Chapter2 『窮屈な日常』 2-5

(ドアを開けると、廊下はもう、心地よく、遠く階下から聞こえる朝の喧騒に

あふれていた。)


「誰か来てるのかな?」


(夏樹は、一階までの巨大な吹き抜けの窓から、階下を気にしながら、ドアを閉めた。)


(片手で、ピンバッジを胸元に留め。 赤絨毯の上へ歩き出す。)


***


(高層ビルの最上階から2番目の階は、青空が近く見えた。)


(長い赤絨毯を歩くと、四角くビルの中心にくり抜かれた、吹き抜けの巨大なガラス窓から、朝の光が溢れてくる。)


(角を曲がったところで、夏樹は立ち止まった。)


『・・ふぅ。 ほんとに24時間立ってるんだな。』


(朝日に似つかわしくなく、少し重い気分になりながら、先へ歩き出した。)


(夏樹の部屋のあるフロアには、誰も居なかったが。

角を曲がったとたん、目の前に、数名の執事が待ち構えていた。)


(廊下の両はじに立ち並び、まるで、夏樹を監視しているようだ。)


「「おはようございます。 夏樹様。」」


(黒いサングラスの下の、無表情な顔の執事達が、夏樹を見下ろした。)


「・・おはよう。」


『これがあるから、本部にいるのはあまり落ち着かないんだ。』


(出来るだけ、気にしない風を装い、執事たちの前を通り過ぎた。)

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