Chapter1 『はじまりの夜』 1-6
「冗談・・。」
[「冗談じゃないわ。 あなたから、お願いしたら? FOT VIP No.3の、雨宮夏樹くん?」]
「ふぅ・・、わかった。 もう寝るよ。」
***
「思ったより、元気そうで良かったわ。
あまり考え込まないで。 君を悩ませたくて、データを横流ししているわけじゃ
ないんだからね。」
[「うっ・・、さりげなく、無理を頼んだ事せめてるみたいだ。」]
「違うわよ。 もう一人、あなたを心配して起きている人がいるの。」
[「? 千波ちゃんのこと?」]
「大丈夫、千波ちゃんなら、もう眠ったわ。 さっきまで、聖くんに差しいれ持って行く
かどうか、ずいぶん悩んでいたみたいだけど。」
[「・・、そんなことしたら、不安定な空間の狭間に身体ごともっていかれちゃうよ。」]
「それくらい好きなの。」
[「んん・・。」]
(夏樹は言葉にならないくらい、かすかにうめいた。)
「なあに?」
***
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