いつか空の行き止まりまで:解説
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登場人物・事物蛇足解説
ルクセンブルク-フィンデル空港:
フランス・ベルギー・ドイツの狭間にある西ヨーロッパの国、ルクセンブルクの国際空港。といっても、ルクセンブルク自体が神奈川県くらいの大きさの国のため空港はここしかないので、発着する定期便は全て国際線。あと2015年1月に空港内にスタバができました。
ルクスエア:
ルクセンブルク-フィンデル空港をハブ空港とするルクセンブルクの航空会社。時間にはわりとルーズなところがあるらしく、ちょくちょく遅延するようです。ルクスエアのほうが規模はずっと小さいものの、後述するカーゴルクスの親会社。
TGV:
フランス国鉄の高速鉄道で、すごい雑にいうと日本の新幹線みたいなもの。飛行機の幽霊が乗れるかどうかは知りません。
カーゴルクス:
ルクセンブルク-フィンデル空港をハブ空港とする世界有数の規模を誇る貨物航空会社。ルクスエアーの子会社として1970年に設立されましたが、フィンデル空港の立地の良さや貨物便に対しての使いやすさも相まってその後めきめき成長。ボーイング747型が大好きで現在の保有機材26機は全て747型であり、日本貨物航空とともに747-8(貨物)型のローンチカスタマーになりました。747-8貨物型については製造初期の性能不足でボーイングとすったもんだがあったものの、747型受領30機目の機体には747型の父として知られるエンジニアのジョー・サッター氏のデカールを施すなど747型への愛は止まらないようす。
http://flyteam.jp/airline/cargolux/news/article/47302
特定の一機を探す人なんて:
欧米では航空ファンのことをプレーンスポッターと呼びますが、そういう人のなかでも特定の機体のファンである、という人はあまりいない様子。バードウォッチャー的な感じなんでしょうか。
シティ・オブ・ヴィアンデン(LX-VCA、前の名前はジャック・ワッデル):
今回の話の主人公機体で、ボーイング747-8型1号で元試験機。現在はカーゴルクスにて貨物機として働いており、現在の名前はルクセンブルクの都市、ヴィアンデン市にちなむもの。たまに日本にも飛んでくるよ。
https://www.planespotters.net/airframe/Boeing/747/LX-VCA-Cargolux-Airlines-International/0Gr8SpJb
ボーイング747:
1969年2月に初飛行し、現在販売されている747-8型に至るまで改良が進められつつ生産され続けているボーイングのロングセラー大型機で、愛称はジャンボジェット。旅客型だけでなく、貨物型の需要も高い航空機です。
ちなみに座席上部に扉つきの手荷物入れを設けたのは747が最初だそうですよ。
ボーイング747-8:
現在世界最長の民間機。販売不振でボーイングは旅客型生産終了の可能性を示唆し、現に2017年8月の大韓航空機「HL7644」のデリバリーで旅客型の受注残数は0に。しかし貨物型はまだ作るようなので、製造ライン自体はまだもうすこし残る様子。
ボーイング:
旅客機メーカーの現在のツートップその1。競合している関係でエアバスとは仲が悪く、A380に対してかなり強烈なネガティブキャンペーンを展開した……のですがtwitterでは現在エアバスと相互フォロー。でもたまにプレスリリースで殴り合ってる。でも新型機の初飛行はお祝いする。グッズ展開が上手。
https://twitter.com/BoeingAirplanes/status/921008727565750272
試験機:
航空機を開発する際の試験は多数存在しますが、新型機の場合には大抵、翼などの強度を確かめるためワイヤーなどで引っ張って(力をかけっぱなしにしながら)強度を計りどこで破断するかなども調べる静強度試験機、同じく強度を確かめるため水に沈めて何度も力をかけたり戻したりしてフライトを繰り返した場合に生じる材質に対しての疲労を再現する疲労試験機、実際に飛ばして性能等を調べたり調整したりする飛行試験機が作られます。テスト段階でも供用に値する性能だった場合には飛行試験機は試験後そのままどこかに受領されたりしますが、静強度試験機と疲労試験機のほうはそもそも機器等飛行に必要な仕組みを持たない構造だけのハリボテで、かつテストが終わるころには構造寿命を使い切った状態となるため、基本的にそのまま解体されます。
シティ・オブ・エバレット(City of Everett):
1969年に製造されたボーイング747型の第1号機(N7470)で、現在はシアトルの航空博物館にて展示されています。この名前は巨大な747型の製造に際して建設され、現在でも同社最大の(そして世界最大の容積を持つ建築物でもある)工場があるエバレット市にちなむもの。威風堂々たるクラシックジャンボの長兄…なのですが、製造初期の747型はエンジンのパワー不足や機体の重量超過を初めとする各所の問題がありました。彼も性能的にはあまりよくなかったのでしょうが、巨大で置いておくだけでも管理が大変な彼が、試験が終わったあとも現在に至るまでスクラップにならず、塗装の塗り直しなんかも定期的にされながら1機まるまる保存されているあたり、彼の誕生及び彼より続く747の系譜がボーイングにとってどんなに大きなものだったかが伺えるかもしれません。
貨物型の747-8を受領前に倒産した企業はなかった:
あくまで貨物型の話。高額な最新機種、特にA380や747-8のような大型機の場合には、発注社の業績悪化等で支払いが滞って発注が取り消しになったり、受領できずに倒産してしまったりということがしばしば起こります。共に旅客型ですが、A380を発注していた企業では日本のスカイマークとインドのキングフィッシャー航空、A380と787-8を両方発注していた企業ではロシアのトランスアエロ航空が、それぞれ発注した機種を受領できないまま破綻しました。幸いスカイマークは御存知の通り生き返りましたが、トランスアエロ航空の方は復活するかもという情報はあったもののその後音沙汰なく、キングフィッシャー航空のほうは2レターコード(国際航空運送協会が各航空会社に割り振る識別用の2文字の略号。航空券などに使われます)も後に創業した他社のタイガーエア台湾に割り振られ見込み薄。起死回生の一手がそのまま致命傷となることもあるので、新大型機材の導入はシビアです。
エアバスA380:
市場シェア50%獲得を目標としたエアバスが超大型機種部門への進出を目論んで生み出した、現在世界最大の民間機。全部ビジネスクラスにして最大限座席をぎっしりにすると853席という凄まじいキャパシティ(ただしA380を発注するエアラインはたいてい余裕がありファーストクラスやエコノミークラスを設けるため、このぎっしり機は作られたことはありません)。2014年頃販売不振によりエアバスも一時は生産終了の可能性を示唆していましたが、大口顧客の契約により機種として延命したようです。新型エンジン換装型のA380plusの開発予定もあるようですが…? 非公式に「スーパージャンボ」の愛称で呼ばれることもあるものの、「ジャンボジェット」の愛称ほどには普及していません。
エアバス:
旅客機メーカーの現在のツートップその2。競合するボーイングと仲が悪いと思う……のですが前述の通りtwitterでは相互フォロー。でもたまにプレスリリースで殴り合ってる。
大型部品の輸送にボーイング機ベースの輸送機(スーパーグッピー)が必須だったちょっと恥ずかしい過去があります。
超大型輸送機導入計画:
1960年代初頭の米空軍のCX-HLS計画。ボーイング・ロッキード・ダグラス・マグドネル・マーチンの5社が案を提出し、最終選考にはボーイング・ロッキード・ダグラスの3社の案が残りました。当時米軍は駐留先の各国から規模の縮小を求められており、しかしもし有事の際には一気に大量の物資を運搬する必要があるけれど、そのためには当時使っていた輸送機では小さすぎたから、という背景があります。
なおこの計画の立案、ホントは空軍じゃなくボーイングのほうから「こういう輸送機必要ですよね」といった体で出たものであり、エンジンの選定や予算要求書の制作にもボーイングが協力していたとか。
それを踏まえても、絶対自分がとると思ってた案件をロッキードにかっさらわれて相当悔しかったでしょうね。
いろんな事情から:
ロッキードは始めわざと安い価格で入札しておいて乗り換えきかなくなったあたりで値上げ交渉するつもりだったから・米上院議員のお膝元で生産を行うことで雇用や財政なんかをアレしますよと約束というか根回しをしてたから・別機種の輸送機納入の実績があったから・製造工場がたまたま空いていたから・政府は大型輸送機と超音速旅客機と軍用宇宙ステーションの3つのプロジェクトをロッキードとボーイングとダグラスの3社に1つずつ割り振るつもりだったらしいから…などなど。どれが正しいのかも正直定かではありませんが、何か一つの理由じゃなく複合的な要因だった感じがあります。
C-5 ギャラクシー:
CX-HLS計画の結果できたロッキード社の(当時は世界最大の)超大型輸送機。上からのシルエットはサイズ的にも747とだいぶ似通った印象です。なお受注社発表の前に愛称の「ギャラクシー(銀河)」が発表されたとかでモロバレやんけお前(ロッキードは機種の多くに星にまつわる名前をつけていました)。で、国が買ってくれることになったんだから売り上げとか色々と安泰ですね?と思ったらそれどころじゃなかった。大幅な重量超過、重量削減からの強度不足、開発が同時進行した旅客機L-1011 トライスターと共にかさんだ開発費用で会社が火の車になるだとかすごい大混乱を巻き起こします。そのへんは以下で。
