Chapter7 『いつもの朝』 7-12

***


「「行ってきま~すっ。」」


(紫苑は小さなクマのマスコットをつけた、茶色の皮鞄を持ち。 蒲公英の手を取り、

玄関を出た。)


(蒲公英は背中に、小さな鞄を背負い。 そこに白いウサギと、緑のカエルが揺れた。)


(どれも、桜の手作りだ。)


(二人の足取りの先に、青い空が広がっている。)


サアアッ


(眼下に見える、風見市の街並み。)


(向こうに薄らと光り見えるのは、遠く青い海岸線。)


(紫苑の家は、桜ヶ丘に建っていた。)


***


(丘の上の頂上、真っ白な二階建てのアパートは、並んで、同じ形の棟が二つあり。 

玄関の外には、白いアーチが掛かっていた。)


(アーチには、snow dropと文字が描かれている。)


(賃貸予定の隣の棟は、今は誰も住んでいない。)


ガチャッ


「行ってきます。」


(誠司が、白い扉を開け、玄関の外へ出た。)

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