三発目

なんで俺がこんなめに..... 


12月25日 

キリスト教徒がキリスト生誕を祝う喜ばしいこの日、京介はそう思った。

何故なら京介は現在進行形で武装テロリストの人質の1人であるからだ。


あれから3時間経っている(体内時計)。爆発の後すぐにテロリスト達は電気屋にいた俺合わせて9人を見張りのきく真ん中に紐で縛って座らせている。よく見る古典的な方法ではあるが、人質を動かなくさせるには一番有効な方法でもある。


「おい、まだ5億用意できねぇのかよ」

テロリストの一人が電話に向けて苛立ちを伝えている。


5億もってなにするんだろうか。もし、このテロリストが何らかの組織の一部ならば、その金は組織の資金になる。もしくはその5億を貰った後に海外へでも逃亡してリッチにでも暮らすのだろうか。そもそも本当に5億も貰えると思っているのだろうか。

どちらにしても何らかの理由、もしくはそれなりの用件があるんだろう 多分。


「どうでした」

「チッ 駄目だ奴ら"今金集めている 時間をくれ 人質に手をだすな"の繰り返しだ ふざけやがって」

先ほどまで電話をしていた男がついにスマホを床に投げつけてそう言っている。

そりゃぁ3、4回電話したのに返ってくる言葉が同じだとイライラもたまってくるだろう。


 しかしこの状態はマズイ。

もしこのまま同じ返事を返し続けるなら、俺たち"人質"の生き残る確率は低くなっていくいっぽうだ。テロリストからしてみれば俺たちは金のための"交換条件"であり、国(政府)からしてみればただの他人ではあるがお国の体制上守らなければならない存在である。

つまり、国は俺たち9人を5億円出して交換しないといけないのである。国民から集めた税金で。

 9人のために国民から集めた税を5億出すか、9人犠牲覚悟で5人のテロリストを捕まえるもしくは殺す どちらを国が選ぶかを考えたらすぐに答えがでてくる。無論、後者だと思う。よくあるドラマや映画のように。


この事が考えられるからマズイのである。

テロリストはこの事をわかっているはず。ということは先ほどの事を逆に利用したらいいのだから。

「どうします?」

テロリストの一人が電話をしていた奴と色々話しているのが聞こえる。

電話をしていた奴はその質問を聞いてすぐに

「よし、人質一人殺そうか。生放送出来るように用意しろ。」

とあっさり答えた。


やベーよ やベーよ あいつ完全にサイコパスじゃん。頭おかしいですよ。

別にその選択は分かるんだが「殺そう」を真顔でいってるやつ初めて見たわ。


「いいんすか、殺さなくても殺そうとしてるのを生放送したらいいんじゃないんすか。」

ほら、周りの奴らもドン引きしてるじゃん。

「いや、それも考えたんだがもう我慢の限界なんでな。アホな政治家どもには一番効くだろうよ。」

ニヤリとしながらその男は言った。

本当のサイコパスやないかーい。


......流石に流れが変わってきたので俺も動き始めようか。


京介は服の袖の裏に隠していた紙で包んでいた剃刀の刃を出し始めた。京介は爆発が起きた時に鞄の中から剃刀の刃を出して服の袖の裏に隠していた。なぜ鞄に剃刀があるかは秘密です。(にっこり)

このテロリストは結構適当に手を縛ることなど、統一性がない。俺は手を後ろで縛られている、そして俺の後ろの人は前で縛られている。

おまけに、俺はこのぎゅうぎゅう詰めにされている人質のなかで真ん中のほうにいる。

 とゆうことで、後ろにいる人にこの剃刀の刃で俺の紐を切って貰おうか。しかし、もしこの事がバレたらここの人質9人が危なくなるし、そもそも紐を切ってもらったところで次に何するか決めてないし.......。


そんなことを悩んでいたらカメラを用意している男が

「おい、これどうしたら生放送できんだ?」

と言うと俺たちを見張っていた奴ら2人がその男のところに言った。


....今だ。

後ろの人に小声でこの剃刀の刃で切ってくれとたのんでみた。少し不安な表情をしたが直ぐに実行してくれた。

ただ後ろの人も手の手首付近を縛られているので少し切るには時間を必要とする。


俺が少し焦っている時に突然

「おい、この中で一番若い奴は誰だ。」

とサイコパス男が人質の俺たちに言ってきた。もう一人が

「そこの女はどうですかい。」

「お、いいねぇ。ただ、殺すには惜しいな。」

指を指された女性(JKくらい)の顔から血の気がひいたのが分かった。


「じゃぁ他にしやす?」

ヒトの心がある方の奴がその女性の表情を見て少し動揺したのかヒトの心がない方に聞いた。

「いや、こいつでいい。」

A(ヒトの心がない方)が実行に移そうといろいろ指示をしているとき、カメラ班の一人が

「すいません、こいつ調子悪いのでちょっと時間かかります。」

とAに言った。するとAは

「おいおまえ、ちょっとそいつ連れてこい。」

とB(ヒトの心がある方)に指示した。Bが一応聞いてみた

「....いいっすけど、何すんすか。」

そしてAがまたニヤリとして一言

「いや、暇だしちょっと楽しもうかw」

 

「え....」

A以外全員がそう思った。

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クビになったサバゲーマーが女神に意味もなく異世界転生させられた話 南方傭兵 @hoppouyohei919

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