Chapter6 『執事の本音』 6-10

(門の中のローズガーデンは、聖のプライベートガーデンであり。 

聖の許可した時以外は、

施錠され、誰も入れない。)


「おはようございます。 聖様。」


「良い朝で、ございます。」


(聖が近付くと、燕尾服に身を包んだ、老紳士が。 笑顔で出迎えた。)


「おはよう、たちばな。」


(微笑む聖からは、本物のバラに負けないほど、強いバラの香水の香りがした。)


「水やりは済んでおります。」


「お寛ぎなさいますか?」


(英国紳士風の老執事は、柔らかに蓄えた白い髭の口元で微笑んだ。)


(白い髪は、少しくせづいて滑らかに流れ。 白い眉毛が優しい表情を作り。 

丸い小さな眼鏡の奥の瞳は、穏やかだった。)


(整えられた風貌と、白い手袋が、清潔感と安心感を醸し出す。 

ベテランの雰囲気がある。)


(三人の執事の中で、もっとも穏やかな物腰だったが。)


(丸眼鏡の奥の、小さな灰色の瞳は、奥に秘めた、強い力を感じさせた。)


「ありがとう。 だが、今日は戻りが遅かったから。


このまま朝食に向かうよ。」


「左様でございますか。 千波様もお待ちでございましょう。」


「橘。 今日は夏っちゃんが外出する。 結界が大分出来あがったからね。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る