Chapter5 『美しいもの』 5-12
「俺たちが動きやすいように。 そして、欠片の分析の為に、彩は力を貸してくれる。」
「だが、その見返りが、大臣どもに欠片を金で取引させるようでは。 俺は賛成できない。」
(聖は、デスクの上で、肘をついて。 柔らかく微笑んだ。)
「そうだね、大臣たちは、僕達に資金面で協力すれば、その分に応じて、欠片を
与えられると思っている。
そして、人を“闇”に変えるほどのエネルギーを持つ欠片だ。」
「もし彩君の研究が進み、“闇”を自由に操れるようになればどうなる?」
「兵器になるかもしれない。」
「あるいは、もっと他の可能性があるか。」
「摩訶不思議な、強大な力。」
「・・そういうものに、人は惹かれるんだよ。」
ガタッ
(聖は、椅子から身を起こし。 上着のポケットから、金色に光る拳銃を取りだした。)
コトッ
(アンティーク机の上に置く。)
「でもね、晃君。」
(聖は、右手を自分の前にかざし、次に。 何もない、右側の空間に手を伸ばした。)
コオッ
(右手の側から、周囲の景色がうねり。 少しずつ、伸ばした手の先に、
向こう側に吸い込まれるような穴が生まれた。)
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