Chapter6 『執事の本音』 6-12

「いつでも声が聞けるようにと。 お渡しになった、子豚型の盗聴器も・・。」


「お渡ししてすぐ、夏樹様が破棄されましたな。」


(橘は、話しながら。 聖を愛しむように微笑ましく見つめた。)


「そうだったな・・。」


「しかし、聖様。 あれほどの人々・・。 FOTを取り巻く、財界人。 政治家。 


権力者。 そして国の研究者の興味の対象となっているのでは。 


ご心配するお気持ちも、お察し致します。」


「ああ。 そうだろう。」


「しかし、そのように仕向けてお出でなのは、聖様ご自身でございましょう。」


(聖は立ち止まった。)


(橘は、聖の金色の瞳を穏やかに見つめていた。)


「橘・・、僕にそうはっきり言うのは、お前だけだな。」


「くっくっ。」


「FOTの任務を進めなければならないのは、僕の義務だよ。 でも、橘。


僕はどこにいても、夏っちゃんや千波ちゃんを一人にはしない。」


「それが、僕が二人とした約束だからね。」


(聖の笑顔は、朝日に煌めき、微塵の迷いもなかった。)


『義務・・、聖様。』

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