Chapter2 『窮屈な日常』 2-12

「ここは、機密組織じゃなかったのかね? ガキの来るところではなかろう。」


(大臣は、夏樹を見つけ、スーツの男に耳打ちし、笑った。)


「・・、あれは! FOTのNo.3ですな。 これはついている。」


「! あれが? ただの子供じゃないか信じられん・・。」


(周りの他の大臣たちも、ざわついた。 スーツの男は、夏樹もこちらを見ていることに気づき、警戒しながら小声で話した。)


「皆さんは会った事がありませんでしたか。」


「数々の噂が立っているのですよ。 彼が・・聖殿の側にいることが。 FOTが国の特権


を得ている理由だとか・・。 国の能力者への警戒レベルも、彼に対するものが最も高い。


まぁ、国家公認の能力者組織として認められている、ただ一つの組織がFOTですからな。 


そのVIPとなれば、私のような平凡な能力者とは訳が違います。


近づけば、彼の発するエネルギーを感じられるはずですぞ。」


「何より。 聖殿のご子息だと聞きます。 我々もこのプロジェクトで良い思いをしたい


のならば、彼には下手に手を出さないことですな。」


「・・そうかね? ばかばかしい。 子供だから見張っているだけだろうが。」


(鈍感な大臣には、遠目で見る夏樹が、どうみても普通の少し小柄な高校生にしか見えなかった。)









『窮屈な日常』

Chapter2 End


Fragment of Time・・・時の欠片の道しるべ

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