第3話

 日が落ちると急速に寒くなっていく。

 天蓋にしていた毛布を外し、一枚を地面に一枚を身体にかけ、みなで体を寄せ合う。

 寝息が静かに流れる。

 みな疲れているのだ、可彦を引いて炎天下の砂漠を彷徨っていたのだから。

 ひとり可彦だけが目を開けて星空を眺めていた。

 疎らな草しか生えていないオアシス。

 ネフリティスが言うには雨水がたまたま湧き出た水たまりのようなもので二、三日で無くなってしまうようなオアシスとのことだった。

 それでもここにたどり着かなければもっと酷いことになっていただろう。

 これも自分が生かされているということなのだろうか?

 可彦は漫然と考える。

 瞬く星空は何も答えない。

 そのうちに可彦の瞼もゆっくりと閉じていった。

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