Chapter3 『僕の家』 3-6

「揺れが・・っていうより、聖の香水が。」


「まぁ。」


「揺れるだけならまだしも、むせ返るくらいなんだ。」


「ふっふっ。 私は好きだけど。」


「空間を移動する時、自分の場所を見失わないようにだって、


言ってたけど。 子供の頃、香りに酔った事あるんだ。」


(玄関の外、三人の行く手には、広がる大理石の石段が続いていた。)


(見上げれば、高々とそびえる本部が、朝の光を受け、眩しく建っている。)


「だから、こっちの道が好きだ。」


(本部を背にして、左側は、オフィス街へ道が続き。 右側には、大きな緑の木々が

生い茂り、涼しげな影を作っている。)


(三人は、右手に曲がった。 木々の下は、細いコンクリートの道。 

緑で覆われ、遠くまで続いている。)


「少し歩くけど、空間が木を巻き込んでいるから。」


「風も流れる。」


「行こう。 早く朝食が食べたいな。」


スゥッ


ピチャンッ


(スニーカーで一歩コンクリートの道へ踏み出すと、

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