https://togetter.com/li/1111543
ローンチカスタマー:
新製品の開発と販売を決定づける最初の大口顧客。メーカーに次いでその製品の親のようなものともいえます。787型の場合はANAがローンチカスタマーでした。
パンアメリカン航空(パンナム):
1927年から1991年まで存在したアメリカの航空会社、今は亡きかつての空の王様。あるときはアメリカの国際線を独占しようと企てたり、またあるときは政府とがっちりだったりもしていて、そのつよさときたらたいへんなものでした。アメリカのフラッグキャリア(国を代表する航空会社)で、その慧眼により747のローンチカスタマーとなり、航空輸送が庶民にも手の届く、より身近なものとなるための潮流を起こした会社です。
しかし、安価な大量旅客輸送手段として747を望み、また多くの747を保有・運用した事自体が、後々彼の首を絞め、破滅へ向かわせることとなるのです…。
ファン・トリップ:
747の開発と導入を強く推したパンナムの創始者。その目処がついた頃経営の座を後任に明け渡して引退しましたが、その後からパンナムの雲行きはどんどん怪しくなっていきます。
747を指して「人類の運命のために大陸間ミサイルと競合する、平和のための大きな武器だ(a great weapon for peace, competing with intercontinental missiles for mankind’s destiny.)」と言ったそうですが、まあなんというかパンナムは米政府とずぶずぶだったので、ベトナム戦争中も軍との契約で兵士の戦時休暇のための特別便飛ばしたり平時から長らく軍事輸送とかもしてたらしいから、ほんとのこというとパンナムにとっては戦争も商機のひとつに過ぎなかったんですよねハッハー
世界初の民間宇宙飛行の運行会社となることを目論見て予約も取っていたとか。この野心家つよい
パンアメリカン航空の凋落と最期:
747の比類ない旅客キャパシティを活かしライバル社からどんどん乗客を奪ったパンナムでしたが、ややあって様子見していた競合他社も相次いで747を導入。これにより激しい価格競争が勃発します。また同じ頃前述のベトナム戦争が終わり、軍などのチャーター便がなくなった他、オイルショックによって燃料費も高騰し、ますます収益性は悪くなっていきます。しかし(まだ)名門であったパンナムはパイロットや乗務員の高給をカットすることもできず、経営は慢性赤字の状態へ。国内線の拡充を目論んで他社を買収しますが、運用機種に共通性がなかったことからパイロット・乗務員の再訓練への投資や整備費用が増加。おまけに給料は業界随一の高給だったパンナムの方に合わせてしまったから、経営は良くなるどころかますます悪くなる結果に…。相次ぐ事故、また労組は断固として賃金引き下げに応じず経営は悪化の一途、本社ビルや副業のホテル事業も売り払いますが、それでもだめ。旅客・貨物輸送実績世界一の座も急成長してきた日本航空に奪われてしまいます。
パンナムは経費削減のためより燃費の良い新型のエアバス機を導入、747含む経年機の早期置き換えを行うとともに、路線の切り売りを始めました。株主に反対されながらも高収益の見込める路線売却、一時しのぎの運転資金ができますが、運の悪いことにここで爆破テロ(パンアメリカン航空103便爆破事件)に遭い、遺族への多額の補償金と利用者激減がダブルパンチ。この期に及んでも労組は賃金引き下げには応じず、その後も高収益路線や機材を切り売りする羽目になり、最早規模は最盛期とは比べ物にならない、国際線がちょっとあるだけのほぼ国内線中規模航空会社に。
かつてはライバルでさえなかったはずのデルタ航空の支援のもと経営再生に取り組むことになりましたが、湾岸戦争による乗客減と燃料費の高騰で望みの綱だったデルタ航空からの支援も(同社株主達が大反対したため)白紙となり、これによりパンナムは破産。かつて世界中にその路線網を広げた名門航空会社は終焉を迎えたのでした。
導入から終焉まで保有し続け、一時はパンナムの顔でもあった747型機は、離発着費用や双発機に比べて高い燃費、その他管理等運用コスト、それでいて座席数を埋めることが難しい大きなキャパシティが災いし、経営の悪化したパンナムの首を絞め続けることとなりました。駐機しておくだけで金のかかる747が、路線の多くを失った最末期には飛ぶこともなく空港に複数機佇んでいたといいます。
プロペラ機に代わりジェット機が台頭:
乗客と一緒に床下の貨物室にも貨物を積んで運べるジェット旅客機の707やDC-8がメジャーになってくると、一度にはこべる乗客数も速度も敵わないプロペラ旅客機たちはお役御免…かと思われましたが、航空各社は彼等を貨物機に転用。これにより世界を行き来する航空貨物量はますますすごい勢いで増えることになりました。日本発着の航空貨物量も1960年には6200トンだったところ、5年後の1965年には約5.7倍の3万5400トンヘ激増。この世界的な大幅需要増が、旅客も貨物もどんとこいな747が生まれてくる背景にもなったのでしょう。
超音速旅客機(SST):
1966年段階でボーイング社は、1980年には世界の航空旅客輸送の半分近くが超音速旅客機で賄われるだろうという予測をしていました。さて実際は…御存知の通りですね。残念ながらそういう時代はきませんでした。SSTはどれもこれも開発にとんでもないお金がかかったばかりでなくすごく燃費が悪く、また超音速飛行の際には地上まで雷鳴の如き爆音(ソニックブーム)が轟くため人の住む地域の上を飛行できないという航路の制限があり、本来の速度性能を十分に発揮できなかったためです。最終的にコンコルドの大事故・及びアメリカ同時多発テロを発端とする航空不況を幕引きとして、超音速旅客機は世界の空から姿を消しました。
コンコルドの大事故:
離陸しようとしたら滑走路に落ちてた先に離陸したDC-10から落っこちた部品を踏んづけてタイヤがパンクしたのが原因のもらい事故です。機体の性質的に離陸に長い助走と速いスピードが必要なコンコルドはタイヤの空気圧や回転で掛かる遠心力も並大抵ではなく、飛び散ったタイヤの破片で燃料タンクが損傷、漏れ出した燃料に引火し、火災で主翼とエンジンがダメになり、みるみるうちに速度と制御を失ってホテル敷地に墜落というもの。パリ発ニューヨーク行き、大西洋横断に備えた燃費の悪いコンコルドだけあって燃料もすごい量だったらしく、消火を行っても鎮火するまで3時間もかかりました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%83%AB%E3%83%89%E5%A2%9C%E8%90%BD%E4%BA%8B%E6%95%85
コンコルド:
SSTとしては最も有名で、原型機も含め計20機が作られました。一社のみでの開発は負担的に困難で英仏共同開発となりましたが、その上でも開発費だけで約4,500億円もの赤字を出したとか。また離陸滑走だけで普通乗用車の半年分の燃料を食うという大変な大食い機でもあります。ちなみに超音速飛行のためのエンジンはイギリスの有名な爆撃機、アブロ バルカンのエンジンの発展形(元は軍用機のエンジンなので高速飛行に必要なアフターバーナーがついています)。機種名についてconcord(※英語スペル)かconcorde(※仏語スペル)かでさんざん揉めて全然concord(語義:調和)じゃなかったのは笑い話。でも初飛行はブリティッシュ・エアウェイズとエールフランスが仲良く同じ日に行いました…が実際のとこ飛ばせば飛ばすほど赤字、初就航年のうちに生産も終了しています。日本航空も3機を仮発注していましたが、のちにキャンセルしました。2707と同じくモデルプレーンがあり、やっぱりたまに展示されます。
ボーイングのSSTプロジェクトはポシャったので、実現したライバル機種はTu-144だけです。
Tu-144:
ロシアのツポレフが開発したSST。あのパクリみたいなやつという意味合いで「コンコルドスキー」とかいう不名誉なあだ名を付けられてしまいましたが、初飛行はTu-144の方が先だしコンコルドより大きな機体です。
経済性があって商品としてちゃんと売れる機種を作ろう、というよりは国の威信のために作られたところがあり、しかしライバルのお膝元パリ航空ショーで墜落事故を起こしてしまったりと不憫な本機種。燃費がコンコルドにも増して凄まじく悪く、コンコルドのエンジンを作ったイギリスに泣きついて技術供与を求め、一部は有償供与受けて手伝ったりもしてもらったけど結局うまくいかなかったようです。なおこのとき求めた技術供与の大半は英国政府が「それ渡したら爆撃機にも使うでしょ?」とつっぱねました。しかたないか…
https://en.wikipedia.org/wiki/Tupolev_Tu-144
Tu-144そのあとのはなし:
Tu-144プロジェクトののち、それより大きな超音速旅客機Tu-244、及びビジネスジェット相当サイズの超音速旅客機Tu-444の開発が検討されました。Tu-244プロジェクトについてはTu-144を改修の上実験機として、なんとアメリカのNASAと共同で、ボーイングとマクドネル・ダグラスも協力し実験も行っていたのですが、結局どちらのプロジェクトもボツになりました(Tu-244は1993年に計画中止、Tu-444も2009年末までに試験機を製造とされていたものの音沙汰なし)。それにしてもNASA介在の上とはいえ、ロシアのツポレフにボーイングが協力するなんてよほど2707に未練があったか、商業的には失敗といえどちゃんと実用化し当時まだ商業飛行を行っていたコンコルドに妬いていたか、その両方かもしれませんね?
