第9話♢ ようやく始まる異世界生活:9


「で?私に町長の悪事を探せと?」



「ああ、そうだ。」



あの後このメイドに町長の悪事の事に着いて話していた。

俺はこのメイドを使い、悪事を暴き町長を逮捕するのが目的だ。


他にも、どこかの種族を繋がりがあるかも知れ無い



「そんなの私バレたら殺されるんだけど……」



「安心しろ、そうなったら俺がテレポートでお前を助けに行く」



ふと思ったのだが、テレポートって遠く離れた物体でも俺の居る方向に移動出来ないのか?

まあ、そんな事はどうでも良い俺がやる事はただ一つこのメイドを守るそれだけ



「別にあんたに助けられなくても、大丈夫よ私は……ずっと隠していたから、私が強い事を……」



「それでもだ、保険とでも思って居てくれ」



「はあ、分かったわよ」



そう言って、メイドは溜息を漏らしたした後、俺の提案を承諾した。

まだだ、もう一つ手を打った方がいいな……


そう、俺の狙いはこちらでは無い、もう一人のメイドだ。

こちらは、囮で本命は違うメイドである。



「それで、名前は?」



「え?えーとーリリア……」



「リリアか、よろしく」



そう言って、俺はリリアに右手を差し出す。

そして、リリアは少し顔を赤くしながら俺の手を優しく握りしめた。

その手は、微かに柔らかく仄かに暖かかった。



「なあリリア、町長の屋敷ってどんだけ広いんだ?」



「うーん、そうね……この家10個分くらいかなぁ?」



「ええ……大きいな」



「うん、この辺りだとダントツに大きいわ」



「え?もっと大きい屋敷があるのか?」



「えーとー、領主のアールズ・ベルト・アインシュタインの屋敷がこの家100個分かな?」



「大きいな」



俺は、余りにもの大きさに言葉を失う。

この家でも、かなり大きいのにこれの倍大きいとなるとかなりの大きさだ。


あと、このリリアの家は現代日本で例えると年収1000万位のお方が住んで居る家程の大きがある。

決して小さくは無い、領主の屋敷が大きいだけだ。


俺は、この名前を何処かで聞いた気がした……



アールズ・ベルト・アインシュタイン_____________





俺は、リリアの家をお暇した後もう1人のメイドの家へテレポートで向かった。

又もや、かなり大きい家だ。

部屋の明かりが一つも付いて居ない恐らく寝ているのだろう。


まあ、俺的には有り難い事なのだが

俺は、『神の知恵』の能力の一つ暗視スキルを発動させ家の中へテレポートをする。


暗視スキルのおかげで、家の中はよく見え家具に当たらずメイドの部屋へ向かう事が出来た。

二階の廊下を歩きその突き当たりがメイドの部屋だ。


静かに部屋のドアを開け、侵入する。

無論、気付かれ無い様静かに

部屋には大きなベットがあり、その中で毛布に包まりスヤスヤ寝ているメイド。


剣を静かに抜きメイドに近づく、そしてメイドの首に剣を当てながら俺は声を出した。



「ハーベン……」(中級魔法の一つ、ハーベンは相手を動けなくし拘束する事が可能)



「うぅ!」



メイドの、息が途切れ途切れになり過呼吸となる。

ベットの上をドタバタし様とするがハーベンの能力で動けないメイド

俺は、ハーベンをすぐさま解除してメイドに話しかけた。



「俺の、物になれ……」



「ふぇ……?」



急な事で、未だ現状を理解出来ていないのかメイドは首を傾げている。


暗闇で顔立ちはよく見れないが、目が光り輝やいている。

その目は、血の様に染まった紅色……

そう、オーガだ。


この世界では、人間が黒い目 幻獣は葵い目 エルフは緑 妖精は金 オーガは赤 魔族が紫

となっている。

色が濃ければ濃い程、悪側に近くなりやがて闇の手に落ちてしまう。


そう言う決まりがこの世界には存在するのだ。

だが何故、目の色が濃いオーガが人間のメイドなどをやっているのだ?

普通ならそんな事有り得ない筈なのに……


と言う事は、やはり町長は裏でオーガと繋がっている。


俺がそんな事を考えていると、オーガのメイドはやっと状況を把握したかの様に体をビクビクさせて踠いている。

のだが、全く抵抗出来ていない。




「おい、動くな。」



「ぼふぉ!」



俺が手で口を思いっきり塞いでいた為、息が出来無くなったのか次は咳をし始めたので慌てて手を外し呼吸をさせる。

こんな所で死んで貰っては困るからな。


メイドは、めい一杯体に酸素を取り入れた後、今度は全く驚きもしないで俺を輝く紅の瞳で真っ直ぐ見つめて来る。



「いま、リリアから脳にテレパシーでメッセージが送られてきた。」



「……え?」



「貴方は、悪い奴じゃないけど夜這いは駄目だよ。」



「だから夜這いじゃねえ!」



どうやら、リリアが俺の事をこのメイドにテレパシーで安全と警告を促したらしい。

正直ありがたい、わざわざ事情を説明する手間が省けた。


だが、どうしてこうも夜這いと勘違いするのだろうか。

俺は、そんな事し様としていないのに……



「はあ」



「ねえねえ、なんで貴方リリアと同じ髪の色と目をしているの?」



「さあ、俺にも分からない。」



こんな、話しをしている場合では無い、早く深い事情を説明しなければ

そう考えて、俺が口を開こうとした瞬間

メイドは、全てを知っているかの様に言葉を発した。



「町長の裏を探れでしょ?」



「なんで知っている。」



「リリアから全部聞いた。」



本当にリリアから全てを聞いた様だ。

まあ、ありがたいんだけどさ……なんか、雰囲気がね……?



「ああ、そうか……」



「で、私もオーガなんだけどどうするの?」



「お前は、もう俺の所持品の中に入ったからな、お前が抵抗し無いのであれば手荒な真似はしないよ。」



「ふーん」



半信半疑な顔で俺を見て来るメイド、完全に信用して居ない様だ。

このメイド、リリアよりも確実に強い俺はそう感じた。

やはり、オーガだけあって魔力は倍に近い程高い。



「で、お前はこの作戦に加担してくれるのか?」



「ん?出来る限りはするつもりだよ。リリアがやるって言って居るからね」



「そうか、それじゃあよろしく頼む。」



「うん。」



「あ、君名前は?」



「無いよ。」



「え?どう言う事だ?」



「私まだ子供の頃、人間に両親を殺されて名前を覚えて居ないの」



「それじゃあ、リリアに何て呼ばれているんだ?」



「え、君とかあんたとかかな?」



「それは、ちょっとな……うーーん、決めたぞ!お前は、今日から『ちよりん』だ!」



「…………」



部屋の空気が、固まる………



「……テレポート」



俺は、テレポートですぐさま空気の固まった部屋を後にした。

女の子の部屋に来るといつもおかしな感じで終わってしまうだが、なんなんだ呪いなのか?


俺は急いで部屋から脱出したが未だ部屋の空気は固まっているだろう………。





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リアライズ:ワールドで異世界生活 瑠奈 @Re_zeroRemu1207

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