Chapter1 『はじまりの夜』 1-7

「別に・・。」


(照れ隠しにうつむいた。)


『面とむかって言われると、わけもなく気まずい。』


『千波ちゃんが、僕の双子の姉だからか。』


『聖のことは、僕らにとって、父親と同じで。 良く知っていて。


どこか敵わないところがあるからかもしれない。』


[「くすくすくすっ。」]


(画面から、静乃の笑い声が聞こえた。)


[「シスコン。」]


「違う!」


(思わず、声が大きくなる。)


***


「夏樹くん、眠る前に、あなたの部屋のドアの外を見てね。」


(静乃は、柔らかく微笑んだ。)


***


「何?」


[「あなたが眠るまで、ドアの外で、守っているつもりよ。」]


[「お休みなさい。 彼にもそう伝えて。」]

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