https://en.wikipedia.org/wiki/Tupolev_Tu-244
https://www.youtube.com/watch?v=DV4JOFyQtc4
https://ru.wikipedia.org/wiki/%D0%A2%D1%83-444
国産超音速旅客機を作らせたがっていた:
パンナムは(関税で高くつく他国製より)自国製造の超音速機を調達したいがために、開発費に尻込みする米政府に発破かけるべくわざと「早くしないとこっち買っちゃいますよほらほら」とでも言うかのように(フランス製の超音速旅客機である)コンコルドを仮発注するなんてことをやりました(後にキャンセル)。そして実際そのあとに、米政府は超音速機開発に本腰入れることになります。やべえよ…当時業界では世界一の規模とはいえ、一企業が国にいうこときかせてるよ…こわい…
ボーイング707:
ボーイング社の大型ジェット旅客機のさきがけとなった機種。原型機のボーイング367-80も逸話である意味有名。開発当時軍用機部門においてはかなり受注を貰っていたものの、民間機部門でまだ遅れを取っていたボーイングが一発逆転を狙って開発に至り、実際ダグラスの実績を初めて追い抜き生産数1,000機を超えるヒット商品となりました。
しかし707の初飛行から十年近く経過した747開発が始まる頃においては、航空旅客の需要に対して乗客数が手狭になってきており、パンナム含む航空社はもっと大きい旅客機を必要としていたために受注数は減っていました。とはいえ(707が短足だったので、そのまま長くすると離陸時にしりもちをついてしまうため)胴体延長型を作るには翼からランディングギアまでぜんぶ設計し直す必要があり、そんな莫大な出費を時間稼ぎの延長型につぎ込むくらいなら完全新型作ろうぜ、みたいな背景も747開発にはあったようです。あとは当時販売していた727が思った以上に度々大型修繕を必要とする問題児で支出かさんだこととか、ライバルのダグラスが延長型出してめっちゃ売れたとかそういう理由も。
ボーイング367-80(ダッシュエイティ):
707型原型機で、現代の全民間ジェット輸送機に連なる系譜の始祖たる機体。ライバル会社に隠し玉の大型ジェット機の開発を悟られないように、わざとレシプロ輸送機の改良型にあたるようなモデルナンバーがつけられました。お披露目の航空ショーにおいて内緒でバレルロール(曲技飛行の一種。飛びながら機体を回転させる)を2回キメて観客からは大喝采を浴びましたが、そんなことやるなんて聞いてない自社の重役達を心底ビビらせたそうな。当時の社長さんは心臓発作用の錠剤を携帯している友人に「薬をわけてくれ」と言ったとか。この伝説は永く健在らしく、747がパリ航空ショーに参戦する際、及び777型初飛行の際にも「バレルロールするな」とパイロットさんは釘を差されたとのこと。
現在はワシントン空港の航空宇宙博物館にて展示されています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0367-80
ワイドボディ機(広胴機):
客室に通路が2本あるタイプの横幅が広い飛行機で、747がその最初の機種です。通路が多いことで乗客数が多くても客室内の行き来がしやすく、また緊急脱出の場合にも素早く避難できます。対して通路が1本だけの機種はナローボディ機と呼ばれます。
輸送機案のために集められた人員:
とはいえそういう状況だと一枚岩とは行かず、747プロジェクトの主任はサッター氏であり、既に設計もでっぱりつき1階建てで決まってたにも関わらず、後から合流してきた元輸送機チームの一人が自称後任としてプロジェクトの乗っ取りを企てていたようす。彼の隙を見て廃案にしたはずの2階建て案を彼の部下相手にぶちあげていたそうですが、まあ結局お上の判断でやっぱり主任はサッター氏になりその人は去りました。波乱やね…
研究成果が巨人機の開発へ活かされることに:
ジョー・サッター氏は「747は輸送機案流用ではなく完全な独自設計であり、CX-HLS計画でボーイングが得たのは高バイパス比のエンジンだけだった」と述べていますが、高翼低翼の違いはあるにせよ、それにしては同計画にボーイング案として出されたものに結構似ているところがある印象であるし、出来上がった747の大きさもC-5 ギャラクシーと大体一緒というのが実際のところ。一般的にはやっぱり、完全な流用ではないにしろ「CX-HLS計画の案あっての747」と見られているようです。
CX-HLS計画のボーイング案はこちら。
http://www.boeingimages.com/archive/Three-Views-of-Boeing%27s-C-5-Proposal-2F3XC5HZW9G.html
高バイパス比のエンジン:
現在旅客機において最も一般的に使われているターボファンエンジンですが、初期のエンジンは安全性はもとより、大変な燃料食いかつ騒音も凄まじいものでした。これが大きくてパワーがあっても低燃費かつ低騒音となっていくきっかけとなったのが、CX-HLS計画や747の開発だったのです。CX-HLS計画で不採用になったプラット・アンド・ホイットニー社はその技術で747のエンジンを製造し、ギャラクシーに採用されたゼネラル・エレクトリックのエンジンの民間用はのちにダグラス社の旅客機DC-10のエンジンとして使われました。
より大きな送風ファンで風を送り、高温・高速のジェットの流れの周りを包むようにすることで、以降のエンジンは燃費が向上、騒音も抑えられたものになっていきます。ジェット排気とそれを包む送風ファンからの風の流れの比をバイパス比といい、これが高いほど基本的に燃費が良くなります。
わりとすんなり決まった:
開発に政府資金ついてるからギャラクシーと同じGEのエンジンを使うのは安牌とはボーイングも思ったようなのですが、何しろ軍用輸送機のエンジンだからパワーがなんぼで静音性とか気にしてなさそうで、静粛性が欲しい旅客機に向かなそうだった、みたいな理由があり、PWの案をベースにちゃんと「旅客機のエンジン」にすることになったのでした。
でも納期は相当やばく、最初のうちは機体だけ塗装までできあがってエンジンがまだつけられない機体がぞろぞろ並んでいたそうな。
747初期の重量問題:
設計段階では予定より約15トンはオーバーしてしまうという見込みだったので大慌てで各種減量策を講じ、なんとか2.5トンオーバーまで落としましたが、もうそれ以上の削減は強度的にも無理があったため、逆に重量超過は承知で主翼や脚周りを強化して、最大離陸重量(離陸時の機体や燃料・積める人や荷物などの重さを合計したもの)や航続距離(一回の飛行で飛んでいける最長距離)を増やすことにしました。とはいえこのおもたい体は当時の発展途上のエンジンには文字通り荷が重すぎました…。離陸時にエンジン内に水を噴射して一時的に吸気温度を下げてパワーを上げるシステムを積んだ上でも、速度は予定されてたほど出ず燃費も悪く航続距離も短く、商業運用入り当初はホノルル発羽田行きすら場合によっては直行は厳しいというありさま。またこの重量問題や納期遅れから、内装や調度のオプション変更を極力控えてもらうことにしたため、初期の747はエアラインごとの差異がかなり少ない、どの社の機に乗ってもあんまり代わり映えしない機体となりました。しかしそれからエンジン開発が進み、ハイパワーのものに順次換装され、747はだんだん真価を発揮できるようになっていきます。そしてついに最大離陸重量も例のロッキードのギャラクシーより10トンも上回りましたよ!ちからもち!
航続距離も今の747よりずっと短かった:
改良型の747-200においては、航続距離は747-100の就航当初に比べてぐーんと伸び、速度も上がり、サンフランシスコ・東京間の太平洋横断便も直行できるようになりました。やったー!
747旅客型における貨物輸送:
実はボーイングも航空貨物輸送がこんなに発展するなんて自信は持っておらず、旅客型の生産が始まったあとも床下の巨大な貨物スペースの有効活用方法を模索するべく、モックアップ模型の中にソファー置いてみたりラウンジ作ってみたりしていたとか。結果的に杞憂で終わり、貨物スペースは最大限活かされることになったのでした。
父は財政難で余裕がなく:
747型開発決定時点でも既に、SST開発において国からの資金援助があってもそれ以上に大変なお金がかかったこと、737型も就航したてで初期不具合が出まくり改良・改修が必要だったこと、宇宙関連事業で参加していたアポロ計画のサターンⅤロケットも財源を食いつぶしていたことなどから、とっくに支払い能力の限界を超えていました。それに加え巨大な747を製造するにあたりエバレット工場を新設するなど設備投資もかさんでいたようです。
ボーイング2707:
ボーイングの超音速機プロジェクト。アメリカ初の超音速旅客機で、747すら上回る全長90m以上(当初計画では100m以上、速度もコンコルドより速く席数はコンコルドの3倍)、翼の角度が変えられる可変翼の機体になるはずでしたが、計79機の発注があったものの設計の難からの構造変更や、米議会の反対を経て1971年に計画中止になり、モックアップ模型しか残っていません。名前の「2707」は巡航速度(空を普通に飛んでるときの速さ)がマッハ2.7であること、またボーイング707型の成功を受けて「新しい世代の707」という意味を込めて付けられた、という説のふたつがあります。なお日本航空も5機発注していたため、同社はモデルプレーンを現在も所有しています。イベントがあるとときたま展示されるようで、速そうな形してるけどコンコルドとはちょっと違うっぽいやつがあったらそれが2707です。
オイルショック:
第四次中東戦争に起因する石油価格の高騰。これを契機として航空機もより低燃費なものが望まれるようになりました。また環境意識の高まり、旅客需要の増加などから、旅客機もより速く、より静かで、効率のいい機種の開発の必要性が生じます。その結果のちのち生み出されたのが双発機の757や767、737の改良型、そして777型です。
また後述しますが、これがエアバス社が軌道に乗るきっかけともなりました。
父も相当苦労した:
そのころボーイングは大変な逆境に立たされていました。1970年代初頭にはアポロ計画自体が下降線。減った売り上げを航空機販売で補わなければいけないのにオイルショックで石油価格高騰、航空業界全体も不況に。それなのに747は売れ行きが芳しくなく(1年半にわたり受注ゼロという時期もあったようです)初期不具合も多発、高くついた開発費もまだ残っているというのになかなか回収できない状態でした。さらにそこにSST計画の中止とそれによる政府からの援助の打ち切りが追い打ちで、社員数も半分以上減という事態。なんとか新規ビジネスを開拓すべく、コンピューター製品を売ったり、砂漠に水をひいて灌漑をしたり、都市の住宅計画を管理したりとなんでもやったんだとか。
747ではなく2707のほうを開発したかった:
