Chapter5 『美しいもの』 5-13

ゴオオッ


(穴の向こうに、別の景色が広がっているのが、微かに見えた。)


「そんな事は、上の連中が勝手に思い込んでいるだけさ。」


「僕は、欠片をやつらに見せ。 ほんの少しの間、貸しているだけだよ。」


(異空間の景色が流れ、聖の伸ばした手の先で、いくつも行き過ぎる。)


「晃君は、FOTの副司令官だから。 言っておこう。」


「僕だってばかじゃない。 僕の中にも正義はある。 美しいものには相応しい使い道が


あるはずだろう。」


キンッ


(最後に現れたのは、銀の万華鏡の中のような空間だった。)


(聖は、伸ばした手の指先で、銀の光の交錯する中。 小さな何かを、掴んだ。)


パシッ


「僕は、欠片を国や大臣にあげるなんて、一言も言っていないよ。」


「正しい使い道がわかった時に。」


「時の欠片を、全て回収するつもりさ。」


(聖のひらいた手の中に。 眩い光を放つ、小さな、ダイヤモンドのような

欠片が握られていた。)









『美しいもの』

Chapter5 End


Fragment of Time・・・時の欠片の道しるべ

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