Chapter4 『不器用』

Chapter4 『不器用』 4-1

***


キイッ


(木製のドアを開け、光はそっと、葵の部屋に入った。)


(開け放たれた二階の窓から、朝の光と風が入り。 レースのカーテンを揺らす。)


「二度寝したな。」


(部屋に入るなり、光はつぶやいた。)


(夏樹より背が高く、体格の良い光は、飾らなく、無造作でシンプルな服装だった。

淡い光が射す、薄い黄味がかった色の、軽く短い髪が。 風に揺れる。)


(光は、男性と見まがう、空気を醸し出す。)


「葵・・まだ寝てるの?」


(光は、葵の眠る、白いベッドの上に、気軽に腰を下ろした。)


(葵は、まだレースのネグリジェのままで。 丸く膝を抱えて眠っていた。)


(お腹に、薄い毛布が掛けられていたが、丸まった手足は、外に出て。 寒そうだ。)


(薄紫の、長いソバージュの髪がシーツの上に広がり。 葵の頬を隠していた。)


「ネコみたい。」


(光は、両手をベッドに付き、身体を支えながら。 葵を、

愛しい物を見る様に。

覗き込んだ。)


「ん・・。」

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