1-7
ゲームを起動すると、真っ黒の画面に白いゴシック体の文字列が横に流れていく。
『ようこそ、悪魔のゲームへ。
このゲームはプレイヤーがゲームを始めてから一週間以内に
クリアしないと地球が滅亡するゲームです。
それでも、あなたは、プレイしますか?』
はい いいえ
「わざわざ確認させてくるなんて手の込んだゲームだね」
蒔杜がそうぽつりと呟いて、『はい』にカーソルを持っていってクリックした。
刹那、新たな文字列が現れる。
『この度は「悪魔のゲーム」のプレイありがとうございます。
ゲームを開始する前にいくつかの説明をさせていただきます。
本ゲームはバラエティジャンルとなっており、様々なジャンルのゲームをしていただきます。
ステージは全部で七つ。その全てが難易度【激むず】と
なっております。
七日間でこの全てのステージをクリアしましたら、あなたさまの勝利にございます。
ですが、七日以内にクリアできなかった場合は、残念ですが、地球を破壊させていただきます。
地球の破壊に伴って起きました事は、一切の責任を取りませんので
また、本ゲームのクリアの目安は開始から一日一ステージクリアとなっております。
それでは、どうぞ「悪魔のゲーム」をお楽しみください。
フォレ男』
その文を読んだ女々が弱気に言った。
「これ、本当じゃないよね?」
「フィクションに決まってんだろ。ゲームで世界がなくなってたまるかよ。こういう演出だよ」
俺は三白眼をぎらつかせて、頭の後ろに手を組んで置いた。
「にしてもすごい作り込みね」
藤菜は感心してディスプレイから目を離さない。蒔杜がマウスをクリックすると、【第一ステージ:シューティング】と表示されて、唐突にゲームが開始された。
「うわっ!? 急すぎ」
慌てて蒔杜がキーボードの方向キーとスペースキーに手を置いた。
が、しかし画面の下部に佇む、プレイヤーを指す飛行船は全く、微動だにしない。
「あれ? 動かない」
何度も方向キーを押すが全く反応しない。じりじりと画面上部からは、敵がわんさか詰め寄ってきてすれすれの所で俺は叫んだ。
「蒔杜、マウスだ!!」
叫び空しく、飛行船は敵に衝突してバラバラに砕け散った。
「あーゲームオーバー」
そう言うと蒔杜はキーボードからその手を離した。
「いくらなんでも突然すぎない?」
「初見殺しもいいところだ」
「ねぇねぇ。何でキーボードで反応しなかったの?」
女々が首を傾げて俺を見る。
「おそらくこのシューティング、マウスと連携してる仕様なんだと思う。マウスを右に動かせばプレイヤーも右に移動する。左なら左に移動する」
「そっか。もう一回やってみよう」
蒔杜がそう言って『再スタート』をクリックした。
「すぐ始まるからね!!」
女々がそういうより早くクリックし、またもや突然ゲームが始まった。
「マウスマウス」
女々がぱたぱた身体を動かしてマウスを指差す。すぐさまマウスを手に取った蒔杜はマウスを左右に動かして見せた。
予想はどんぴしゃ。プレイヤーである飛行船は右へ左へ縦横無尽に大移動を始める。
左クリックでミサイルを飛ばせるようで、それを駆使して前方からやってくる色んな形をしたカラフルな敵を打ち倒していく。
「これは、ちょっ……あっ」
倒しても倒しても押し寄せる敵に大混戦。あっという間にゲームオーバーになってしまった。
「確かに激むずかもしれない。最初面なのに敵が後半並みに多いよこのゲーム」
「次、私やっていい?」
そう名乗りを上げたのは、藤菜。
「じゃあ、藤菜さんここに座って」
蒔杜は自分の座っていた椅子から立ち上がって、藤菜に席を譲る。
席に座ると、藤菜はよしっといき込んで『再スタート』をクリックした。
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