Chapter7 『いつもの朝』 7-11

(ワイシャツに、ネクタイ姿の誠司は、明るく微笑み。 家の中でも桜に対し

とても丁寧だった。)


トコトコッ


「・・ママ、パパ、紫苑おねえちゃん、おはよう。」


(小さな足音といっしょに、奥の寝室から、小さな女の子がテーブルにやって来た。)


「おはよう蒲公英たんぽぽ。」


(紫苑は、蒲公英のコップに、ピッチャーからオレンジジュースを注いだ。)


「おはよう。」


(誠司も微笑み、蒲公英に、隣の席の椅子を引いた。)


「おはよう。 蒲公英ちゃん。」


(桜がかがんで、蒲公英の制服を整えた。)


(紺色のプリーツのワンピースは、風見ヶ丘小学校の制服だ。)


(胸元に縫いつけられたワッペンには、高校と同じ、一枚羽根の紋章と、

KAZAMIの文字が描かれていた。)


(桜は、蒲公英の襟元の、小さな赤いリボンを結びなおした。)


「かわいい? パパ。」


(蒲公英は、誠司に向かい、右側の髪にとめた、青い小鳥型の髪飾りを自慢した。)


「かわいい。 桜さんに買ってもらったの? 良かったね。」


「うん!」

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