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「バカゲー? ……ってあのカジュアルゲームとかによくある?」


「半分正解だ。正確にはこのゲームのジャンル自体がバカゲーっていうジャンルなんだ。バカゲーっていうのは思わずくだらねぇって思いつつもやっちゃうカジュアルゲームの事をそう呼んだりするが、昔ジャンルそのものがバカゲーというジャンルのゲームをやったことあるんだ。バカゲーっていうワードを聞いてそれを思い出した。つまり」


 言って俺は進んだゲームを中断し、最初の選択肢にロードし直した。

 そして、一番ありえない選択肢を選択する。


「その選択肢じゃバッドエンド……」


 藤菜が思わず止めに入ろうと動いた瞬間、


 画面からぱんぱかぱーんとファンファーレが鳴響き、ゲームクリアおめでとうと華やかに表示された。


「えっ、どういう事?」


「言っただろ? これはバカゲー。第六ステージまんまに見せかけた引っ掛けゲームだったんだよ」


 言葉も失ってぽかーんとする藤菜。辛かった戦いの結末がこうもあっさりでただただ呆然とする。


「バカゲーはその性質状、笑わせに特化したゲームだ。そして元々カジュアルゲームでもあるために手軽さが必要。意外と答えは最初にあったりする」


 言って俺は藤菜を見た。


「えっ……じゃあ、本当にクリア?」


「あぁ。俺達の勝ちだ」


 それを聞いて、藤菜の顔はぱっと明るくなって、歓喜の余り俺に抱きついた。


「やったぁ!! 終わった!! 私達勝ったんだぁ!!」


 暴れる藤菜に思わず後ろに倒れそうになるが、何とか持ちこたえる。


「やったやったぁ!! あっ……ごめん。嬉しくてつい」


 ようやく気がついて、俺から静かに離れた。それから俺を改めて見て、手を伸ばす。


「お疲れ様。天才ゲーマーさん。一緒に戦ってくれて本当にありがとう」


「天才ゲーマーは言いすぎだ。……でも、こちらこそありがとう」


 俺達二人はそこで、熱い握手を交わした。


「……あとさ、その君はこんなにも頑張ってくれたからーーそのご褒美をあげる」


「ご褒美?」


 言った刹那、部室の扉が開いて俺らはびくっと肩を上げた。


「唯我!! ぽぽっち!!」


 現れたのは女々と……なんと蒔杜だった。


「お前ら……ってか蒔杜お前出てきて大丈夫なのか!?」


「おかげさまで女々のおかげで随分よくなったよ」


 いつもの笑顔を見て、俺は安心した。


「そっか。……うわっ!?」


 女々が突然抱きついてきて、言った。


「唯我凄い顔してる」


 確かに今の俺は眠気と疲労でものすごい顔をしてだろう。


「ゲームは?」


 抱きついたまま、顔だけ上に向ける。


「クリアしたよ。俺達の勝ちだ」


「本当!?」


「もちろん俺だけじゃなくて藤菜の力もあってこそだ」


 俺は藤菜を見て言った。


「いやいや、私はアシストしかしてないよ」


「ぽぽっち!!」


 俺から離れた女々は続いて藤菜に抱きつく。


「女々ちゃん」


「ぽぽっちもお疲れ様。ありがとうね」



 そこで安心したのか一気に力が抜けて俺はその場に倒れこんだ。

 正直、その後の事は覚えてない。

 にしても、こうして無事、俺達の平穏は守られたのだった。 

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