第2話 中卒
長い長いお葬式が終わった。
親戚というけれど私の記憶上、
会ったことのないおじさんおばさん達が
お酒でお寿司を流し込んでいる。
私はお母さんに言われるまま
お酒を部屋に運んでいく。
「お酒です。どうぞ。」と、
少し大人ぶってお酒を渡した。
そんな私の事を啓介おじさんは
「偉いねぇ。さすが瑶太の息子だ。」
しんみりとした表情で
私の頭をなでてくれた。
私は嬉しかったけどうまく笑えなかった。
聞きなれない言葉が聞こえたのは
ちょうどその時だった。
「瑶太くんはしっかり勉強できる子だったけど、奥さんは中卒だったんでしょ?」
奥さん、というのは多分お母さんの事だ。
「中卒」ってなんだろう。
そんなことを考えているうちに
周りの大人達の言葉が次々に進んだ。
「中学の時も登校拒否してたらしいわ。」
「瑶太ももっといい女いなかったんかなー?」
「できちゃった婚らしいじゃない。奥さんが無理やりさ。」
「はぁ...これだから中卒は。」
「中卒」って悪いことなのかな?
「中卒」は周りに嫌がられるのかな?
友香里おばさんがちょっとお手洗いにって
ドアを空けた時、一瞬気まずそうな顔をして
口角を無理やりあげて笑った。
そこにはお母さんがいた。
「あら、久美子さん。いたなら言ってくれればいいじゃない...!」
お母さんは小声ですいませんと言い
ニコッと笑った。
目が笑っていないことは私にもわかった。
「中卒」ってなんだろう。
私は中卒の意味を誰にも聞かなかった。
キャラメルの味 @RaRaMARU
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