Chapter5 『美しいもの』 5-6
(真っ白な派手なスーツに身を包み。 金の装飾が艶やかで、直視できない
雰囲気があった。)
(右から左側へ流れる、前髪が美しい、銀色の髪。 その瞳は、装飾に良く合う。
美しい金色だった。)
(長いストールと白いネクタイ。 ネクタイピンには、FOT No.1と
金色の文字で刻まれている。
Fの文字を象った鍵のような紋章。 鍵の両脇には、赤い翼。)
(No.1は、総司令官であることを表していた。)
「別に。」
(聖と晃は、並ぶくらいの長身だったが、光と影のように、その様子は対照的だった。)
(笑顔の威圧感に堪えかねて。 晃が受話器を聖に渡した。)
「聖、彩から電話だ。」
「くすっ、ありがと。」
(金のアクセサリーが光る手で、受話器を受け取ると、聖は微笑んだ。)
「彩君。 おはよう。」
「直通にすれば良かったのに。 でないと、晃君がつないでくれないよ?」
[「ふふっ、おはよう聖君、すぐにお知らせしようと思って。 診察室からかけたから。」]
「それで?」
[「報告通り。 夏樹君は昨晩外出していないわ。」]
「そうか。」
(聖は、アンティークの受話器を、良く聞こえる様に持ちかえた。)
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