乱世の快男子23 あの方は学者ですしかも花鳥風月を好みます、今の天下人に必要なのは100年続いた戦乱の世を終らせる信念が必要です、それはこの戦乱で痛い目にあった人ではなくて


乱世の快男子23


あの方は学者ですしかも花鳥風月を好みます、今の天下人に必要なのは100年続いた戦乱の世を終らせる信念が必要です、それはこの戦乱で痛い目にあった人ではなくては分からないでし、

よう、はなからの坊ちゃんでは無理です、上手く行く方法は関白様が後、20年長生きされれば、お坊ちゃんも君主らしくなりますし、その次の後継者も、育つと思いますと言うと、さすが、

の見識だなと言ったのです、


それでは関白が死ぬのを待つとするかと笑い、その二つを間違いなく実行するのであれば、上洛して関白に臣従の礼を取ると、申し伝えよと言ったのです、正純以下傍にいた一人を除いて、

正直の歯にころもを着せない口上に家康が怒りだすのではないかと冷々していたのです、傍にいた男が正直殿は剣の達人と聞いています、それがしに一手ご指南いたたけないでしょうかと、

言うので、


正純が柳生門下玉木源之新殿で御座るというので、拙者が柳生の剣に勝てるわけがないですよと言うと、家康が河野道定と一騎打ちして伊予の国を取ったが、返したそうではないかと言う、

ので、それでは何をかけられるおつもりですかと聞くと、勿論この首で御座ると言うので、そんな物は欲しくはござらんと言うと、何が望みだと家康が言うので、真田の沼田城でございま、

すと言うと、


あそこは5万石にも満たないし、真田が支配しているではないかと言うので、北条との取り決めで家康様の物となるはずが、真田が明け渡すのを拒否している事から徳川様とのいさかいが、

起きているのでしょうと言うと、そうだが、もし勝ってそれを貰ったら、どうするのだと聞くので、真田に売りつけますと言うと、買うものかと笑うので、それでは関白様にこうていた、

だきますと言うと、


それは面白い、負けたら何を出すのだと聞くので、この家康様から頂いた名刀を玉木殿へ、さしあげますと言うと、あんまり徳な賭けではないな、まあ良いだろう、承知したと家康が言っ、

たのです、玉木殿立会いは木刀で御座るがよろしいかと聞くと、構いませぬと言い、木刀を取りに行き正直に渡すので、木刀を持ち庭にでたのです、両人とも正眼に構えて、じりじりと、

間合いを詰めて、


玉木が上段ら振りぬこうと木刀を上段もって行こうとした、僅かな隙に正直が真っ直ぐふみこんで木刀を上段にもって行き、振り下ろしたのです、ガキッと音がして木刀が打ち合い、左手、

で玉木の手首を握り足を外からかけて、左手を放し胸を左手で突き飛ばすと、そのまま、ひっくり返ったので、右手首を打つと木刀を落としたので、上段から振りおろし、肩口でピタリと、

とめたのです、


これまでですねと木刀をしまうと玉木が唖然としています、家康がその手は一刀流の極意なのかと聞くので、いいえ、相撲の外掛けですというと、何相撲の手なのか、しかし、剣としては、

汚い手だなあと笑うと、先ほどから黙って見ていた男が、おそれながら正直殿の完勝で御座います、剣の勝負に汚いも綺麗もありません、戦場ではそんな事は言っておられません、


倒すか倒されるかですと言うと、十兵衛の申すとおりだ、仕方ない、正直、沼田はお前にやろうというので、ありがとう御座います、これで徳川家と真田家のいさかいのネタはなくなりま、

したと言うと、正直にしてやられたなと家康が大笑いしたのです、十兵衛が何かを言おうとしたのをさえぎって、柳生十兵衛殿との勝負はごめんこうむります、これから立ち戻り関白様に、

報告する役目があります、


柳生十兵衛殿と立ち会えばそれができなくなり申す、ひらにご容赦くだされと言うと、分かり申したそれでは後日にと十兵衛が言ったのです、今日はゆつくりして明日立ち戻るがよいと、

言い、正純、正直に浜松のうまいうなぎでも食わせてやれと、言って部屋を出て行ったのです、玉木が恐れ入りました、しかし、正直殿にまけてもちっとも悔しくないから不思議ですと、

言うと、


真剣にて立ち会わずによかったではないか、真剣なら手首から先がなくなって、二度と剣は握れなくなる所だったぞと十兵衛が言ったのです、それでは今日は私の屋敷に逗留してくださ、

れというので、世話になりますと立ち上がったのです、正純の屋敷に行くと奥方が出迎えて部屋に案内したのです、腰元が湯殿に案内しますと言うのでついて行き湯に入って上がると、

新しい下帯が用意してあるので、


それを締めて浴衣を着て部屋にもどったのです、腰元が酒を注ぐので飲み干すと、間もなく夕餉のしたくができます、できましたらお迎えに上がります、ゆつくりして下さいませと言っ、

て部屋を出て行ったのです、呼びに来たので出向くと正純が待っており、席にすわると腰元が酌をして盃を重ねたのです、あまりにも正直殿がずけずけ言うので家康様が怒り出すので、

はないかとヒヤヒヤしましたよ言うので、


関白様との争いは無駄だと解かっていても、強硬派の家臣を押し留めるのは大変難しいのです、それは小牧、長久手の戦いで秀吉軍を破ったと自負がありますので、対関白様はいいんです、

が、逆に家臣をなだめるのに苦労されているのです、だから真田に負けると解かっていても、兵を出さざるをえなかったのです、正直殿が家康様への合力をしてくださるとは何よりですと、

正純が喜んだのです、


膳にのったうなぎを食べると、ふっくらしてとても美味しいので美味しいというと、家康様もうなぎは大好きなんですよと言ったのです、石川数正様の件は本当ですかときくので、家康様、

の機嫌をとっただけです、どうして出奔なんかしたんですかね、最近は家康様に疎まれていたんですかと聞くと、奥方様と信康様の件で信長様に言い訳できなかったのを凄く気にされていた、

ので、


いたたまれなくなったのでしょう、気の毒な事ですね、しかし今度は裏切り者と陰口を叩かれる事になります、これが家康様と数正の示し合わしての事だったら、家康様は偉い策士ですね、

まるで狸とキッネの騙し見たいなもんですよというと、どちらが狸でどっちがキツネですかと正純が聞くので、勿論狸が家康様でキッネが関白様ですといったのです、正純がそういえば、

最近家康様は顔が狸ににてきましたよと笑ったのです、


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