Chapter4 『不器用』 4-9

「え?」


(菖蒲は、声の方へ振り向いた。)


「僕も・・一緒に~・・外出するから~・・。」


(気の抜けた声が、廊下から聞こえて来た。)


「・・白さん。 起きていたんですか?」


「菖蒲ちゃん~・・。」


(白は、身体は寝たまま、顔だけ菖蒲の方に向けた。)


「“闇”が~・・出たんだって・・。」


「新しい街で~・・もう・・、最初の欠片を~・・聖と晃くんが持ち帰った~・・。」


『声を聞いているだけで、内容にかかわらずこちらも眠くなってきます。』


(菖蒲はそう思いながら、白を見つめた。)


「夏っちゃんが~・・、昨日外に~・・出なかったか~って、


気にしてた~・・。」


「はい?」


「だから~・・、外に~・・。」


「いえ、出ていませんよ。 私がずっと、お側にいましたから。」


「・・そう~・・。」


「どうしてです?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る