SST計画が頓挫する前においては、実際そうだっただろうとしか言いようがありません。ボーイングのマーケティング部でも、747は超大型なれどあくまで従来の延長線上、SSTが台頭するまでのただのつなぎ役という位置づけで、旅客機として売れるのは50機程度、役目が終わればお払い箱だけど旅客型転用貨物機になればまあ採算はとれるだろう…という見立てでした。社内の花形クラスの優秀な人材や資金の多くはSST開発プログラムの方へ回され、747開発チームは中堅ベテラン勢が集められたものの、SST側のプレゼンではこき下ろされたり、やることなすこと二の次で実験設備の優先権獲得にさえ苦労したとか。開発チームのリーダーを務め、「747の父」と称されるジョー・サッター氏も自著の中で、(自分は予算の都合もあり単独で747関連の出張に行かなければいけなかったにも関わらず、向こうは20人もの団体でSSTに関してのプレゼン出張にやって来ていた)SST開発代表団の一人から「ジョー、君はあの大型機の担当としてよくがんばってるよ。いつでもSSTプログラムのメンバーの席を空けて待ってるからな」と言われたと記しています。明らかに下に見られていたのは確かでしょう。
御巣鷹の事故:
2017年現在も単独機の墜落事故としては世界最悪の被害として知られる日本航空123便墜落事故。事故機は747型初代-100型の日本国内線用(日本航空と全日空の2社用に開発された)派生系である747SR-100です。この機体は墜落事故の7年前に着陸時に尾部を損傷する事故を起こしており、このあとのボーイングによる修理が万全ではなかったことが後々墜落事故を招いたと言われています。
航空機は高い高度を飛行するため、加圧された機内と加圧されてない部分の間を隔てる圧力隔壁というパーツには気圧差から大きな力がかかります。この事故においてはこれが壊れることで、付近の尾翼・補助エンジン・操縦システムの油圧がもろとも損傷、操縦不能になって墜落してしまいました。
御巣鷹の事故を始めとする幾多の航空事故から、その後開発された機種や後続型は、機体の急所を分散させたり複数の制御ルートを備えることで、もし一箇所だめになってしまっても別ルート経由でなんとかなるような仕組み(フォールトトレラント設計)や、いきなり破局的な破壊を引き起こさないよう、たとえば一部わざと周りの強度より弱いものを組み込むことにより運用で徐々に生じる傷みは必ずそこから始まるようにしておき、その部位の様子を交換や修理等の目安とするなどの破壊を管理・制御できるようにする設計(破壊制御設計)が導入されるようになります。
一番年上の先輩:
カーゴルクス所属747-400F、LX-FCL。1995年生まれの22歳で、過去には香港のキャセイパシフィック航空で運用されていたこともあります。なおカーゴルクス所属400Fのうち一番若い機体は、ヴィアンデンと半年くらいしか歳が違いません。
長く人とその社会に関わり:
貨物機は長距離国際線で運用されることが多いため、単位時間あたりの離発着回数は比較的少なく、同じ機種でも旅客機(寿命は二十数年程度)より一般的にだいぶ長生きします。
米航空メーカーに対抗しうる国際競争力を得るため:
話は遡りWW2の頃、イギリスはアメリカとの取り決めで、欧州戦線に投入する重爆撃機の生産に集中することになりました。一方アメリカは輸送機(=構造や性質上旅客機に近い)を生産、この経験の蓄積が戦後、米メーカーの旅客機の隆盛へ繋がります。
また枢軸国といえど戦中高い航空技術を持っていたドイツは、多くの技術者がアメリカへ亡命したり引っこ抜かれたりあるいはソ連に連れてかれたりし、併せて戦後しばらく航空機生産が禁止となったことから、航空機産業は一時めためたになってしまいました。
その他にも欧州に航空メーカーは点在してはいましたが、戦中培った技術にぶっこ抜いた技術足して人つぎ込んでガンガン予算つけて研究進めた特にアメリカには、気づけばすっかり遅れを取ってしまう状態。イギリスが開発した世界初のジェット旅客機コメットも、相次ぐ事故と原因の解決と信頼の回復に手間取っているうち707にすっかり追い抜かされ、頼みの綱のBOAC(英国海外航空:現在のブリティッシュ・エアウェイズの前身)にも見限られてしまいました(※コメットの設計をベースとしたフランスのシュド・カラベルは改変が幸いしてわりと成功したものの、コメットと市場を食い合う結果に)。そして英仏共同開発のコンコルドも、商業的には失敗に終わります。対抗機種をいちから作りたくても、一社二社ではもうとても開発経費が捻出できません。
そんなわけで、個々の企業がそれぞれやっていたのではだめだ、歴史ある欧州の航空産業自体が崩れてしまう、という危惧から発足したのがエアバスです。とても切実。
元エアバス会長のピエルソン氏は「エアバスは旅客機を製造するために組まれた連合ではなく、欧州の産業再生のための実験だ」と述べています。実際エアバスは欧州五カ国の官民挙げての一大プロジェクトであり、発足以来20年もの赤字を忍耐強く支え続けた結果がこんにちに繋がっています。欧州産業界が長い戦後から脱するために生まれた、とも言える彼のことも、いつかもっと掘り下げてみたいものです…
そしてエアバスが発足して最初に製造された双発機A300、この機種が当時市場で勢いを持っていた三発機と比較して低燃費であったことがオイルショックの際に幸いし受注増、結果としてエアバスを軌道に乗せることとなりますが、思えばこの時から既に低燃費双発機への潮流は始まっていたのでしょう。
UHCA構想とVLCT構想:
さてエアバスがまだ今ほど一枚岩じゃなかった頃。エアバス本体の方ではボーイング747に対抗できる輸送力を持つ機種として「ultra-high-capacity airliner(超大容量航空機)」、略してUHCA構想が持ち上がり、実現に向けて動き出しました。が、ボーイングはこれを阻止しにかかります…
そのしばらくあと。奪い合って利益が出せるほど巨人機市場は大きくないことから、ボーイングは当時エアバスを構成していたアエロスパシアル、DASA、BAe、CASAの4社に、UHCA構想とは別の「Very Large Commercial Transport(超大型商用輸送機)」、略してVLCT構想を共同開発として提案します。ボーイングとしては747との競合を避けられるため乗り気だったそうですが、エアバスはというとVLCTをボーイングと、UHCAを日本含むエアライン各社と開発を検討しようとしたとかしなかったとかなんとかで、結局エアバス内で独自開発派が優勢となったためVLCTの共同開発は中止に。そしてUHCA構想はA3XX計画と名前を変え、のちにA380となるのでした。
このときもし息が合って米欧の巨人機計画が一本化されていたなら、市場を奪い合わず開発費用に見合う発注数を得られ、そして今回のお話の2機もきょうだいとして生まれていたかも…?
でもボーイングとエアバスは今までも、そして多分これからもまるで気が合わないですし、それに独禁法とか抵触しそうだし、やっぱりそのへんは完全にifでしかありません。
NLA構想:
かつてボーイングが発表した、747よりもさらに大きな(完全新型)巨人機のプロジェクト。NLAは「New Large Aircraft」の略。しかし開発に着手することはなく、同時期に発表されていたエアバスのA3XX(のちのA380)やマクドネル・ダグラスのMD-12計画に対する牽制のためにぶつけたネガキャンやハッタリ的な要素のほうが強かったようです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0NLA
マクドネル・ダグラス MD-12:
かつてマクドネル・ダグラス社がボーイングのNLA構想やエアバスのA380プロジェクトに対抗して発表した、いわばマクドネル・ダグラス版A380みたいな感じの総2階建て超大型機構想。機体下部の客室の窓は斜め下向きとなるため眺望のすばらしい、747より大きな機体になるはずでした。しかし航空業界からは他2つに比べても注目を集められず、ローンチカスタマーとなるようなエアラインも現れず、開発費が膨大となるだろうこともあって計画は消滅。その後マクドネル・ダグラス自体もボーイングと合併したため、すっかり忘れられてしまいました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%89%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%80%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%B9_MD-12
KR-860:
A380プロジェクトやNLA構想が進んでいる頃、ロシアのスホーイが計画していた総2階建て大型ワイドボディ機計画。旅客機としてのみならず天然ガスの輸送機としても使える、747より大きくて747顔のA380みたいな機体になる予定だったようですが、計画以上には進みませんでした。
えっ産業スパイ?なんのことかな?(かつてロシアの一行が747の購入を検討していると言ってボーイング社に見学にやってきて、設計の虎の巻を大金払うからって言ってこっそり現場の技術者達から買おうとしたことはあったそうです、未遂に終わったようですが)
http://www.rusarmy.com/avia/kr_860.htm
ソニック・クルーザー:
ボーイングがエアバスのA380計画にぶつけたネガキャンらしきものその2…でもあり、あるいはSST計画の心残りの一つの形でもあったかもしれない計画。1989年からNASAと共同で取り組んでいたものここれも中止となった、次世代超音速旅客機開発プログラム(HSRP:High Speed Research Program)の研究成果を活かすつもりだったのだろうと言われ、音速に近い速度で飛行する旅客機となる予定でした、面白い形してるのでぜひ調べてほしい。しかし航空会社は今より多少速度が速い代わりに燃費が悪い高額な機種よりも、燃費がよく運用コストの低い機種のほうを求めており、思ったように注目を集められず開発中止に。最初から開発するつもりなんかなかった案をその場しのぎで出しただけとも称されますが、ボーイングが2707の頃から捨てきれずにいた高速化の未来図が、ここで時代に全否定された、のかもしれません。
https://en.wikipedia.org/wiki/Boeing_Sonic_Cruiser
7E7:
ソニック・クルーザーの開発中止に代わり、需要に応える形で開発が始まったのが燃費に優れた中型双発機7E7、のちの787ドリームライナーです。いままでにない技術をたくさん突っ込んだ結果、彼らの開発も747-100型開発時に勝るとも劣らないようなすごい遅延と大変なすったもんだをもたらすことになりますが、それはまたべつのおはなし…
test frame:
「試験機」と訳されることばはふたつありますが、「testbed」が主に実運用に近く実際に動かしたり飛んだりする飛行試験機に、「test frame」は「frame(骨組み)」の語の通り構造だけの強度試験機に使われることが多いようです。
