Chapter2 『窮屈な日常』 2-4

パタパタッ


「さぁてっ! 味付けの仕上げしちゃわなくちゃv」


(軽快な足音で、部屋の真ん中から、奥の壁に向かい駆けだす。)


『本当なら、ドアはあっちだよと慌てて止めるところだが、


料理途中で来たところを見ると、きっと空間をつないでもらったんだ。』


コオッ


シュンッ!


(千波の向かった先の壁に、突然黒い扉ほどの穴が開いた。)


(途端に、その向こうに身体ごと吸い込まれ、いつもの白壁を残して、見えなくなった。)


「んんっ。」


(夏樹は伸びをし、本来のドアへ身体を向けた。)


『新しい道、通るの苦手なんだよな。 創り出された空間は、聖の匂いがした。』


『千波ちゃんが戻る時、かすかな朝食の香りと混ざって、


聖の強いバラの香水の香りが流れた。』


「むやみに空間つなげて・・。 僕の部屋なんだけど。」


(不満げな顔をしながら、パソコンが置かれた机の上から

小さなピンバッジを白い手が拾い上げた。)


ガチャッ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る