第31話 子供たちの将来
「つまり、仮面フレンズとはお前のことだったのか?」
「えっと~いや、隠していたつもりはないんだけど、その~…はいごめんなさい俺です」
「初代ハ シロノ父親ダヨ」
「ラッキーさんちょっと静かにしててもらえますか?」
「ァ…」
真実を知った後ホワイトタイガーさんは俺を問い詰めた「なぜ中身がお前なんだ」「本物はどうした?」と…。
むしろ知らないのはほんの数人、子供たちとホワイトタイガーさん、他に見ていたフレンズの中にも知らなかった子はいただろう。
冷静に考えればすぐわかるだろって感じなんだが、まるで騙していたみたいな罪悪感に囚われていた俺は目も合わせられなかった。
「なるほどな、強いわけだ」
「怒らないの?」
予想よりも落ち着いた反応だったことが意外だったがそれを言うとキッと目付きを変えて言い返してきた。
「正直言ってムカついている!」
「ご、ごめんなさい…」
「だが許してやる、我のわがままで今回またやることになったのだろう?」
いや長のわがままです、キッカケはあなたかもしれんけど。
「わがままだなんて、純粋に会いたがっていただけじゃない?それに子供たちも楽しみにしてたから」
「以前なら侮辱とみなし力で解決したかもしれん、だがヒーローとは守るために力を使うものだ、違うか?」
その通り、俺が思春期に中二病(今も)で荒くれ者だった頃に父から耳にタコができるまで言われたことだ「自分の力に責任を持て」「どーせなら守るために使え」と。
父さんイチオシのヒーローアニメと特撮を毎日教材かってくらい見せられた、もうウンザリだぜ。←でもハマった
何でも力で解決するのは暴君であり、いくら悪党を倒しても力だけで周りを黙らせるようなやつはヒーローとは言わない、ちなみに師匠は脳筋なだけで人格者だから暴君ではない。(と思う)
「仮面フレンズから学んだことも多い、だから今回は多目に見てやる」
そしてホワイトタイガーさんにもそれは伝わったようだ、落ち着いて周りを見ることを覚えたのかもしれない。
自分の考えに基づいて周りを見るのではなく、視野を広くして時に客観的になることを学んだのだろう。
この人もしかして特撮好きなのかな?真逆かと思ったら趣味が合うかもしれないぞ。
「それに演技だとしても、家族のために戦うお前は確かにヒーローだと思った、初めて会ったときなぜあれほど激昂したのか理由もハッキリとわかった、そしてそんなお前は我のこともヒーローだと言った、それは率直に嬉しいと思ったし正体を知っても仮面フレンズそのものは好きだ、ああいう周りに慕われる存在には憧れる」
戦いは演技じゃなかったけどね、さぞ迫力があったことだろう。
「姉さんに散々言われてるかもしれないけどさ?ホワイトタイガーさんは頭が固いんだよ?その立場に責任を持っているからだろうけど、寒くて住みにくそうなゆきやまちほーで毎日毎日鍛練を重ねてみんなのために戦って… 立派だけど、だから単にもう少し肩の力抜けば?って思ったし、多分みんなもそう思ってるよ?その方が仲良くできると思う」
「ふん… “たまにはほどほどに休もう”だろ?我にもそれくらいわかっている、今度からは気を付ける」
そういうと彼女はマントを翻しみずべちほーを後した。
「ねぇ!今度またやることになったら代わりにやってよ!」
「演技なんぞできんぞ!だが考えておく!」
本当は嬉しいのかな?口元がにやけていたのが見えた。
それにしても… はぁ~疲れた、俺隠し事苦手なんだから変なことさせないでよ本当に、もうやらないからな~?
「パパカッコよかったよ!」
「パパありがとー!」
いや、もう一回くらいならやってやらんこともないな。
…
「それでは、我々は帰るのです」
「PPP見ないの?」
「騒がしいのは苦手なのです」
「帰って留守番をするのです」
「そっか… ねぇ?今日の配役ってもしかして俺が師匠を倒せるか試したの?」
実はずっと気になっていた、なぜわざわざ師匠を悪役に使ったのか?師匠に演技なんかできるはずがない。←偏見
もしかして博士たちはこう言ったんじゃないか?「限界突破本気のシロと戦わせてやる」とか。
「深く考えてなどいないのです」
「前回はライオンでしたから、今回はヘラジカでいいかと単にそう思ったのですよ」
そうかな?きっとサーバルちゃんは俺が敗北して役を続けられない状態になったときの代役で、そうなったら長&サーバルの三人がかりで倒すつもりだったのでは?