悪しざまに言われ:
ボーイング曰く、「需要に照らし合わせるとA3XXは大きすぎる」(※VLCT構想決裂後のファーンボロー航空ショーにて)、「(大型機の製造実績がない)エアバスは紙で作った超大型機を飛ばそうというのか」(※マクドネル・ダグラスのMD-12が頓挫し2社の一騎打ちになった頃)、「747ジャンボを上回る超大型機市場はさほど大きくない」(747Xの開発を一旦凍結したとき)などなど。最後のはなんか酸っぱいぶどうのキツネみたいなこと言ってますね御社。
トゥールーズ工場:
フランスのトゥールーズに位置する、エアバス本社がある同社最大(ドイツのハンブルク工場が第2位)の工場。ターボプロップ機を生産するATRの工場、及びトゥールーズ・ブラニャック空港とも隣接しています。
試験の度に痛かったけれど:
何しろ社外秘なのでA380の強度試験の詳細はほとんど公開されていませんが、こんな感じという参考までに777の主翼強度テスト動画とA350の強度試験機についての動画。絶対痛いこれ
https://www.youtube.com/watch?v=Ai2HmvAXcU0
https://www.youtube.com/watch?v=B74_w3Ar9nI
父の設計が実直だった:
A380は完全新型機ながら、すごく大きいということ以外は極力冒険をせずに作られた機種だ、と言われます。エアバスは失敗やトラブルを最小限に留めるため、できるだけ実績があり信頼性の高い技術を駆使したのでした。(対象的に787は新技術をどっと盛り込んだせいでトラブルもすごかった)
炭素繊維複合材(CFRP):
従来のアルミ合金に比べて軽くて丈夫な、簡単に言うとカーボンファイバーでできた織物にプラスチックを染み込ませて固めた感じの素材。747-8にはほとんど使われませんでした。A380は完全新型機にしては保守的な設計や材料でしたが、それでも機体重量の20%超をCFRPが占めています。
配線の問題:
A380も遅延と重量超過問題があったのですが、その原因はなんと機体本体じゃなく各座席に引かれるオーディオ機器の配線の重さ。747と比べても席数がずっと多いだけあって、最大定員の853席を配置した場合には配線総延長は約563km、東京八戸間に相当します。そら重量も超過するわやべえ。幸いにして853席の機体の発注はありませんでしたが、それでも配線の接続・設置・収納にはかなり時間がかかり、これがA380の製造が遅れがちな理由のひとつでもあります。
でもその他の強度等には特に大きな問題はありませんでした。いい体してますね。
A380ロールアウト式典:
招待客は約5千人、エアバス構成各国のトップが並び、特にフランスのシラク大統領はA380の偉大さを賞賛した上で「航空機の分野だけでなく、すべての分野で欧州が協力することによって、世界のリーダー的地位を占めよう」「同機の成功を機に、欧州の協力をさらに進めよう」と述べました。欧州産業の復権の象徴、といったところでしょうか…?
https://www.youtube.com/watch?v=DGhpF7AnhjE
Queen of the Sky:
747型の愛称のひとつ。空の女王。
ダグラスの空の列車:
「空の電車」になりたい某大阪空港拠点のピンク色のLCC…ではなく、ダグラス社の旅客機DC-3の軍用型、C-47 スカイトレイン輸送機のこと。原型機のDC-3は当時としては信頼性が高く、旅客輸送をはじめとする航空輸送において安定して収益をあげられる航空機でしたが、WW2が始まるとこの高いスペックを輸送機にしない手はないってことで輸送機型が作られることになりました。航空輸送はWW2戦時中においても大きな役割を持っており、後にアメリカの大統領となったアイゼンハワー氏は「連合軍勝利に著しく寄与したのはC-47とジープと上陸艇だった(C-47とジープ以外の残り1つは諸説あり、ブルドーザーであるともバズーカ砲であるとも)」と述べたそうです。またそれだけでなく、戦後このC-47が安く大量に民間に払い下げられた際、軍服を脱ぎ旅客機や貨物輸送機になった彼等が世界の航空輸送キャパシティを増やし、一層発展させる一助になったと言われています。プロペラ機に代わりジェット機が台頭する、少し前のこと。
「ジャンボジェット」:
今や最も世に知られた一機種の愛称かもしれませんが、ボーイングは元々この愛称を気に入っていませんでした。「ジャンボ」というのはかつて人気だったゾウの名前で、747はその巨体から「ゾウのように大きなジェット機」という意味合いでジャンボジェットと呼ばれるようになったのですが、やっぱりゾウの名前なんて鈍重そうで新型機に合わないよってことでボーイングは「スーパーエアバス」もしくは「スーパージェット」という愛称の方を推していました。それからしばらくして欧州でエアバス社が発足し名前被りになったことと、いいかげんもう「ジャンボジェット」の愛称が一般的になりすぎてしまったことで、最終的にボーイングも折れて公式の場で「ジャンボジェット」の愛称を使うようになります。
日本において「ジャンボ」の語がふつうに「巨大」の意味を指すようになったのは、件のゾウよりも747の影響のほうが強いかもしれませんね。
機型名は787型に因む:
といいつつ、787型から取り入れられたのなんて高効率のエンジンと翼端のレイクドウイングチップぐらいで、コックピットレイアウトや機内インテリアは先代747-400を踏襲したもの。時代遅れのイメージになった747型を名前からイメージ一新しようとしたのでは?という見方があります。
貨物型が先行した:
ボーイングの機種では747-8が初めてです。747自体の設計が幸いして貨物機として未だわりとポテンシャルがあり比較的早い段階で開発が決定した747貨物型に比べ、旅客型はまあ…うん…そんなわけで貨物型より開発スタートが遅れて…うん…
朝焼けの朱色の特別塗装:
747-8旅客型は近年のボーイング新型機の試験機(青~青緑が多かった)の中では珍しく赤い特別塗装をしていました。「Sunrise livery」、日の出の塗装と呼ばれています。
747-8iの華やかなロールアウト式典:
こちらで見ることができます。式典ではこの前年に世を去っていた「747型の父」サッター氏に対しての感謝が述べられたとのこと。また大規模といえど、目立つ登壇招待者は受領予定航空社(ルフトハンザ)の副社長さんくらいでしょうか。
https://www.youtube.com/watch?v=jeh3EcRZ0UE
開発も試験も結構遅れていたから:
大幅に遅れていた787の開発・試験の方を、同時進行の747-8より優先させることになっていたためです。
歴史ある航空貨物輸送:
民間航空機の黎明期において、運賃は相対的に高く大きなものや重量物は運べないものの地形に左右されず高速で運べる航空貨物輸送は、小さくて軽く、なおかつ高速で届ける価値のある郵便のためにまず発達しました。今でこそ飛行機といえば旅客機、旅客輸送を思い浮かべる人が多いですが、もともと航空輸送は郵便物を運ぶ輸送手段として発展が始まったものなのです。
747の登場により、やがて航空貨物輸送は船便にも匹敵しうる長距離輸送の主力となっていきます。
同時多発テロ:
2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件。ボーイング767型機2機、757型機2機がテロリストにハイジャックされ、ワールドトレードセンター及びペンタゴンに突っ込みました。
これを契機として航空業界は世界的な不況となり、またアメリカが対テロリストのアフガニスタン紛争を始めたことから、石油価格が高騰します。
共存はできないさだめ:
1990年台に「ボーイングとエアバスの構成企業が共同で」行った市場調査では、今後も超大型機に対する一定の需要はあるものの、2機種の新型機種が共存できるほどの規模ではない、という分析結果がでています。つまりボーイングとエアバスの両社がそれぞれいちから新しい超大型機を開発しても、よっぽど発注数に差が出ない限り限られた市場を奪い合い、開発費やら設備投資やら何やらの分を回収できず互いに赤字出して終わるという見立て。
ボーイングが747-400に続く機種を完全新型ではなく747発展系の747-8でとどめたのは、そういうリスク軽減の理由がありました。でも片方は従来型の改良といえど、共存できないってわかってたのに、A380も747-8も結局生まれてきちゃったんだよなあ…
青空は赤い海:
航空業界は競争の激しい領域、血で血を洗うレッドオーシャンであるという話。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%B3%E6%88%A6%E7%95%A5
全長くらいしか:
世界最長の旅客機は747-8iですが、全幅・全高・定員等他諸スペックはA380がほぼ完勝です。
遠く及ばない発注数:
2017年9月時点で747-8の製造数は118機、A380は216機です。ほぼダブルスコア。
また747-8旅客型にいたっては発注は3社だけです。
747-8の発注キャンセル:
日本貨物航空も当初14機を発注していましたが、事業環境の変化を理由として、うち6機は最終的にキャンセルしています。
http://www.aviationwire.jp/archives/115809
カーゴルクスとの一悶着:
日本貨物航空とともに747-8のローンチカスタマーとなったカーゴルクスでしたが、すんなり受領したわけではなく、性能問題で受領初号機の納入式典をボイコットして帰ってしまったりしました。エンジンがパワー不足だったと言われており、おそらく貨物の積載重か燃費と航続距離、もしくはそのどれもが、当初示されていたカタログスペックよりも悪かったのでしょう。最終的に(賠償で?)調整がついたようで、受領初号やヴィアンデン含むどの発注分の機体も受領されましたが、787の非受領問題も丁度この頃だったため、747-8ら達も内心非受領食らうんじゃないかと気が気じゃなかったかも。
http://flyteam.jp/airline/cargolux/news/article/4836
http://flyteam.jp/airline/cargolux/news/article/4879
http://flyteam.jp/airline/cargolux/news/article/3102
http://flyteam.jp/airline/cargolux/news/article/5162
http://flyteam.jp/airline/cargolux/news/article/5250
受領先が決まっていなかった2機:
実はこの機体、かつてスカイマークが発注したけど受領できなかった分。エミレーツ航空が受領予定で、片方は最近初飛行しました。運用入りしたらいつか成田空港にも来てくれるでしょうか?
