第2話

 気が付いたら日付が変わっていた。そのまま床で寝てしまったせいか、体が少し痛む。今日は学校も部活も休みでよかった、この精神状態でいつも通りに振舞える自信がない。少しでも何か食べようかと思ったが、食欲がわかない。どうしてこうなってしまったのだろうか。


 いや、もう気が付いているはずだ。

 友達が教えてくれた。彼女が他の男と一緒に街を歩いていたことを。大学生っぽい人だったと、教えてくれた。

 何も言わなくていいのか。

 そう、言ってくれたが、俺は何もできなかった。彼女の口から別れを切り出させるかもしれなかったから。

 お前はそれでいいのか。

 友達から叱咤しったされたが、どうしても俺は行動することができなかった。そのツケが今来たのだろう。


 俺にとっては、彼女がそばにいるだけで嬉しかった。だけど彼女にとってはそうじゃなかったのだろう。直接的なは原因は今となっては想像の域を超えることができないけど、それがわからない時点で、どう行動しても結果は変わらなかったのだろう。

 また彼女と一緒に下校して、何でもない他愛話たわいばなしをもう一度だけでいいからしたい。落ち着いた心の奥底から、そんな願望が湧いて出てくるが、それはもう叶わないのだろう。

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