それなら確かにあの時あの状態では勝てるようにも見えないだろうし、イエローが来たのは納得の展開だ、ショーだし最後は勝たないと。
ごめんね期待に応えられなくて?強い以上にあの人はタフすぎる、先に俺が疲れてくるんだ。
…
オシクラマンジュ♪ オシアイヘシアイ♪
と曲が終わるごとにステージではメンバーがライブトークを挟んでおり、今はヒーローショーの話をしている、つまり俺のことだ。
刮目せよ、即ち俺が伝説だ。←ドヤドヤドヤ
「いやー!ヒーローショーすごかったな!」
「戦闘シーンが迫力満点でしたね!」
「あれ本当に戦ってたらしいわよ?」
「「えぇー!?」」
「それはもはや演技なのか?」
「セリフもめちゃめちゃしてたね~?」
「あれほとんどアドリブらしいわよ?」
「「えぇー!?」」
え、それ言っちゃうんすかプリペンさん?さすがっすわ、普通に裏事情言っちゃうとかマジプリペンさんリスペクトっすわ、さすがプリペンさんはいつもロイヤってますね覚醒者ですね。
「せっかくだから上がってもらいましょうか?」
「正体バレたしねー?」
「お子さんも連れてきていいですよー?」
「なに目ぇ逸らしてんだよ!さっさとこいよ!」
「疲れてるとこすまないな」
そんな、PPPォ!俺なんかの為にぃ…!
アイドルのライブ中にズタボロになった二児の父が上がってもいいんだろうか?知ってるかい?俺一回プリンセスちゃんとの仲疑われて記者会見したんだぜ?しかもそれから何ヵ月もしないうちにまたステージ上げられてかばんちゃんとイチャイチャしたんだぜ?
さておき、ステージに上がるだなんていい経験になるだろうか?子供たちもさっきまで人質にされてたけどね。
「みんなで上がろうか?」
「ユキもいくー!」
「ぼくはいかなーい」
「え?クロいかなくていいの?」
「サーバルちゃんといる」
「えへへ!じゃあクロちゃんわたしとここで見てよっか!」
「見るー!」
疲れたのかな?なんか眠そうだし、それともまたおませさん?もしかしてサーバルちゃんの心の変化に気付いて逃がさないように見張って… なんて子供にしては難しいことはないか?
「じゃあユキだけ連れてってあげてください、ぼくもクロを見てます」
「そっか、よーし行くぞユキ~?アイドルのお姉ちゃんに会いにいこうな~?」
「わーい!」
女の子だからね、可愛いものは何でも好きなお年頃なんだろう。
母さんも孫を楽しませてあげたいのか出てくる気配はないようだ。
「どーも、紹介に預かりました仮面フレンズのシロです」
\ワァー!ワァー!/
おぉ、意外といい反応だな!そっかそっかみんな仮面フレンズ好きか~?←ウッキウキ
「よく来たわね!ユキもいらっしゃい!私達の歌とダンス見てくれた?」
「見たー!PPP好きー!」
\キャー!キャー!カワイー!/
俺よりも娘の人気がある件について。
「クロはー?」
「疲れたのかな?あっちでサーバルちゃんにくっついてるよ」
目を向けるとサーバルちゃんに抱っこされてぼんやりこちらを眺めるクロがいた、横で妻がニコやかに手を振りサーバルちゃんも大きく手を振っている。
「ユキちゃんはこの前誕生日でしたよね?いくつになったの?」
「4つー!」
\キャー!キャー!/
元気よく四本指を立てていちいち可愛い娘だぜまったく、客席を全員シロサイさんにしてしまうとはやるな。
「大きくなったね?やっぱりシロとよく似てるけど、近くで見るとかばんにも似てるよ」
「コーテーちゃん抱っこして!」
「え?私が?」
「ユキ、やめなさい」
お前というやつはなんで最近執拗に胸を触りたがるんだまったく、考えてることはお見通しなんだぞ?
…むくれっ面してもダメなものはダメだ、誰に似たんだよそんなとこ?←周知の事実
「やっぱりシロ似じゃねーか!」
「やっぱりシロさん似ですね」
「やっぱりシロ似じゃない!」
「コウテイのじゃぱりま~ん」
「えっ?どういうことみんな?」
「なんでもないから!」
\ハハハハハ!/
ホームコメディみたいになった。
「それじゃそんなパパそっくりのユキに質問だ!PPPの中ではズバリ誰が一番好きなんだ~?」
「ぶっこむねイワビーちゃん?」
「なんか緊張しますね?」
「コウテイじゃないのー?」
「なぜ私が?」
「あなた本当にわかんないの?」
では気になる答えの方、シラユキさんよろしくお願いします。
「ユキはプリペンちゃんが好き~!」
「アハハハハハ!“プリペン”っておまえ!ロックだなぁおい~!」
「プリンセスよ!プ!リ!ン!セ!ス!」
「だってパパがプリペンちゃんって言ってたもん!」
「ちょ…!こら!しーっ!」
「シロ!あなたねぇ!」
\ハハハハハ!/ \カワイー!/ \プリペンチャーン!/
流行ったな、ごめんプリペ…プリンセスちゃん。
ところで気になる理由の方ですが、ユキさんなぜでなんでしょうか?