https://50skyshades.com/news/airlines/emirates-orders-two-a380s-built-for-bankrupt-carrier
https://twitter.com/AirportWebcams/status/920593663964696577
ETOPS(Extended-range Twin-engine Operational Performance Standards):
日本語だと「双発機による長距離進出運航」といいます。かつてエンジンが2つしかない双発旅客機(まだレシプロエンジンのプロペラ機でした)は空港から飛行時間にして60分以上離れたところを飛ぶことができず、場合によっては4発機を始めとする2つ以上のエンジンがある旅客機に比べ、目的地までかなり遠回りする必要がありました。そのころのレシプロエンジンは今の航空エンジンよりずっと信頼性が低かったので、たとえエンジンの片方あるいは両方が止まったり壊れてしまったとしても、なんとかどこかの空港までたどり着けるようにするためです。この決まりは若干緩和されつつも1985年まで続きました。
さて、747型をはじめとする4発ジェット機が活躍することでエンジンの開発も進み、エンジンの信頼性はぐっと向上、壊れたり止まったりすることはめったになくなりました。これに際し、認定を受けた型式の双発機であれば空港から120分離れた距離までなら飛んで大丈夫になったのが最初のルール、ETOPS-120です。その後も制限はだんだん拡大され、現在ではETOPS-370という380分離れた距離まで飛んでOKな型式もあり、双発機は南極大陸など一部を除く地球上のほぼすべての地点を飛行できるようになっています。
4発・3発機に続く双発機の発展により、長距離便は4発機や3発機でなくてもよくなりました。航続距離さえ満足であれば、もうどこにだって双発機で行くことができる時代なのです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ETOPS
2乗3乗の法則:
長さを2倍にすると面積は4倍、重量は8倍になるという、言われてみればごく当然なんだけど、特に巨大な飛行機を作るときには文字通り重くのしかかってくる法則。効率のいい小型機をそのまま大きくできない理由です。そして同じ乗客数を同じ距離運ぶときにも、双発機に対して4発機が燃費が良くなることはありえず、そしてこれらが大型4発機の旅客キャパシティがいくら大きいといえど、乗客一人あたりの燃費は双発機にどうやったって勝てない理由でもあります。あと大型機となると相対的にどうしても多い整備の手間とかスペアパーツの保管とかもネックだったりする。
悪夢止まりになってほしかった:
A380が超大型機部門において勝利を収めたのが明らかになった頃、エアバスはその頃やっと製造が決まったボーイング787を指して「ドリームライナーは悪夢に終わるだろう」と揶揄しました。
たしかに787のスタートは悪夢の如きすったもんだでしたがその後は人気アゲアゲ、結果A380やひいては747-8にとっての悪夢になっちゃうんですよね。低燃費双発機強し。
三発機(Trijet):
ジェットエンジンが3つ付いている機体で、マクドネル・ダグラスDC-10・MD-11、ボーイング727、ロッキード L-1011 トライスターなど。四発機よりは燃費がよく双発機よりもパワーがあることを売りにしていましたがですが、双発機部門においてエアバスが勢いに乗るとともに急速に衰退しました。貨物型改修された機体などは現在でもたまに見ることができます。
ボーイング777:
中型双発機767型と4発大型機747型の間を埋めるために開発された現状世界で最も大きな双発機であり、747-8が売れない理由の、むしろA380の存在以上に最たるもの。長胴型777-300ERでは最大席数550席と多く、ボーイングが747-8の立ち位置として狙っていた「A380では席数が多すぎ、777では少なすぎる」という隙間需要も、燃費のいい双発機の777の長胴型300ERを飛ばしとけば十分という航空会社が多かったようです。また言うまでもなく貨物機としても燃費に優れていて…いやもうやめよう…
それはそれとして機体も大きければエンジンもまた大きい! 搭載するターボファンエンジンは現状世界一の大きさを誇るGE90で、これの直径だけで737の胴体くらいあります。日本の次期政府専用機も777です。
ポイント・トゥ・ポイント:
文字通り「点から点へ」。利用客はそれまでの、大型機による拠点空港への便からさらに乗り継ぎ便へという手間や時間のかかる空路よりも、程々の大きさの機体で目的地までまっすぐ行ける多頻度運航の直行便を望んでいるとするボーイングの理論。現況はこれが優勢となっています。
圧縮した開発費すら回収できそうもない:
747アドバンスド(のちの747-8)の採算分岐点は300機見込みでしたが、現在の製造数は118機にとどまっています。
採算分岐点:
これだけ売れば開発費設備投資諸々込みでやっと黒字になる、という境目。エアバス曰くA380については2015年の納入(約200機)で既に超えているとのことですが、A3XX計画時点では採算分岐点は420機という試算でした。真相は一体…?
チャールズ・リンドバーグ:
大西洋単独無着陸飛行に初めて成功した飛行家として知られていますが、彼はおしのびで旅客機に乗り、乗客たちを観察するのが好きだったのだとか。友人として交流のあったトリップ氏はこの性格に目をつけ、パンナムのコンサルタントとして迎え入れました。またリンドバーグ氏は航空機は今後大型化の方向に進むという、今から見れば正鵠を射た予想をしていました。747の父サッター氏が最も報われたと感じたのは、747を見たリンドバーグ氏に「ジョー、あれはすごいな」と賞賛の言葉をもらったときだったそうですよ。
リンドバーグ氏の死後、パンナムの747の一機にもリンドバーグの名前がつけられました(Clipper Lindbergh:N536PA)。彼の奥さんであったアン・モロー・リンドバーグさんががこの機体に洗礼を施し、大西洋単独横断飛行50周年を記念して1977年に運用入りします。その後ユナイテッド航空に移籍したりもしましたが…なんとNASAに再就職。大規模な改造を施され空飛ぶ天文台になり、大西洋単独横断飛行80周年を記念して最初の名前だった「Clipper Lindbergh」をもう一度もらい直したのでした。そして今も現役で飛んでます。横っ腹がガバー開いて望遠鏡露出するのすごいから見てマジ。なんのはなしだっけこれ
https://en.wikipedia.org/wiki/Charles_Lindbergh
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%A0%E8%B5%A4%E5%A4%96%E7%B7%9A%E5%A4%A9%E6%96%87%E5%AD%A6%E6%88%90%E5%B1%A4%E5%9C%8F%E5%A4%A9%E6%96%87%E5%8F%B0
https://www.planespotters.net/airframe/Boeing/747/N747NA-NASA/YWqQSp9L
ヴィクタービル:
正式名称はサザンカリフォルニア・ロジスティックス空港。砂漠に位置しており晴天続きなので試験機のテストにはしばしば使われる場所なのですが、それ以上に「飛行機の墓場」として有名です。雨の降らない気候は解体待ちの飛行機の保管場所に適していて、形を留めているものもう留めていないもの、多くの飛行機がずらずら砂漠に居並んでおり、747も多くここに眠っています。少しずつ解体されて部品取りになったり、スクラップになっていったりします。
https://www.google.co.jp/maps/place/%E3%82%B5%E3%82%B6%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E7%A9%BA%E6%B8%AF/@34.5995875,-117.394133,5083m/data=!3m1!1e3!4m5!3m4!1s0x80c3706663e2cc39:0xc8cb7a684dce9138!8m2!3d34.5841003!4d-117.3789302
G-STBA:
ブリティッシュ・エアウェイズの777-300ER受領1機目の機体。2010年6月に初飛行、翌月に受領されています。もちろん日本にも飛んできますよ。
https://www.planespotters.net/airframe/Boeing/777/G-STBA-British-Airways/pO06HLZ1
弟が怪我をしたので:
2010年6月にヴィクタービルでテスト中だった747-8貨物型試験機2号のN5017Q(現日本貨物航空所属JA11KZ)が、トーイングカーにぶつけられてエンジンカウルを壊してます。いたそう。
http://wrightsquawks.blogspot.jp/2010/08/closer-look-747-8f-engine-damaged-in.html
ブリティッシュ・エアウェイズ:
現在最も多く先代の747型である747-400を運用している航空会社はイギリスのブリティッシュ・エアウェイズですが、ブリティッシュ・エアウェイズは747-8を選びませんでした(貨物部門では一時的に3機導入するも、他社管理のウエットリース機でそれも返却済み)。理由については色々憶測がありますが、そのひとつに「(イギリスのメーカーである)ロールスロイス製のエンジンじゃなかったから」というものがあります。747-8のエンジンはゼネラル・エレクトリックのGEnxだけ。選ばれたのはA380、そしてエンジンはロールスロイス製でした。実際ブリティッシュ・エアウェイズの保有機材でロールスロイスが関わってるエンジンでないものなんてほぼ777くらいで、(2017年10月現在)268機ある機材のうち209機がロールスロイス製もしくはロールスロイスが関わったエンジンです。
747-100型導入時にもどうしてもロールスのエンジンがいいと言ったため、結果として747-100にもロールスのエンジンが選べるようになり、それは以降400型まで続きました。
双発機譲りの心臓:
747-8のエンジンであるGEnxはもともと双発機の787型のために開発されたもので、747-8に積まれてるGEnx-2B67はそれの発展系。なおA380で選択できるエンジンのうちの片方、トレント900も双発機用の発展形です。エンジンの安全性やパワーや燃費、静音性などを発展させ双発機の発展のための礎を築いた巨大な四発機の末裔の多くは、今や逆に双発機から続くエンジンで飛んでいるわけです。
A380ではエンジンが2種類あってどちらかを選べるようになっていますが、残るもう片方のGP7000はもともと747-X計画のころにそれのために開発が始まったもの。しかし747-X計画は中止となったため、結果として競合他機種であるA380のエンジンとなりました。
先代までとは違うナンバリング:
787のデビュー以降ボーイングの機型命名則は変更され、「(機種名)-(一桁の数字)」の形式に簡素化されました。747型においては747-400までが従来の命名則で、747-8は新しい命名則でつけられた最初の、そして最後の747機型名です。その「8」の字が787に因むこととも併せて、位置づけの違いも感じずにはいられません…
