第16話 さいかい
現在黒船で移動中。
ゴコクエリアを目指して出航、キョウシュウからはそう遠くない、海を渡ればすぐそこにあるので所謂お隣さんである。
ゴコクにはかばんちゃんの育ての親とも言うべき人物であり、俺のサンドスターコントロールの師匠でもあり、うちの双子ちゃんを取り上げてくれた天才の大先生。
カコ博士が住んでいらっしゃる。
先生は体内にサンドスターを保有しており、その為か歳よりも見た目がずーっと若い、俗に言う美魔女とかってやつだ。
父さんの話しによると、普通に美人なので結構モテたそうだ… しかも胸が大きい。
ただ人と話すのが苦手で慣れた人でないと会話が1ミリも進まないので、なかなか恋愛に発展せず現在に至る。
先生には子供の頃両親を失ったなどどこか影の深い部分もある、きっとそれもあって男と上手くいかないんだな。
でもそんなところがミステリアスな雰囲気を出してまた魅力を引き立てていると父は語る… しかも胸が大きい。
父とは普通に仲良く話していたようだけど、まさかただならぬ関係とか?
気になるので父にツッコんで聞いてみた。
「父さんは惚れなかったの?」
「父親をからかうな… 大学時代は彼女がいたんだよ、だから先輩とは発展しなかった」
「へぇ?どんな人?」
「ジェシカってブロンドの美人でな?でもあの女とんだ尻軽だった、だからパークに就職したときにそのまま自然消滅だ、お前もブロンドには気を付けろ」震え声
フラれたんだな、生々しいよ… そのブロンド美人となにがあったんだ、ブロンド全体にビビるのやめろ、今この船に二人乗ってる。
そしてその後傷心の父ナリユキは、パークで出会った眼鏡美人に一目惚れしたが、彼女がイカれたケモナーと知るとだんだん自分もその障気に当てられケモナーになっていったのであった。
「まぁ先輩はとにかくモテた、しかも胸もでかい」
「そうだね、しかも胸も大きいもんね」
コンコンコン
おや?誰か来たようだ?
「シロさーん?」
「ナリユキさーん?」
ゴゴゴゴゴゴ
「父さん呼んでるよ?」
「ユウキ呼ばれてるぞ?」
とびきり長いお説教は短めにして。
…
「ねぇクロちゃん?それはなに?バス?」←ブロンド1号
「じーじがくれたの!ジャパリンガーX!」ガチャガチャ
「すっごーい!なにそれなにそれー!」
「ジャパリンガーXは強いんだよ!岩も砕くんだよ!」キラキラ
ジャパリンガーXとは… ジャパリバスが変形した二足歩行ロボのことである。(らしい)
父曰く
「やっぱり変形ロボはロマンだな」
マバータク ウチュウノ destiny ソメテー♪
とのことらしく、誕生日プレゼントの為にわざわざ特注で作ったらしい、友達に
「すっごーい!わたしたちのバスもジャパリンガーXだったらシンザキちゃんが危ない目に逢わなくて済んだんだけどなぁ~」
「…」ムス
あらサーバルさん、あなた今地雷をお踏みになったわ?クロの顔が一瞬でしかめっ面に。
「シンザキちゃんみんなの為に囮になって危なく食べられちゃうとこだったんだよ~、シロちゃん達が来てくれなかったからどうなってたか… やっぱりクロちゃんのパパはスゴいね!」
「うん」ジト
「あれ?どうしたの?」
「スナネェちゃ~ん!」スタタ~
「え~なんで!?待ってよぉ!」
クロのやつ…。
まったくませてるなぁ?いっちょまえにヤキモチなんか妬いて。
しかも受け入れ先はスナネコちゃんなのかよ、もしかして逆にヤキモチ妬かせようとしてるのか?だとしたら4才なのにとんだ策士だな「君以外にも仲のいい女の子くらいいるんだよ」みたいな?いや考えすぎか?
さすがにそこまでじゃないだろう、だって4才だぞ?それに黄金の精神を継承させたばかりだからな。
「どうしたのですかぁ?」←ブロンド2号
「抱っこ…」
「クロは甘えん坊ですね?」ヨシヨシ
「むぅ~… なんで逃げちゃうんだろう?」
男の話するからですよサーバル姉さん?
