第3話

「とは言っても芹香さん、私たちが卒業するまで数ヵ月あるにも関わらず既に進学先が決まっているのは何故でしょう」

「推薦とAOだから」

「ではなぜ推薦とAOなのでしょう」

「大学生になったら一緒に住むため」

「そうです!!可愛くなる前に家決めて引っ越さないとダメですよね?」

「確かに…」

「家探そう」

「うん」


数週間後

「家決まって良かった…」

「この沿線で2LDKで駅から徒歩十分でこの値段って最高かよ!!!

楽しい新生活が始まりそうだ~♡ 」

「椿のそういういつも楽しそうな所大好きだよ」

「えっ何急に、気持ち悪いよ?

それにずっと一緒にいたのに今更そんなの知ってるってば~~」

「そっか…」

「もーう、どうせ『私は椿みたいに明るく生きられないし無理無理』って思ってるんでしょ?私は芹香のそういう所嫌いだよ。

家に帰ればお互いいるし、芹香に嫌な事してくるやついたら私がぶっ飛ばすから大丈夫だって!!」

「そうだよね、大学違くても家に椿いるんだもんね、頑張れる!」

「そうだ!よし、じゃあコテ買おうか」

「結局コテじゃんw」

「良いのーw行くぞー!」


数ヶ月後、私たちは卒業して4月から同居を始めた。

引越しも無事に済み、今日は入学式だ。

人混みの中、ようやくいるべき場所を見つけて座ると声をかけられた。

「えっもしかして椎名芹香ちゃん?!」

見覚えがない。誰だったかな…。

「あ、誰かわかんない?」

「ごめんなさい…」

「良いの良いの、もう結構前だからさ!

中学受験の時同じ塾だった赤坂遥だよ、改めてよろしくねっ」

「あかさかはるかちゃん…

あー!はるはるはるはるはるかでっすの遥ちゃん?!」

「えっちょっとやだ、まだそんなの覚えてる人いたんだ…?!

恥ずかしいから他の人には言わないでね?w」

「遥ちゃん可愛いから全然大丈夫だよ」

「いやいや、芹香ちゃんこそめっちゃモテてたじゃん!!モテすぎてるくらいにモテてたよ、塾の男子とか皆芹香ちゃんの事好きだったし」

「そんなの嘘だよ、皆私の事からかってるだけだと思う」

「でも見て?今もほら、あそこの男とか芹香ちゃん見てるよ??」

「え?」

チラッ

目があったのは、背の高い男の人だった。

整った顔で造形美すら感じられるけど、何かどっかで見たことあるようなないような…

「ね、今見てたでしょ?」

「なんか目はあったけど…すぐ外されたし気のせいだよ多分…」


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