第9話 ファンタジーとは



ファンタジーとは、一体なんだろう?



不安と闘う終わりなき戦い?


現実を消化する非現実?


犠牲を呼ぶ新しい創造?





しかし、その中で呼応する躍動やくどうは、とても美しい。





旋律せんりつなるはたを胸に、いつも心の真相を描くことわり


それがファンタジーなのかもしれない。







ある女性が、一人でたたずみ、私にもわかる声で、こうつぶやいた。



???「*********…」



その言葉はあいまいで、とても微細な反応しか読み取れなかったが、

とてもさみしく、韻妙いんみょうで、静かに聞こえた。




「…もう、いいのか。

 それとも、まだ…」


私は彼女の気をそらさないように、ゆっくりと風のように語りかけた。



???「いいえ。まだよ。まだ…」



彼女はゆっくりと答えた。

その言葉が、私にはとても重たくのしかかっているように思えた。




「どうして、そこまで…。

 君にはやりたいことが他にあるじゃないか。

 なのに、なぜ…」


???「何かをすることに、遅いも早いもないの。

 これだけ充実した毎日を送れているんですもの。

 日々の事象に、有無は言わせないわ。」


「…」




彼女の決意は固かった。

私の誠実ななぐさめも、かき消してしまう位に。




「…もう、行こうと思う。」


???「ええ。いってらっしゃい。」



彼女はまだ上を向いたまま、その場を後にする私を見送った。





「なんとかしてやれないものか…」



私のいは残る。


この仮初かりそめの大地で。




つづく

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