Chapter3 『僕の家』 3-2

(スーツの男は、夏樹を眩しそうな目で見た。)


『どうしてか分からないが、今すぐここから離れたい。』


(近づいてきた大臣の一団に、夏樹は嫌気がした。)


「あら、朝からご苦労さま。 さかきさん。」


(近づいてくる一団に、銀のピアスを揺らして、彩が微笑んだ。)


「でも、感心しないわ。 夏樹君に近づけば、どんな能力者もその能力が強化される・・。


なんて、ばかな噂を信じているわけじゃないでしょう? 皆さん。」


「もちろん、一般の人にも、幸運が訪れる。なんて、真っ赤なウソよ。


大臣さん。」


(彩は、小太りの大臣にからかうようにウインクした。)


「ほほぅ、わしもそんなこと思っちゃおらんよ。 これはかわいい息子さんだな。


では、我々は広間に向かうとしよう。 待っていますぞ、彩所長。」


ガガッ


タッタッタッ


(一団が去るのと同時に、正面玄関の巨大なガラス扉が大きくひらいた。)


(黒皮靴の音と共に、息を切って、走って来るのは。 黒の燕尾服に身を包んだ

菖蒲だった。)


「おはようございます。 夏樹様っ。」


「ふっ・・、おはよう。 菖蒲。」

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