第4話♢始まるフロント:4

「私の名前は……ミュー……幻獣族の族長の娘、私強い……」



気弱な女の子は、俺の目をしっかりとした眼差しで見つめ『強い』と言い放った。

その目には、どこか特別な能力を感じる。


幻獣族?


なんだ、その種族は……この世界には人間以外にも多様な種族がいるらしい


<>幻獣族


<>エルフ


<>オーガ


<>魔族


<>妖精族


そして。

<>人類


この、5つの種族でこの世界は成り立っている。

だが、オーガと魔族は別種だこの2つの種族は、違う世界からいきなり現れこの世界を支配しようと企んでいるのだ、

実際もうこの世界の領土は、半分以上オーガと魔族の物となっているのだから

そして、どんな種族よりも最弱なのが人類だ……


しかし、この世界でも人類は自らの知恵を伸ばしてしっかりと魔法やら特殊能力、空を飛ぶなどと言った

特有の力を持った種族としっかり対抗出来る程の力がある。

それは、他の種族が作れない物そう_____機械だ。

この世界の人類は、俺が元居た世界よりもかなり発達した技術を持っており、核爆弾、弾道ミサイル、レザー砲などあらゆる科学兵器を駆使して他種族と戦い見事に勝利した。


でもなんでこの世界は、オーガや魔族が実権を握っているか?

その答えは、簡単_____人類は裏でオーガ、魔族と手を支配して居いるのだから……


やはりどの世界も同じの様だ、

弱者は消え、強者が生きる。

それが、生きている我々に掛けられた呪い。



「なあ、ミューこの世界はどの種族が一番強いのかな?」



「それは……人類」



はやり、この世界でも人類は生態系の頂点に位置している。


でも……魔王とかは?神様に『魔王とかじゃないですかね〜?』とか言われた気がするのだが……

俺が倒すのって人間なのか?それだけは、極力避けたい。



「……人類か」



「ユウキも人類?」



ミューは、少し怯えながら俺から距離を取り聞いてくる。

かなり、人間を警戒している様だ



「いや、違うぞ俺は_____革命者だ」



俺は、とっさに考えた意味不明な事を口走った。

何言ってるんだ?俺


そんな、違う世界から転生して来た。中二病さんをミューは、勇者でも見ているかの様な輝いた目で俺を見てくる。



「ユウキ、カッコイイ……」



やめてくれ、ミュー……俺の心が痛い。

とっさに思い着いた。中二病発言をミューは笑いもせずに『カッコイイ』などと言い放った。

前の世界では、カッコイイ何て言葉は、一度も言われた事が無いので、結構……いや超嬉しい。



「ああ、そうだろ! はははは……」



「………うん。 ねえユウキ、私の家族……いや、幻獣族を助けて!」



急に何かを言い出したかと思うと、幻獣族を救え?何から?



「ど、どう言う事?」



「現在私達、幻獣族はオーガと戦争をしているの______


その後、1時間程今まで幻獣族が辿ってきた歴史を大雑把にミューは俺に教えてくれた。


_____この戦争が勃発したのは今から、紀元前1000年前にオーガが、幻獣族の領土に攻めて来た事がきっかけで起こったと書物には書かれており実際にはどちらが最初に攻撃を仕掛けたかは分からないらしい、なんせ紀元前1000年前なのだから……


最初は、完全に幻獣族が勝っていたもののある日を境に戦況が一変した。

その日は、人類の技術革命の日_____。


1000年もの間ろくに空を飛べなかった人類は、今じゃ完全に空を制覇してしまっている。


人類は、どこまで技術を進化させれば気がすむのだろうか?


空飛ぶ船・地上を支配する鉄の塊・爆破する雨・吸うと死ぬ煙・触れると溶ける水・炎を吐く棒を背負った人間_____



その日、人間はオーガと同盟を結んだ。


そこから、幻獣族は攻めから完全に防衛の方へ回ってしまった。

それが、100年前の話しそれで現在は、

幻獣族最後の砦、『要塞エルグランテ』難攻不落と称された砦が陥落寸前で耐えているらしい、この戦いで負ければ幻獣族どころか、エルフ、妖精、が全滅してしまうのだとか。


そこで、驚異的な力を持った俺に力を借りたいと言う事か……



「わかった、出来る限りの事はする。」



「ありがとう。ユウキ……」



「ああ。」



俺は、ミューの顔を見て優しく微笑んだ。

そろそろ、が暮れる……この世界の太陽は、西に傾いて落ちる。

夕日が優しく俺とミューを照らす。


何だろうか、この世界___



「嫌いじゃない……」




「ユウキ……起きて、ユウキ……」


誰かが、気持ち良く寝ている俺を揺さぶっている。

誰であろうか……?あーまた今日も学校今日はどんな虐めをしてくるんだろう。



「う……ん……」



「あ、起きた」



あれ? 目を覚まして上を見ると、真っ青な快晴の空が広がっている。

俺の家じゃない……?