ハブ・アンド・スポーク:
「ハブ」は車輪の中央部分(轂:こしき)、「スポーク」はそこから車輪外周のリムへ伸びる多数の棒(輻:や)を指します。拠点空港を乗り継ぎ場所として経由しそこから目的地に…という概念ですが、やっぱり直行便のほうが便利ですよね。
ところでこれ、エアバスが最初に唱えたモデルではありません。どんなふうにして生まれたかは後述。
空港が飛行機に合わせてくれた時代:
ジェット機が登場した頃やSSTが盛んになるとまだ思われてた頃の話。世界中の空港がこぞって滑走路を延長・増設して受け入れ体制を整えてくれましたが、今はもういっぱいいっぱいなところが多くそんな余裕がありません。
100機目のA380:
エミレーツ航空は11月3日に100機目のA380を受領しました。機体はアラブ首長国連邦建国の父、ザーイド初代大統領の姿を大きくあしらった特別塗装で、100機目の記念デカールも施されています。
http://www.aviationwire.jp/archives/133494
エミレーツ航空:
アラブ首長国連邦のドバイの国有企業傘下、超やばいくらい金持ちエアライン。A380の総発注数は142機にのぼりダントツトップ、先日100機目のA380を受領しました。エミレーツ航空のA380といえばそれはもうすごい豪華仕様でシャワールームまでついていることで有名です。飛行機の中にシャワールーム…。拠点のドバイ空港にはただでさえでかいA380がいっぺんに7機も入る格納庫があります。神殿かよ。
機体の大量発注や新サービス導入などを大胆に行うことから「何をするかわからない航空会社」という異名を持っているとか。
それに付随して発生する機材の放出についてですが、寿命いっぱいまで運用して退役とかいうこと、より良い代替機が出たような場合は特に、エミレーツさんあんまりやってないっぽいんですよね…。
過去に計18機が運用されていた777よりやや小さいサイズの4発機A340は、4発機故の運用の難からか777への入れ替えが進み、全て放出されました。しかし他エアラインに移籍して運用中のものは8機にとどまり、1機は機齢12年程度でスクラップ、9機はエアバス預かりのまま。後者は他社への受領に向けたリワークが進んでいる様子も、エアバスでも運用されている様子もないので、恐らく部品取り扱いの保管ではないかと推察されます。パメラが自分のきょうだいの将来についてあまり楽観視していないのはこの前例のせい。機種は違えど18機でこれなら、いつか100機以上が順次総入れ替えとなったときは…
彼が選んだのはボーイング787:
2017年11月のドバイエアショーにおいてエミレーツ航空はA380を発注せず、代わりに787-10型を40機発注しました。
https://twitter.com/BoeingAirplanes/status/929646122146156544
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/171205/mcb1712050500016-n1.htm
リース契約の更新を行わず:
シンガポール航空のこと。シンガポール航空はA380のローンチカスタマーとして世界に先駆けてA380を導入しましたが、初期に導入した4機のリース契約を更新せず今年打ち切りに。内装・クラス構成の異なる新造機に入れ替えを行うことになりました。
https://www.flightglobal.com/news/articles/dr-peters-considering-a380-teardown-sources-437799/
中古機市場が十分に発達する:
よく売れている機種ほど中古機の取引も盛んに行われます。これは機体の絶対数の問題もありますが、多くの航空会社で運用されているほど故障等への対応が容易に行えることにも由来しているようです。各地の空港や航空会社の拠点などに各エアラインの部品等のストックが潤沢にあれば、自社分がちょうど現場になくてもそこのものを一時的に拝借してあとで返せばいいので、わざわざ本部から現地に送ったりするより欠航による損害もぐっと少なくて済みます。逆に言うとあんまり売れてなかったり運用会社の少ない機種はそういう部品調達の融通が難しく、あるいは対応できる各地のメーカー拠点も少なかったり、ともすればメーカーで生産中止になったりすると機材寿命的に途中でも消耗部品の調達がそもそも困難になることもあるため、中古機も余計売れないのでした。
旅客型転用貨物機:
旅客型を改修して貨物機に転用することもできますが、座席と内装取っ払ってちょちょいのちょいじゃなくって、床面や機体の強化、その他荷物を固定する金具の設置、パレットやコンテナを所定の位置まで送る電動ローラー等、いろいろと手を加える必要があります。ちゃんと開発に技術研究とか必要なんですからね!
リンク先は777とA320の話ですが、その研究は思ったより時間も掛かるし難しいらしいんです。需要とかも十分ないといけないし、そのためには貨物機として競争力のある機体にならないといけないので。
ちなみに軍用輸送機を貨物機として運用する航空会社もなくはありませんが、軍用機に求められる堅牢性や短距離離着陸のためのハイパワーは基本的に燃費を悪化させるため、経済性でいうと民間貨物機に軍配が上がります。
http://www.aviationwire.jp/archives/131632
http://www.aviationwire.jp/archives/63253
貨物型の開発を凍結:
A380貨物型は貨物航空会社2社とリース会社1社から発注を貰っていましたが、開発の遅れから引き渡しは当初予定の2年遅れになる見通しとなり貨物航空会社2社は発注をキャンセル、リース会社も発注を旅客型に変更しました。これにより貨物型の開発は2007年に凍結されています。機体に比べエンジンがパワー不足という話もありますが、最初から貨物機にするつもりで作った747に比べて、同じ巨人機といえど旅客機として生まれてきたA380はやっぱりなかなか難しかったんでしょうね…。旅客型転用貨物機への見通しも不透明です。
http://www.afpbb.com/articles/-/2188888
メインの業務の時間帯:
1970年代、貨物航空会社FedExの創始者であるスミス氏は、こんにちの航空貨物輸送の基本となる2つのモデルを生み出しました。すなわちそれが「ハブ・アンド・スポーク」と「オーバーナイト・フライト」。ハブ・アンド・スポークはその後航空業界のみならず輸送業界全体に多大な影響を与えましたが、前述の通り旅客輸送分野においては最近は押され気味。
で、後者の「オーバーナイト・フライト」ですが、仕事が終わる夕方に集荷して夜のうちに航空輸送し仕事が始まる午前中までに次の場所へ届ける、というモデルです。以後現在に至るまでこれが一般的で、彼等フレイターの多くは夜に空を駆けるのでした。
http://www.e-logit.com/words/hub-and.php
生まれてきたからには居場所がある:
ただでさえ高額な航空機、それも超大型機については特に、そうとは言いづらいのが難しいところ。
完成したらしたで売れるだろう、と思っていたのかどうかわかりませんが、747-8は生産数120機程度にも関わらず、製造後一次受領先に受領されずに(別な顧客や用途にむけてまだ準備中のものも含め)未だに運用入りしてない機体が2017年11月時点でも10機ほど。
対してエアバスは、キャンセルを受けた時点で組み立て前だった機体については製造前の他機体にパーツをうまく振り分けたようで(スカイマーク非受領分のうち未組立だった機体についてもそうなりました)、製造番号だけ残ってて組み立てられなかった機体は数あれど、製造済み200機以上のうち一次受領先に受領されなかった機体は試験機5機と、スカイマーク受領予定で組み立て済みだった2機のみです(後者2機はエミレーツ航空が受領予定で現在作業中)。超高額ゆえ完成後に新古機として価値が落ちていくより、部品のまま寝かせておいて「新造機」として販売できるようにしたことが功を奏したのでしょうか。
https://www.planespotters.net/production-list/Boeing/747/747-8
https://www.planespotters.net/production-list/Airbus/A380
あのできそこないの787:
フランス領レユニオンの航空会社エール・オーストラルはA380を2機発注していましたが、のちにこれをキャンセルし、該当製造番号の機体は非建造となりました。代わりに買ったのは性能問題からボーイングにて安売りになっていた787型初期製造分、通称テリブルティーンズの2機。企業や機材の規模(737や777を始めとして計10機)的にA380導入は最初から無理があった感じはありますが、とはいえライバル社の双発機のそれも初期不良品に負けたならやっぱり腹も立つかなって…
イワシ缶仕様:
エール・オーストラルが注文していた2機は、A380の最大座席数近くまでぎっしり座席を詰め込んだ840席仕様のもの。そのぎっしりすし詰めさから「Flying Sardine Can(空飛ぶイワシ缶)」と渾名されました。
とはいえこの席数の機体を経済的に運用できるかといわれると、以降これに比肩する仕様の機体の注文はないことからもわかるように、エール・オーストラル以上の規模の航空会社でさえ手を出さないようです。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2016-04-11/airbus-loses-order-for-840-seat-flying-sardine-can-superjumbos
ロシアの身の程知らず:
別項でもちょっと触れた、今は亡きトランスアエロ航空のこと。ロシア国際線大手アエロフロートから機材リースを受けて始まり急成長、ロシア国内線最大手となったはずが、747-8とA380を両方複数機発注したあたりでルーブル安に見舞われ急速に経営悪化。総株式の75%が1ルーブル(日本円にして約2円)というものすごい安値でアエロフロートに売却されることが一旦は決定しましたが、結局これもおじゃんに。結果経営破綻し、両機種とも受領されないままになりました。あの2機種に手を出さずにいたらもっと長生きできた気がする…。
ブラバゾン(ブリストル ブラバゾン):
747の初飛行から遡ること20年前の1849年に初飛行した、翼幅は747よりも大きくA380に迫る大きさの、なんとレシプロエンジンのイギリスのプロペラ機。大型爆撃機のコンペに漏れたボツ案を旅客機案コンペに流用したもので、内装は大変豪華だったそうですが、試作機が作られただけで結局一機も売れませんでした。メーカーのブリストル社は客席やなんかもひろびろゆったりさせて「空飛ぶ豪華客船」を作りたかったのですが、航空会社が欲しかったのはいわば747のような、長距離大量旅客輸送ができる機種だったのです。もっと話し合うべきだったんだ…
とはいえ巨大なこの機種のために新設された工場や整備された空港等のインフラ、研究成果などはそののちなんだかんだでいろいろ活かされたそうなので、怪我の功名でも…あったらしい…?
