Chapter3 『僕の家』 3-3

(夏樹は、朝日の中、フロアに入って来た菖蒲の顔を見てほっとした。)


「・・今のは、時の欠片プロジェクトの参加大臣ですね。」


「おはようございます。 彩さん、会議に招集されたのですか?」


(襟元のネクタイが少し乱れ、あわてて来た様子が分かる。)


『この子は、夏樹君が困っているとすぐ来るのね。』


(彩は感心して、長身の菖蒲を見上げた。)


「ええ。 その前に夏樹君の健診に、お屋敷に伺うわ。」


「それに、菖蒲君が外出手続きに行っている間、


夏樹君を見ていてほしいって、聖君にお願いされたから。」


「! それで、エレベーター前に待っていたの?」


(夏樹は、涼しい笑顔をしている彩を見つめた。)


「ふふっ、思った通り。 あの人たちに声をかけられたでしょう?」


「聖君の通路を通ってくれれば、問題なかったのよ。」


(不機嫌そうな夏樹に、なだめる様に微笑む。)


「・・苦手なんだもん。」


(それを聞いて、菖蒲は思わず笑った。)


「くすくすっ。 子供みたいです、夏樹様。」


「うるさい・・。」

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