Chapter2 『窮屈な日常』 2-6

「夏樹様、どちらへ?」


チンッ


(執事のうちの一人が、話しかけたので。 夏樹は早足でエレベーターを開いた。)


「尋ねる必要がある? 発信機がついているのに。」


(夏樹は、胸元のピンバッジを白い指でつついた。 執事達の威圧感に負けないように、

力を込めて、視線を投げかける。)


「くすっ、左様で。」


(黒いサングラスの下で、不敵に口元だけが笑った。)


ガガッ


(エレベーターのドアが閉まり、執事たちから夏樹を切り離した。)


「ふぅ・・。」


(エレベーターの個室の中で、思わずため息をつき、壁に背中を寄りかけた。)


『あれは、本部中にあふれている、国からの使いだ。』


『組織の円滑な運営のためと言いながら、けっきょくは、国の上の人たちが


僕ら能力者たちを見張っているようなものだった。』


『気にする事は無い。 やつらは、僕達のことが珍しいだけだ。 なんて、


聖は言っていた。』


『僕達も、やつらを役立てれば良い。 国家公認の能力者集団組織であるかぎり。

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