第7話

 館の正面に兵士の姿が見えた。

 人数は五人。身なりの良いひとりは馬に乗り、両脇に兵士がついている。その後ろにふたり。ひとりは旗を掲げ、ひとりは鎧を着ておらず、兵士というより役人のようにも見えた。

 掲げられた旗は斜めで二色に別れており、上半分が緑色、下半分が青色に塗られていた。

「来たな」

 アギルマールが窓から外を見る。

「あれは?」

「軍使です。あの旗がその印です。緑と青はオアシスを表し、この大砂漠では敵意のないことを示します」

 可彦の問いにネフリティスが答えた。

「ジョサウーン軍遠征隊長ギスバルトだ。ソタニロ領主殿と和平交渉を行いたい。入国を許可願う」

 馬上の兵士が声を上げる。

「許可する。入ってくれ」

「感謝する」

 ギスバルトは馬から降りると脇についた兵士に手綱を渡す。それからもう一人の兵士と役人を引き連れて歩き出す。手綱を持った兵士と旗を持った兵士はその場に立つ。

「全員入ってくれ。そんなところに立ってたら日差しにに焼かれて死んじまうぞ。馬はオアシスの傍の小屋につないでやれ」

「ご厚情痛み入る。そうさせてもらおう」

 旗持ちの兵士は旗を竿に丸め始める。手綱を持った兵士も歩き始めた。

「さ、入っとくれ」

 ベラルダが館の扉を開け、一行を中に招き入れた。

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