第3話 私。

「ことは〜?今日牛乳だよ。最悪〜。」


クラスメイトの仲の良い女の子が私を呼んでる。


《小野田 琴葉》おのだ ことは

サラリーマンと専業主婦の両親

5歳年上の兄、3歳年上の姉

協調性も個性も特に無い。それが私だ。



給食の時間。いつも通りエプロンを着けて給食室から教室へ運ぶ。


さっき私に話しかけてきた、ミナと、牛乳瓶がたくさん入っているカゴを2人で運ぶ。ミナは階段を上がりながら、好きなアイドルの話を私に向かって楽しそうにしている。


私には特に好きなアイドルも、俳優も女優も歌手も、居なくて。話しが盛り上がらないのが分かっている為、こういった会話にはそれなりに、共感するとゆうスタイルをとっていた。


ミナの大好きなアイドルが、私も興味があったんだと。話が少し盛り上がった頃、

上から勢いよく階段を降りてきた上級生がミナにぶつかった。そして、同時に、大きな音が鳴り響く。


-ガシャーーーンッ!-


私は右手に持っていたはずのカゴをとっさに離し左手で階段の手すりをしっかり持ちなんとか落下を防いだ。ミナは六段ほど階段から落ちたみたいだが、不幸中の幸い大きな怪我はなさそうだ。ミナの周りの白い床は牛乳の白で少しずつ範囲を広めている。私はその動く白をなぜか、ボーっと目で追っていた。



"大丈夫?"

"立てる?"

"牛乳は最悪〜"

"怪我してない?"

"服濡れちゃったね"

"牛乳はないよね〜"

"私の体操服かそうか?"


たくさんの人間が動く白を無視してミナに駆け寄り声をかける。



動いている白を眺めていた私は、鋭い視線を感じた。視線を感じた先に目をやると、ミナが凄い形相で私を睨みつけていた。



(え…。あ。。私も、、なにか、手を差し伸べないと!)


そう思った頃にはすべて手遅れだった。

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