十二番目の志士3 象山塾に行くと大勢の若者がおり、それぞれ自分の好きな分野で何かを作っていたのです、象山塾は座学だけではなく実際に洋学で知りえた知識にて物を作る実践学を教
十二番目の志士3
象山塾に行くと大勢の若者がおり、それぞれ自分の好きな分野で何かを作っていたのです、象山塾は座学だけではなく実際に洋学で知りえた知識にて物を作る実践学を教えて、
いたのです、象山は目上の者にも遠慮なくものを言った為、悪癖の強い者と見られていたのです、象山の言う事は今ではほんの常識なのだが当時の人にしてみれば夢物語で、
あり、年寄りからはほら吹きだと思われていたのです、
日本で始めて大口径の大砲を作るなどの功績を挙げているのですが、それらが幕府に採用される事は無かったのです、新之助が黒船に乗った事を聞き自分も乗りたいと幕府、
に頼んだが許されるはずもなく、何とか外国に行く手立てはないものかと考えるようになっていったのです、象山が新之助を見つけて丁度いいところに来た今大砲の射程距離、
について話していたところだ、
僕に代わって算術による三角関数の仕組みを教授してくれというので、教壇に立ち黒板に三角形を書いて、内角は90度でありそれに細かく角度をいれ、放物線を描き角度に、
より玉の飛ぶ距離を話し、最初の一発の着地点から角度を調整して敵陣に砲撃する事を話し、戦いにいかに算術が必要かを話したのです、集った若者は各藩からの江戸留学、
生で貪欲に学んでいたのです、
教壇を降りると龍馬があの奇人の師匠はお前を気に入っているみたいだなあと笑うので、僕達が洋学あまり知らないから奇人と思うのであって、外国ではごく普通の事なんだ、
よというと、しかし外国にも行った事がないのによく知っているもんだというので、それだけ西洋の事情の書いた書物を読んでいるのだろうと言うと、すべてオランダ語か、
エゲレス語だからなあと龍馬が言ったのです、
龍馬の知り合いに中浜万次郎というものがいるそうではないかその者はエゲレス語が喋れるのだろうと聞くと、そうだよ、今日は幕府の用事が終ったら会う事になっている、
それでは行こうかというので、深川の居酒屋に行く事にして川舟に乗ったのです、深川で船を降り一軒の居酒屋に入り酒と肴を頼んだのです、酒が来たので盃を重ねると、
龍馬がこれからこの国はどうなるんだろうと言うので、遠からず開国せざるをえないだろう、そうすれば外国から色んな知識が入って来て、今までの暮らしがガラッと変る、
可能性があるさというと、支那は外国に蝕まれていると言う事だが、くずくずしていると日本もそうなるよと龍馬が言うので、今の幕府や各藩の重役がしっかりしていれば、
いいがというと、
、
既得権のある年寄りが真剣に考えるはずがないだろう、若者が各藩を改革する事が急務なんだが年寄りが邪魔をするので、中々うまくいくはずはないなあと龍馬が酒を飲み、
干したのです、一人の男が近づいて来て坂本さん待たせましたというと、龍馬が中浜万次郎君でこっちが高杉新之助君だよと紹介したのです、こ上がりの座敷に座ったので、
龍馬が酌をして再び盃を重ねたのです、
龍馬が役人への教授はどうだと聞くと、てんでお話になりませんよ、私が漁師の出だとあなどっているのか全然まともに聞きませんよ、そうか幕府は250年も続くと骨の隋、
まで腐っているというわけか、まあわが藩も上士がえばりくさつているのは同じだがといったのです、新之助がアメリカの話しを聞かせてもらえますかと言うと、アメリカ、
は西洋からの移民の国です、
特にエゲレスからの移民が多く言葉はエゲレス語です、国土は広く地平線まで草原が広がり、牧畜、トウモロコシ、小麦粉の栽培が盛んです、また町の建物はすべてレンガ、
作りでして、道もレンガがしきつめてあり雨の日もぬかるみになる事はありません、道には岡蒸気が走り、岡蒸気というのは鉄の箱が蒸気で走るのです、レールという二本、
の線路の上を走るのです、
何百里まで線路が敷いてあり、たとえば江戸から大阪までだとすると1日で行く事ができるのです、これにともない鉄を溶かしていろんな物を作る職人が沢山いるのです、
大砲、鉄砲、蒸気船も沢山作られて、川も蒸気船が走っているのですよと言ったのです、電信というものがあり、遠くに言葉を瞬時に届ける事ができるのですと話し、
将軍と同じ大統領という人が政治をつかさどっているのですが、これは4年に一回入れ札で選ばれます、またその下に議員という人達がいて国の事を談合で決めるのです、
この人達も入れ札でえらばれますと話したので、新之助がそれはすご~い、この国では考えられない事だと言うと、なんでも民主主義という事で国の民がすべてを合議、
してきめるという仕組みだそうですと話しを結んだのです、
そんな話をしたらさぞかし幕府の役人は驚くだろう、この国はすべて世襲制だからなあと龍馬が笑ったのです、新之助がエゲレス語を教えて欲しいと頼むと、いいですよ、
但し私は日本語がかけないので文章に表せませんというので、それではエゲレス語を日本語に変えるものを作りましょう、万次郎さんがエゲレス語で書いた文章を私が、
日本語で書きますと言ったのです、
それを見れば意味がわかるでしょうと言うと、そうですね、それではさつそく人の顔から行きましょう、顔はフエイス、目はアイ、耳はイヤー、鼻はノーズ、腕はハンド、
というので次々と書きとめたのです、龍馬がこれはいいと言うと、万次郎がこれは辞書と言って、英語からオランダ語はありましたよと話したのです、
楽しく歓談していると、万次郎がヤツパリ龍馬さんや新之助さんはいい、私も話しがいがありますよ、なんでも質問してくださいと喜んだのです、時間が遅くなったので、
お開きにして龍馬達と別れて長屋に戻ったのです、お妙が茶づけを出したのでかき込み、辞書を整理しているとそれは何ですかと聞くので英語の意味を日本語に変換する、
辞書というものだと言うと、
兄上私にも英語が喋れるのですかと言うので、辞書を渡しその通り話してみなさいというと、グッドナイトというので上手い、上手いと褒めると、出来あがったら私にも、
ください、これから何かの役に立つかもしれませんと言うので、わかつた一冊やろう、女子が英語を喋れるとは皆ビックリするよと笑ったのです、
翌日から毎日三人で酒を飲みながら辞書作りに精を出し、一月もすると日常会話の出きる辞書が出来あがったのです、妹の妙が転写して8冊の辞書が完成し、万次郎と龍馬、
新之助にお妙が一冊づつ持ち残り4冊を象山に渡すと、これは凄いとビックリして、全部で25両で引き取ろうと小判を渡したのです、龍馬と万次郎に20両渡すと、二人とも、
浪人の新之助のものだといい受け取らないので、
それでは3人の懇親会の飲み代につかおうと預かったのです、長屋に帰り妙に預けると、そんなになったのですかとおどろいています、妙が兄上我が家にはいくら金寸が、
あると思いますかというのでさあと返事すると、兄上の指南料を蓄えた金寸が250両近くありますよ、何かあれば遠慮なくいってくださいと言ったのです、凄いではないか、
欲しいものがあれば買ってもいいよと言うと、
これは兄上が仕官する為に蓄えたものですと言うので、その内いい仕官の口があるだろうと笑ったのです、寝酒とめざしを出したので酒を飲み、妙もそろそお嫁にでもいか、
なければならないなあというと、兄上の仕官が先ですというので、ハイ、ハイと返事したのです、
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