https://en.wikipedia.org/wiki/Bristol_Brabazon
フライ・バイ・ワイヤ:
ケーブルと油圧だけじゃなくて、操縦操作を一度電気信号に変えて操縦・飛行制御するシステム。いわゆる電子制御システムのひとつ。A380や777はフライ・バイ・ワイヤを使っています(777はボーイング機種としては初導入)が、747-8のフライ・バイ・ワイヤ導入は一部に留まっています。でも先代400型にはそもそも積んでなかったんだしフライ・バイ・ワイヤがなかったら飛べないわけじゃないよ! 従来式にもフライ・バイ・ワイヤにもそれぞれ一長一短があります。
余談ですが、ボーイングが747-8のみならず、フライ・バイ・ワイヤを導入した777や787でも従来式の操縦方式である操縦輪のままにしたのに対し、エアバスは民間機初のデジタルフライ・バイ・ワイヤ導入機種であるA320からすっぱり新しい操縦方式のサイドスティックに切り替え、以降の機種もみんなそうなっています。そのへんにも2社の設計の違いが現れていたり。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%A4
機体記号(レジ):
航空機の個体名みたいなもの。属す国籍などもひと目で分かるようになっています。
例えばある飛行機が最初働いていた国から別な国に移籍し、また最初の国に移籍して戻ってきたようなときには最初のレジに戻ることもありますが、同じ機体記号を持つ飛行機は2機とありません。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A9%9F%E4%BD%93%E8%A8%98%E5%8F%B7
うん、まあ、同一レジを塗装された機体っていうのはいたんだけど…そのへんの例はのちのち別なお話にて書くつもりです。たぶん。
A380 MSN5000:
今回の話の幽霊さんで、エアバスA380型の静強度試験機。エアバス本社のあるトゥールーズで試験が行われ、飛行試験機や量産機たち数機の完成を見届けたのち、2007年に後述するプロジェクトの一環として解体処理されました。いかんせん開発の機密にも関わるのでほとんど写真らしい写真は残ってません。疲労試験機としてMSN5001という機体も存在しこちらもドレスデンでの試験ののち既に解体済みであるものの、一部未だに保管されているらしい…?
ちなみにMSNは「Manufacturer Serial Number」の略です。「製造番号」みたいな意味ですが、強度試験機は通し番号の中には入らない特別番号です。
https://www.planespotters.net/airframe/Airbus/A380/-Airbus-Industrie/0xaRhN
MSN5000というシリアルナンバー:
A350型の強度試験機もシリアルナンバーはMSN5000でした。エアバスにおいては新型機の強度試験機の番号として使いまわされたようです。
PAMELA:
「Process for Advanced Management of End of Life Aircraft(機生を終えた航空機の高度管理プロセス)」の略称。エアバスが進めていた航空機リサイクル計画であり、A380 MSN5000の機体も強度試験後、このプロジェクトの実証実験の一環として解体処理されました。
現在はリサイクル事業はTarmac Aerosaveというエアバス子会社に引き継がれ、「パメラ」の名称はあまり使われていない様子。エアバス機のみならずボーイング機含む他メーカー機のリサイクルも行っています。
https://www.youtube.com/watch?v=hpcqmDymyck
http://www.airbusjapan.com/innovation-jp/eco-efficiency/recycling-jp/
http://www.tarmacaerosave.aero/index.php?lang=en
ウミガメ:
全日空が受領予定の3機の特別塗装A380、愛称「FLYING HONU」のこと。かわいらしいウミガメの親子のイラストが大きくあしらわれ、乗客数の多い東京・ホノルル線へ投入されることが決まっています。しかしその実態はというと、スカイマークの持つ羽田発着枠がどうしても欲しかった全日空が、同じくスカイマークを狙っていたデルタ航空側についていたエアバスを自陣側に引き込むべく、超高額機のA380を発注した、というものだとか…?
追加予定なしの3機では購入費用・訓練・その他投資に対して利益上げるのはだいぶ難しそうとのことですが、さてどうなることやら…
https://www.ana.co.jp/group/pr/201703/20170306.html
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20160210/Weeklyjn_10002.html
シロイルカ:
エアバス保有の特殊大型貨物機、エアバス ベルーガのこと。名前の通りベルーガ(シロイルカ)を思わせる独特のでこっぱちボディをしています。エアバスが製造する航空機の大型パーツの運搬に使用されていますが、A380のパーツの多くは大きすぎてベルーガにも入りません(船と車で運んでいます)。後継機としてベルーガ XLというさらに大型の貨物機も組み立て中ですが、それにも入りません。さすがでかい…
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%A2%E3%83%90%E3%82%B9_%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%AC
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参考文献等:
月刊エアライン2008年1・10月号、2012年9・10月号、2015年3月号・2016年10月号・2017年3・11月号
4発JET旅客機 LEGACY
旅客機発達物語
旅客機の開発史
ジャンボ・ジェットはどう飛ぶか
ボーイングVSエアバス 熾烈な開発競争
ボーイングVSエアバス 旅客機メーカーの栄光と挫折
ボーイングVSエアバス 2大旅客機メーカーの仁義なき戦い
なぜボーイングは生き残ったのか
ドキュメント・ボーイング
ボーイング・スピリット 創造と挑戦 ジャンボジェットとアポロまで
図解 ボーイング787 VS エアバスA380
747ジャンボをつくった男
ボーイング747を創った男たち
747ジャンボ物語
ボーイング社のあゆみ
巨人機ものがたり
超巨大旅客機エアバスA380
AIRBUS JET STORY
BOEING JET STORY
旅客機型式シリーズスペシャル エアバスA380
THE AIR CARGO 貨物航空輸送&フレイターの全貌
旅客機型式シリーズ ハイテク・ジャンボBoeing747-400
旅客機型式シリーズ ジャンボジェットBoeing747 classic
Airbus A380 Full Production List
http://www.abcdlist.nl/a380f/a380f.html
Planespotters.net
https://www.planespotters.net/
747-8: A new lift in performance
https://www.youtube.com/watch?v=1UWypYOouOo
As the 747 Begins Its Final Approach, a Pilot Takes a Flight Down Memory Lane - The New York Times
https://www.nytimes.com/2017/10/10/travel/747-airplane-jet-pilot.html
ジャンボ、A380が消える?苦境の超大型機:日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/246820/081800044/
エアバス、A380貨物機の開発を停止:AFPBB News
http://www.afpbb.com/articles/-/2188888
「ジャンボ機」が生産終了に追い込まれたワケ 旅客型ジャンボは間もなく生産終了へ
https://www.msn.com/ja-jp/news/money/%EF%BD%A2%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%9C%E6%A9%9F%EF%BD%A3%E3%81%8C%E7%94%9F%E7%94%A3%E7%B5%82%E4%BA%86%E3%81%AB%E8%BF%BD%E3%81%84%E8%BE%BC%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%83%AF%E3%82%B1-%E6%97%85%E5%AE%A2%E5%9E%8B%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%81%AF%E9%96%93%E3%82%82%E3%81%AA%E3%81%8F%E7%94%9F%E7%94%A3%E7%B5%82%E4%BA%86%E3%81%B8/ar-AAoWd68
その他各機種wikipedia記事(英語・日本語)等
2018.1.18追記:
一時はエアバスも「これ以上の発注がなければA380の生産を打ち切らざるをえない」としていましたが、A380のロールアウト式典日だった1月18日になってエミレーツ航空が20機を確定発注、16機オプション契約という大口発注。A380は2度めの延命に成功しました。やったねA380…!
http://www.aviationwire.jp/archives/139136
2018.2.2追記:
2017年末時点でボーイングは残すところ747-8の受注残12機、このままいけば1年程度でそれも作りきってしまいそこで生産終了か…というところまで来ていましたが、2018年2月になるとなんとここにきて(フレイターの方といえど)米貨物航空会社大手ユナイテッド・パーセル・サービスから14機の追加発注があり、こちらも延命に成功しました。なんということでしょう!!!やるじゃん!!!よかったね!!!!
https://twitter.com/BoeingAirplanes/status/959080453725663232
2019.4.12追記:
2019年2月14日、エアバスはA380の生産を2021年をもって終了することを発表。いっぽう747-8はというとあれからもう少し貨物機の発注があったらしく、まだ延命しそうです。ワンツーフィニッシュの可能性がでてきた。なかよしかよ。
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