髪に赤いメッシュを入れ、人間社会を堪能している。

 過去に自らを殺した存在を追い求めている。また、突如として行方をくらました宿主を忘れられず、再開することを心待ちにしている。

 武器は二丁のリボルバー。能力は『血を任意の物質に変える』。


フィリップ


 本名は『フィリップ・ランスロー』。ラルフリーズという国の貴族を父に持つが、折り合いが付かず出奔。苗字を名乗らず孤独に生きることを決意する。

 組合に入ってからは孤高を気取りながらも仲間に絆されつつあり、同時にとあるトラウマからかつての不遜な性格は鳴りを潜めた。

 武器は長剣。能力は『自分の痕跡から自分を含めた対象を複製する』。


砂海キミヒト


 かつてはマフィア組織『ヴェルディゴ一家』に所属していた元ディークノアの男。粗野で短気だが、面倒見は良い。現在の須藤を「仁義に欠ける」と敵視している。

 地下闘技場でのファイトマネーや憑依解除した宿主からせしめる形で収入を得ているため、金払いの良い日と悪い日の差が激しい。

 武器はロケットランチャー。能力は『身体を鋼鉄化する』。


因幡シュウ


 志柄木に保護される形で組合入りした元ディークノアの青年。アルビノである事とディークが見える事を理由に一族から放逐されたため、かつては『普通に生きる』ことを望んでいた。

 一見穏やかに見えるが、組合の中では最も好戦的。自発的にパトロールをし、危険なディークノアの退治を生業としている。

 武器は大鎌。能力は『物体を冷やす』。パーカーのフードを被ることで集中力を高め、高い聴力で戦うことを得意とする。


鏑矢ラミア


 志柄木と旧知の元踊り子であり、現在の組合リーダーを務める元ディークノアの女性。溜まり場であるカフェの店主も兼任しており、彼女の作るオムライスは評判が良い。

 戦闘に滅多に参加することはないが、かつて契約したヘビのディークノアの『毒物を操る』能力を活用した解毒などを得意とする。


夕澄ハクト


 ライの弟にして須藤のかつての相棒である元ディークノアの青年。現実世界における嘘や不誠実を嫌い、自らの能力を用いて暴き立てる。

 兄を殺した存在を須藤と共に調べながら、かつての相棒の変化を不審に思っている。

 能力は『対象の名前を記述することで嘘偽りない経歴を暴く』。能力発現のキーである万年筆を肌身離さず持つのにはある理由が……?


志柄木憲芳


 組合の設立者にして、かつてはライが所属していたディークノア捜査組織の指揮を取っていた老紳士。現在は故人だが、その人柄は今でも見知った人々に愛されている。

 能力は『五感を共有できる分身を任意の場所に飛ばす』。戦闘よりは情報収集に特化した能力のため、後方支援を中心に味方をサポートする。




◎その他の人物


斑鳩


 まほろば銀行の最高権力者。トラディショナルな服装と西部の言葉を身に纏う、涼やかな青年。

 アルカトピアの企業群に多額の融資をおこなっているためか、経済連合における発言権は大きい。芦束製薬の急成長を快く思っていないのは連合におけるポジション争いのためだと思われていたが……?


伊村宗治


 帝亜重工の子会社である帝亜建設の社長だった男。自社が起こしたトンネル崩落事故の遺族に金を渡して口止めしていたが、証拠を手にした何者かに脅迫され、自殺に見せかけて殺害される。

 生前に参加していた経済連合での会議では、まほろば銀行と対立姿勢を取っていた。


サディスティック・ジョー


 地下闘技場において常勝のチャンピオンだった男。元ボクサーであり、網膜剥離で引退してからも研ぎ澄まされたベアナックル・ボクシングで王位に立ち続けていた。しかし、3ヶ月前に現れた挑戦者に勝ち逃げされ、その後代替わりした王座を不戦勝で手に入れる。そのため、リベンジの機会を虎視眈々と狙いながら格下の相手に磨耗する日々を過ごしていた。

 ディークノアと化してから得た能力は、『観客からの声援が大きいほど肉体を強化する』。


東海林


 眉月新聞の事件記者を務める男。『長いものに巻かれる』ことをモットーとしており、企業や政治家相手に得たコネクションを駆使した取材を行う。

 灰江とは少なからず因縁があるようで……?


草薙


 草薙製作所の代表取締役を務める男。合理主義者で、VR会議でのアバターは初期設定の物。癖の強い各部門の部長をまとめ上げる辣腕の持ち主。


轟木


 草薙製作所、兵器開発部の部長を務める男。ヒーロー願望があり、VR会議でのアバターは筋骨隆々のスーパーヒーロー。兵器にはロマン的なギミックを搭載させたがるが、予算の都合で大抵はボツになる。


更科


 草薙製作所、先端機器開発部の部長を務める男。礼儀作法に厳しく、VR会議でのアバターは勲章を胸に付けた仁王像。根回しには慎重なタイプで、社内コンプライアンスに目を光らせている。



シスター・ルーナ


 クライスト通りで教会兼孤児院を営む女性。元はラルフリーズ出身で、移民としてアルカトピアへ移住した。

 クライスト通りの再開発によって教会が立ち退きされることになり、それを止めるために必要な資金の提供先としてカワードが現れるが……?

 能力は『目的地にたどり着くことができなくなる霧を発生させる』。


イグナーツ・ルーヴィン


 アルカトピア郊外の公営住宅をアトリエにして画家を生業にする男。中央の生活に疲れ、愛する存在であるスバルと共に絵を売る生活を続けている。

 スバルのどこか浮世離れした部分に惹かれているが、同時に「いつか自分の下を離れていくのではないか」という不安も抱えている。


スバル


 ルーヴィンが公営住宅の駐車場で拾った存在。中性的な肉体と純朴にして蠱惑的な表情を持ち、ルーヴィンの絵画のモデルになっている。

 自らを「人間じゃない」と語る彼女の正体は……?

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Lazy Moon @fox_0829

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