Chapter5 『美しいもの』 5-11

***


「くすくすっ。 ありがとう。 彩君。」


カチャンッ


「彩に、余計な仕事を頼んでいるな。」


(話し終えた聖に、晃が忠告した。)


「彩は国に属している。 忘れない方が良い。」


「くすっ、だからこそ、彩君にしかできないことがあるだろう。」


(聖は部屋を横切り、中央の、大きな机の前、アンティークの椅子に腰かけた。)


(そこは聖のデスクだった。)


「欠片を集めるためには、協力が必要だ。」


(再びソファーにかけた晃は、両手を組み。 聖へ向き直った。)


「彩は、夏樹の事を心配していた。」


「彩に、何を依頼した?」


「お前は、何を考えている。」


(晃の黒い瞳が、聖の顔をじっとにらんだ。)


「くっ、怖いな。 晃君。」


「相変わらず迫力あるよ。」


「・・ふざけるな。」

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