第14話 碧空の涙腺

まどろんだ碧眼に映った永遠の青


鮮血に濡れた真紅の意志


限りなく透き通った。


倒錯的な悦楽の日々に


白痴のように麻痺した知性は


知そのものによって代用されてその役目を終える


淀みなき知は、知性の屑を焼き尽くしたのだった。


本当に泣くことができ、本当に笑うことができるってすばらしいことだね。


梵天の手にした数珠の玉に、煩悩の果てしない悲哀が染込んでいるのが見えた。


すべての人を兄弟と見、愛の炎に身を焦がす。


本当に心から生きることができる。


それが悟りというのならば、


覚者が、事故死した孫の仏前で、ひたすら涙を流すことも自然だ。


小便残したように行き残すのが普通の生き方だとしても・・・


嗚呼。もう少しだ。もう少しで指が届く!


安らぎよ!


あ``  dadada


そうだ。永遠に届かないんだ。


先回りした結論がない、未知への探求。


真っ暗な洞穴に冒険するダヴィンチ少年。


ヴァギナを侵犯するペニス。


俺は、今なら。クリーニング店のおばちゃんや、土方のおっちゃんに自信もって真理を説けると思う。


そんな気がした。


雲ひとつない碧空であった。


シャーリプトラは、悟りを開いてもゴータマとともにいたがったといわれている。


悟りを開いても、いつものように仏陀のいる方角に向かって礼拝したらしい。


そしてその両眼は、しばしば涙に濡れていた。


悟っても師を思って泣けるってのはシャーリプトラはすばらしい人だったんだろうな。


2000年前、濡れた彼の両眼に映った碧空は、現代の私の目の中にも。


変わることなく。

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