そうだ、俺異世界に来たんだったな……


昨日の夜、俺とミューは夜に草原を移動するのは危険と判断しここで野宿する事にしたのだ。

なぜなぜきけん危険かと言うと、夜の草原にはありと大量のモンスターが発生するらしく、集団で戦闘されるとかなり厄介だとか……


まあ、今いる草原はRPGゲームで言うと始まりの草原みたいな感じで、発生するモンスターはかなり雑魚で系統で言うと、スライムなどと言ったら分かり易いと思う。

それで、俺達がこれから向かおうとしている場所は『要塞エルグランテ』

そこへ向かい、幻獣族を救う____ただそれだけ。



「おはよう、ミュー」



「うん。おはよう」



なぜだろう、ミューが輝く瞳から今にも溢れ出そうな涙をこえている。



「ど、どうした?ミュー」



「さっき、私の能にテレパシー伝言が届いて……その伝言の内容が『要塞エルグランテ』が陥落したって……」



そう小さくミューは呟き、堪えきれなくなった涙を瞳から滝の様に零しながら下を向いて目をこすっている。



「本当なのか?」



「本当……どうしよう」



俺が行く前に陥落するとはな……

想定外の展開に正直、俺もかなり動揺していた。

ここからどうすれば良いんだ……?分からない。


助けに行くか?ここから、『要塞エルグランテ』まで約、50キロメートルは余裕であるはずだ___

今からでは到底まに合わない、瞬間移動でも使えればな……


ん?瞬間移動?俺もしかしたら……



「ミューちょっと俺に近づけ!早く!」



俺がそう言うとミューは、急いで俺の近くに寄って来た。

そのまま、コトハの肩に手を添えて頭の中でこう呟く



(ブラスン!)



そのの瞬間、俺とミューの周りが薄れていく、そしてさっきまで草原だったはずの景色が大きな要塞に変わっていた。

やはり、神の知恵ストールの能力に瞬間移動が含まれていたらしい


要塞からは、もくもくと黒い煙が上がっており少しだが血の匂いが漂っている。

俺は、驚愕しながら足を一歩踏み出すと踏み出した足が何か柔らかいような固いような物を踏んづけた。



「なんだ?」



下を向いて、何を踏んだか確かめるとそれはあまりにもひどい物だった。

俺が踏んだものは、幻獣の生首……

生首を見たとたん気分が悪くなり地面に足を付けて生首から目をそらす。


吐きそうだ、



「うえーーうえーーー」


吐こうとするが、何も食べていないので口からは何も出ない

これが、戦争か___



「ユウキ……大丈夫?」



「ああ……」



ミューは、吐きそうになっている俺を見て心配した表情で優しく見つめる。

よくこれだけグロテスクな物を見て平気でいられるな、


そんな事よりも、幻獣族は?



「ミュー幻獣族の人達は?」



「いま、伝言が入った。幻獣族は西の森へ撤退し明後日総攻撃を仕掛けるらしいわ、私達もその攻撃に参加しろと……」



ひとまず、幻獣族が全滅しておらず安心した。攻撃を仕掛けられる位だまだかなり残っているのだろう。

けれども、時間の問題だ時間が立てば幻獣族の『要塞エルグランテ』奪還確率はかなり下がる。


当たり前だ、相手はどんどん、この要塞に援軍を送り込んで来るのに幻獣族は飢えやびょう病気で死んでいく、どちらにせよ幻獣族が勝つ確率はかなり低い。

俺が居ない限りは……



「なあ、ミューここから西の森までどれ位だ?」



「約5レズン、程だと思う」



この世界では、キロメートルをレズンと言うらしい



「5レズンか……よし、ミューもう一度ブラズンするからつかまれ!」



「うん。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る