Chapter1 『はじまりの夜』 1-11
「空間の狭間に、飛ばされないうちに、私も戻ります。」
「うん。」
(2人は同じ歳だったが、菖蒲はいつも夏樹を尊敬していた。)
(しかし、菖蒲に比べ、夏樹の服装があまりに普段着でラフなので、
主人と執事というのも、ちぐはぐに見えた。)
(豪華な赤絨毯が敷かれ、デザイン性に優れたシャンデリアが照らす、
一際高い高層ビルの長廊下は、ティーシャツに上着を簡単に羽織った服装の
ごく普通の高校生がいるとは思えない場所だ。)
(それでも、一際目立つ、白い肌のせいか。 明かりに照らされる、艶のある深い
紺色の髪と、紺色の瞳のせいか。)
(夏樹の持つ、中からの力が、その場をより明るくしていた。)
「菖蒲、もし良かったら。 明日僕と、街まで付き合ってくれないか?」
「・・はい?」
(夏樹のもたらした空気に、意識を向けていた菖蒲は、ふと驚いた。)
「街へ、ですか? 新しい街が決まったんですね。」
「ああ。 少し手が掛かりそうなんだ。」
「かしこまりました。 もちろんです、どこまでもお供いたします。」
「くすっ、ありがとう。」
キイッ
(ドアに手を掛けた。)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます