乱世の快男子21 お玉が琴を引き始めたので聞いていると中々の音色です、顔をみると間違わないように真剣な顔をしていたのです、引き終わり手ほ叩いて中々上手いではないか、この音


乱世の快男子21


お玉が琴を引き始めたので聞いていると中々の音色です、顔をみると間違わないように真剣な顔をしていたのです、引き終わり手ほ叩いて中々上手いではないか、この音色は今様だなと、

いうと、ありがとう御座います、間違わないように弾くのに緊張しましたと言うので、喉がかわいただろう一献と酌をすると飲み干し、美味しいと言い、琴は良くおききになるのでし、

ょうと言うので、


妹が国元でよく弾いていたなというと、生国はどこなのですかと聞くので、日向だよと言うと、それは随分遠いところでございますねとお玉が言ったのです、鶴兵衛がきょうはここで、

夕餉をお取りください、旅籠にはこちらから言うておきますと言うので、そうか、せっかくだから馳走になろうというと、それでは夕餉のしたくができましたらお呼びします、お玉、


中浦様のお相手をして差し上げなさいと言って部屋ほ出て行ったのです、下女にそなたは何と言う名前だと聞くと絹と申しますと言うので、生まれは近在かと聞くと美濃ので御座います、

と答えたのです、お玉が絹は戦で家族をなくしているのです、村の名主がおとつさんの知り合いでなので、ここに奉公するようにと連れて来たのですと言うので、そうか、それは気の毒、

にというと、


お絹がここのお嬢様が優しくしてくださりますので感謝していますと言うと、お玉がお絹は働き者なのですよ、手習いもしていまして読み書きもできるんですと言うので、それは感心だ、

と言い、どうだわしの所へ腰元として奉公しないかと言うと、お玉がそれはいいですね、お絹どうですかと聞くと、礼儀もしらない田舎者です、お屋敷奉公なんてつとまりませんと言う、

ので、


作法はみにつければよい、考えてみなさい、帰りに京都に立ち寄るのでその時に、返事をくれればよいぞと言ったのです、もつともわしは400石取りの侍であまり裕福ではないがと言うと、

お玉が正直様でしたら大名にでもなれますわと言うので、これはお玉は口が上手いと笑ったのです、夕餉のしたくが出来たと呼びにきたので部屋に行くと膳がならんでおり、みるとハモ、

を始めとした京料理です、


お絹が酌をしたので飲み干して、これは美味そうではないかとハモを食べて美味いと言うと、お玉がよろこんでいます、みんなも遠慮なく箸をつけてくれと言うても、扇屋の馳走だがな、

と笑ったのです、鶴兵衛が絹にお屋敷奉公の声をかけて、いただいたそうでありがとうございます、できればお玉も一緒と言うわけには、行きませんでしょうかと言うので、お玉はここ、

の大事な一人娘だろうと言うと、


いずれは嫁に出す身です、行儀見習いにどこぞへ出そうと、思うていたところですと言うと、お絹が私はお嬢様の下女として、奉公しますと言うので、あい分かった二人とも腰元として、

奉公すれば良いと言うと、お玉が良かったと言うので、実はお玉に中浦様に頼んでくれといわれましてと言うので、三条公みたいにそばめにするかもしれないぞと言うと、2人が正直様、

でしたら構いませんよと言うので、


これでわが中浦家も子供が沢山増えて安泰だなと笑ったのです、それでは帰りにわしと一緒に大阪に行こうと言うと、お帰りを首を長くしてお待ちもうしております、絹にもお琴と踊り、

を稽古させておきますとお玉が言ったのです、時間がたつたのでそれではこの辺でと言うと、いっその事ここにお泊りになればと言うので、いや、りよう禅屋の女将には義理があるので、

戻らないと悲しむかもしれないよと言い、


旅籠に戻ると、女将が折角ご馳走を作って待っていたのですよと言うので、丁度腹も減ってきたところだ出してくれと言うと、ハイと喜んだのです、膳が運ばれて来たので見ると、豆腐、

と山菜にイワナの刺身と塩焼きです、おお、良いイワナではないかというと近隣の百姓に山まで取りに行って貰ったのです、正直様のお父様も好物だったのですよと言い扇屋のお玉さん、

をお助けになったそうですねと言うので、


そうなんだよ、三条と言えば名門ではないか、無体な事をするもんだというと、三条様ではなく悪い奴は用人の掘庄座衛門ですよ、三条公は幼少なので、それを良い事に名をかたって商家、

にもゆすりの真似事をやっているそうなんです、町奉行もみてみぬ振りをしているのですよと言うので、町奉行は誰なんだと聞くと、石田三成様ですよと言うので、しかし、あ奴は秀吉様、

の傍にいるので京都にはいないはずだがというと、


こんど京都に聚楽第と言う秀吉様の別宅をお作りになるそうで、京都奉行におなりになったそうでございますが、今回の関白宣下で公卿に借りがあるみたいで、遠慮しているのだそうです、

と言うので、そんな事で町衆を泣かせるとはとんでもない奴だなと酒を飲み干したのです、イワナを食べてこれは美味いと言うと、女将が嬉しそうです、帰ったら三成に灸をすえてやろう、

というと、


おやめなさいまし、相手は関白様の覚え目出度い方ですよ、どんな災いが振ってくるかも知れませんと言うので、しかし、そのままにしておいては関白様のご威光に傷がつき、ひいては、

豊臣家は世間のもの笑いになると言うと、その一徹なところはお父上様そつくりですねと女将が笑ったのです、そうです、中浦家のご家老の佐々木様が京都に来ておられます、正直様の、

事を申しあげましたら、


お戻りになりましたらご挨拶したいとの事ですがと言うので、佐々木の爺か通してくれと頼むと、呼びに行き部屋に入って来て畳みに頭をつけてお久しぶりに御座います、若様もご健勝、

なようで何よりで御座いますと言うので、爺堅苦しい事は抜きでこっちに座って足を崩してくれと言うと、そばに来たので女将が酌をすると飲み干したのです、京都に何の用だと聞くと、


近衛様に島津様よりの進物を届けに来たのですと言うので、そうか、みんな元気かと聞くと、元気でお過ごしにございます、正直様の武勇は島津にもとどろいていますよ、義弘様がいつも、

勿体無い息子を手放したもんだと残念がられていますよと言うので、義弘様はほぼ九州を手中にされたと聞くがというと、いよいよ、秀吉様との戦にございます、お父上と戦いになるおつ、

もりですかと聞くので、


伊東祐兵様は九州の道案内で良いと申されているので、われわれが前線に出る事はないだろう、関白様は我々に気を使って下さっているのだよ、父上に遠慮しないでくだされ島津の武勇、

をみせれば、薩摩、大隅は安堵されるでしょうと言ってくれと言うと、そうですか、それは奥方様は安心しますと言ったのです、そちも長生きして父上を盛りたててくれと言うと正直様、

が日向にお戻りになるまでは生きておりますよと笑ったのです、


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