番外 姫猫
プロローグ
私は“シラユキ”。
絵本のお姫様と同じ名前のシラユキ。
今、16歳。
パパが付けてくれた名前でおばあちゃんのユキから取ったのと、パパと同じ白い髪で産まれた私だからシラユキ。
だからみんなは私を“ユキ”と呼ぶ、おばあちゃんと同じ、ユキ。
私は今船に乗ってる。
故郷のジャパリパークキョウシュウエリアを出て外の世界へ行くためだ。
パパは反対してた…。
でも私はそれを押し切って島を出ることを決めた。
好きな人が出来たから。
それでも会いたいって思ってしまうほど好きな人が出来てしまったから。
「結局、ケンカしたまま家を出ちゃった…」
パパにもわかってほしかったけど、博士達から話を聞いた後だとパパがなぜあんなにも反対していたのかもわかる。
パパは私と彼とのことを反対している訳ではない、外で暮らすことを反対していた。
「あぁわかった!好きにしろ!そんなに行きたいなら勝手に出ていけッ!」
「言われなくたって出てくよ!大嫌い!」
それが私とパパとの最後の会話… その後博士達からパパの話を聞いて、でも何も言い出せなくって結局顔も合わせずにサヨナラしちゃった。
思い出しただけで涙が出てくる。
ごめんなさい… ごめんなさいパパ。
本当は大好きなのに…。
「何か聴かせてラッキー?元気になるやつ」
「任セテ」
私は部屋の隅で抱え込むようにラッキーを抱き締めている。
家を出るとき母が持たせてくれた、図書館でパパのお手伝いとかをしてたラッキー。
よく歌を聴かせてくれて、幼い頃私と双子の兄のクロはそれが楽しくて仕方なかった。
だからきっと楽しい音楽を聴けば少しは気が晴れる。
そう思ってたけど。
“『ユキ…』”
「パパ…?」
聞こえたのはしばらく聞いていなかったパパの声だった。
事の切っ掛けは、クロがスナ姉を追って家を出たすぐくらいのことだった。
親猫
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