Chapter5 『美しいもの』 5-7

[「ただし・・。」]


「ん?」


[「ベランダの外に出たわね。」]


「・・ベランダ?」


(聖は、夏樹を思い描きながら、ゆがんだ部屋のガラス窓から、射し込む

朝の日差しを見つめた。)


[「聖君の結界がつながりはじめていたから。 流れる風は、届いていたかもしれないわ。」]


「そうか・・。 風か。」


(聖は満足そうに微笑んだ。)


「それで、昨晩、“闇”が発生したことと関連はつかめた?」


[「分からないわ。 欠片へ影響し、“闇”が発生する瞬間をとらえる事ができれば。」]


[「証明のしようもあるけれど。」]


『簡単には、いかないか。』


(話しながら、聖は自分の手にいくつもはめた。 銀の指輪の装飾をながめた。)


[「何が、欠片に影響を与えるのか。 それがいつ“闇化”するのか。」]


[「都合良く分かったことは、今まで一度も無いわ。」]


「もっと確実に、データを取る方法が必要だな。」


[「聖・・。」]

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