Chapter6 『執事の本音』 6-6

(時雨の襟元の小さな赤いピンバッジには、FOT No.0-2と刻まれている。)


(晃は、いつもながら固すぎる自分の執事に向き合った。)


「何だ?」


「はい。 恐れながら・・。」


(時雨の黒い瞳から、晃に鋭く投げかけられる視線は。 菖蒲の持つ柔らかさを

微塵も感じさせない。)


「晃、いい加減あの馬鹿に振りまわされるのはやめろ。」


「あの馬鹿だって、本気で結界を創るつもりなら、とっくに終わっているはずだ。」


「何か企んでいる。 俺ならあいつを総司令官の座から引きずり下ろしてやる。」


「艶は、今夜もお前の帰りを待つ。 俺はお前の執事だ。」


「好きにさせてもらう。」


(時雨は、目の前の晃に向かって、一気に言った。)


「呼び捨て・・。 おまけに、総司令官を馬鹿呼ばわりか。」


(しかし、なぜか晃の気持ちは軽くなった。)


「申し訳ございません。 本音をとおっしゃいましたので。」


(再び、深々と頭を下げる。)


「くっ、分かった。」


「今夜はなるべく早く、帰る。」


「行こう、時雨も食べろ。」

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