「可愛いから!」
「あら、ありがとう!」
「みんな可愛いじゃないか?なんでプリペ…プリンセスちゃんなんだユキ?」
「尻尾がピョコピョコしてるから!」
それもみんなしてるような気がするんだけど?まったくせめて歌が上手いとか踊りが可愛いとかあるだろうが誰に似たんだ?←周知の事実
「シロ、他の子を可愛いとか言ってるとまたかばんに怒られるんじゃないか?」
「コウテイちゃん、妻を他の子と比べないでくれるかな?不動の1位なんだ」
「そ、そうなんだ… なんかごめん」
「あ、かばんさん赤くなってますよ?」
「なに照れてんだよ~?このラブラブ夫婦~!」
\ヒュー!ヒュー!ヒュー!/
冷やかすなよい♪
ですがもちろん子供たちも愛しているのでご心配なく!
「ねぇー?2位は~?」
フルルさん?それはスルーでお願いします、ステージがブリザード。
「そ、それじゃ次の曲もよかったら見てって!」
「うん、じゃあ戻るよ!ユキ~?みんなにバイバイして?」
「バイバ~イ!」
俺達がステージを降りて席に戻る頃、プリペンちゃんの掛け声で次の曲が始まる。
「“わたしたちのストーリー!”」
\キャーキャー!/ \ワァーワァー!/
…
ひとしきり騒ぐとクロもユキも疲れたのかよく眠っていた。
そんな俺たちの元に現れた変態マネージャーマーゲイさんがライブトークの様子を見てこんなことを提案してきた。
「ユキちゃんさいこーですねぇ!子供のアイドルとしてデビューさせてみませんか!?大人気間違いなしですよ!?うぇひひ!アッハァ!?ウハハァーハァー!?フゥオーッ!」
俺は眠る娘をかばんちゃんに任せマーゲイさんの前に立ちはだかった。
「ガァルルルル…!」
「ひぇ… じょ、じょーだんです!でも本当に可愛いですよね?ユキちゃんが大きくなってアイドルになりたいと言い出したら私に任せてみませんか?」
「考えとくよ!さぁほら!仕事に戻って!」
「はーい… 失礼しま~す」
まった油断も隙もない、でもアイドルか?本人がやりたいならまぁいいか?なんか心配だけど、クロがヒーローでユキがアイドルみたいな?それはそれで夢があるな!
でも当分は二人とも我が家だけのアイドルでいてくれ?パパがヒーローとして守ってあげるから。
しかし今日はバタバタしたなぁ…。
しかも博士たちに簡単に夜食なんかを作ったりしてるうちにすっかり遅くなってしまった。
すまない妻よ、今日は抱いてやる時間がないがでもどうしてもというなら上に乗ってくれ、一部分だけ準備するから。←けだもの
「はぁ~疲れた疲れた…」
肩を交互にぐるりと回しながらベッドに腰かけた、ちゃんと普段から動かないと体が固くて仕方ない。
「大丈夫ですか?肩揉みしましょうか?」
「いや、いいよ?かばんちゃんも疲れたでしょ?寝るときくらいゆっくりしよう?」
肩揉みか… むしろ俺が君の乳揉みしてやりたいところだが、疲れた体にムチを打ってまですることではないだろうし我慢してやろうじゃないか。
それよりも。
「応援ありがとうね?おかげで力が湧いたよ?」
「シロさん素敵でしたよ?カッコよかったです!」
「そう?結局一人では勝てなかったけどね」
「勝ち負けじゃありません、傷付いてボロボロでも、それでも僕や子供たちのために立ち上がってくれるのがカッコよかったんです、やっぱりパパは我が家のヒーローですね?」
そう言ってくれるのは君だけかな?いつか俺のそんな精神を子供たちが理解してくれたら幸いだな、なんだかウルっときちゃった。
子供ができてから涙腺が緩くていかんな。←元から
「あー?泣き虫ですねシロさんは?」
「だってさぁ~… 子供たちもいつか俺が守らなくてもよくなるのかな~とか思ったらさ?グスン」
「もぉ~仕方ないですね?ほら、おいで?」
あー!ママぁー!
スッと腕を広げた妻の胸に飛び込みベッドに横になった俺は、そのまま優しく頭を撫でてもらいながらいつの間にか眠っていた。
そして翌朝子供たちが起こしにきたとき。
「あー!パパがママに甘えてる~!」
「甘えん坊だー!」
「あぁ~… ココスキ」
「ぼくもするー!」
「ユキもー!」
今は家族四人でぎゅうぎゅうにくっついている、幸せだ。
だが、俺はそれよりも朝まで同じ状態だったことに感動してまた妻の胸に顔を埋めた。←埋まらないけど
マザコンじゃねぇ!
俺はマザコンじゃねぇからよぉ!
つまり幼少期のトラウマのせいで妻の母性に弱いだけだ。
今はこうしてくっついているが、ユキはいつか「パパ臭い」とか言うようになってクロは「やかましい!鬱陶しいぞ!」とか言うようになるのかな?
やべぇよ反抗期こえーよ。
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