Chapter1 『はじまりの夜』 1-10
(光の下に出た夏樹は、灯りが肌の白さをより明るく照らし。 眩しく見えるほどだ。)
(まるで、夏樹自身から何か、明るい光がその場に発せられているような
気がして、菖蒲はほっとし瞬きした。)
「お邪魔でしたか?」
(紺色に光る夏樹の瞳は、笑っていた。)
「ったく、それ。」
(白い指が、菖蒲の襟元の赤いピンバッジを指さした。)
「え?」
「・・静乃さんに筒抜けだ。」
「はっ・・、すみません!」
(白手袋で、自分のピンバッジに触れ、オンラインのままだと気づいた。)
「くすくすっ、良いよ。」
(ピンバッジには、FOT No.0-3と刻まれている。
それは、FOT VIPの専属執事の一人であることを表していた。)
「菖蒲、立ってて疲れただろう。 中入る?」
「いいえっ、セキュリティーもありますし。 もう休まれた方が・・。」
「そうか。 メンバーまで部屋から閉め出すとは思わないけど、聖がしかけた
セキュリティーだから、信用できない。」
「くすくすっ、そうですね。」
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