第1話 涙の音
お線香の匂いが鼻につく。
たくさんの人が手にまるがたくさんの
ブレスレットみたいなのをつけて
目をつぶり何かを祈っているかのように
下を向いている。
小学四年生だった私にも
今行われているものが父の葬式だと
きちんと理解していた。
でも3歳の妹唯奈には分かるはずもなく
沈黙の中私の洋服の袖をひっぱって
顔をのぞき込むように変顔をしてきた。
私は笑わなかった。
その代わりつまんない、飽きた、暇と連呼する 唯奈の手をぎゅっと握って静かに、落ち着いてと伝えたと同時に父がいない現実を受け入れられない自分にも落ち着くよう心の中で声をかけた。
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