第16話 明日天気になーれ

俺はいったい何のために生きてんだ。


惰性でごろごろ生きてるわけじゃない。


いろんなことを感じ傷つきながら生きてる。


でもそういう敏感さって本来自己中心的だ。


傷ついたり悲しんだりするってことはやっぱり我にこだわってる小さい自分がある。


もうそういうのとはおさらばしよう。


これは断じて幸福などという卑猥な境地などではない。


口をあけて食欲に怒り狂った鰐が下のほうで呻いていた。


ああ、これが女なんだ。


犠牲とは自発的なものだ。


自発的なもの意外は偽善である。


そしてその自発性は溌剌とした純粋な探究心のようなものである。


無限の母性はすべてを慈しむ。


甘やかされて育った家猫が隣のボス猫にいじめられて生涯を終えた。


そんな彼は、家の花壇に咲く花々を愛する優しい心の持ち主であった。


道端の雑草も、雑貨屋のおばちゃんも、キリストも仏陀も、


それぞれに自己実現しており、自らを世界に向かって輝かせている。


世の中をすべて知り尽くすと意気込んだ日雇いのおっちゃんは、精神科の医者に冷や


かされ、悟りの境地を普通の人生と思い込んだおじさんは、つまらない文字通り凡庸


な人生を送り、ただ幸せになりたかった我の強い少女は、整形するまえにイケメン彼


氏を捕まえ、幸福というみんなが羨む愚かな境地をゲットできそうだ。


また、労働は社会を壊すと考え、親と縁を切り、生活保護を受給し、徹底的に反逆す


るお兄ちゃんは、結局、認められたがって社会に挑戦している。



こんな矛盾を抱えた、笑うべき世界をすでにみんな楽しんで生きてるのだから、何も


問題なくすべてがありのままに自由であり、悟っている。


ああ、限りない慈愛をお持ちの母なる女神よ。


母よ、何で空はあんなに青いのでしょうか。


現代は女性は男性化し、男性は威厳を辱められる時代となっている。


仏陀は末法の時代には、妻が夫を見下すだろうと予言していた。


若者の恋愛離れは進み、少子化も顕著であり、孤独な人も増え、


愛の砂漠化とも言える現象が起こっている。


そんな今日、愛の意義とは何かと問われたらなんと答えていいのだろう。


答えよう。与えないことは罪であると、自分を常に開きいじけず与え続けること。


自分の痛みは一切無視しなさい。それこそが悟りへの道であり、悟りであると。


子供たちにサンドバックにされても枕は何一つやり返さなかった。


天真爛漫の青空は、ただどこまでもどこまでも、青く輝き渡っていたのでした。


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