この場合はかばんちゃんに似たと言うべきだろうか?そうだ、パターンが違うだけでやってることはかばんちゃんとそう変わらない、何度おしりをツネられたか、尻の肉ちぎれるかと思ったよ。
ま、そこが可愛いんですけどねー!
とそこに噂をすれば妻の登場だ。
妻は状況を把握するとまっすぐスナネコちゃんに抱かれる息子の元へ行き優しく語りかけた。
「クロ~?サーバルちゃん寂しいって?ごめんなさいしておいで?」
「しない」プイッ
強気だねぇ息子よ?気持ちはわからんでもないが本命の子に対してその態度はいかがなもんか?
「もぉ~パパにそっくり…」呆れ
え!?どういうこと!?俺のどこが!?
「かばんちゃん、ヤキモチ妬きは君に似たんじゃ?」
「そうですけど、シロさんってヤキモチ妬いたらわざと僕から距離をとろうとするじゃないですか?僕はそんなつもりなんてないのに… あれ結構寂しいんですよ?」
「ご、ごめんね…?」
気付かなかった、でも言われてみれば確かに心当たりが。
例えばちょーっとかばんちゃんが父さんとかシンザキ&ナカヤマさんと楽しく談笑なんぞしてたら、確かに少しモヤモヤしてしまう自分がおります。
別にただ話しているだけなんだ、話しかけられたら返事を返す。
彼女はそんな当たり前のことをしているだけで、だから特になにかあるわけではないから直接文句を付けるとか怒鳴り付けたりとかはしないのだけど。
かばんちゃんが言うには…。
そんなときの俺は少し離れたところにいて、読み取りにくいがややムッとした顔をしてるそうだ、目が合うとフラッと背中を向けて見えないところに移動してしまう、何も言われないのが返って結構堪えるらしい。
う~ん… 母さんも嫉妬深いみたいだから似たんだろうか?俺も人のこと言えなかったな、余裕のある男になりたいものだ。
でもその点父さんってすごいよな、そんな素振り少しも見せないもの!
…
そんな楽しい船旅を終えるとみんな大好きゴコクエリアへ、向かうはカコハウス。
道中何事もなく無事目的地に辿り着く事ができた。
子供たちは到着するなり「「カコばーばー!」」と駆け出すと、ノックも無しに扉を開けて中に突入した。
あとで注意しておかないとなぁ、カコ先生がなにか都合の悪い状態だったらどうするんだ。←何とは言わないが
間もなく中から「はうぁ!?」という声と共にガタンッとなにか固いものにぶつかる音が聞こえた後、続いて「あぁぁぁ!?大丈夫かぁッ!?」と焦ったような声が聞こえた。
多分ビックリして急に立ち上がったからテーブルに足をぶつけたとかそういうことだろう。
…
カコ先生はずーっと一人孤独な生活を続けていた。
が、みんなで俺の腕を治しにしばらく滞在してからそんな生活は一変、俺達はご存知の通りキョウシュウへ帰ったが、現在は同居人がいてとっても愉快な生活を送っている。
その同居人こそが我が親友ツチノコのフレンズである!おーっと兄弟杯を交わして今では姉御かな?
ツチノコちゃんは気むずかしくって口が悪いけど、それはただのツンデレで実はとっても可愛らしい性格をしている、水色の髪がサラサラで綺麗、いい匂いもする、ワンピース型のパーカースカートからスラリと伸びる生足が実ににけしからん。
では子供たちからご紹介していただきましょう!ツチノコちゃんです!どーぞ~!
「「わーい!“ツチネコ”ちゃーん!」」
「“ツチノコ”だよ!?そろそろ名前くらいちゃんと覚えろよ!」
「「ごめんなさい…」」
「ふぁはっ!?ま、まて… すまない、言い方が良くなかったな?」
そう、彼女は猫ではない。
いつもと変わらず感情の起伏が激しい彼女は強めの返事の後すぐにそれを改めた。
「怒ってない?」
「キシャーってしない?」
「もちろんだ!こんなことで怒るもんか!その~大きくなったなぁ?元気にしてたか二人とも?///」
「ツチネコちゃんやさしー!」
「尻尾ちょーだーい!」
「だぁからツチ“ノコ”だよ!?猫に見えるか!?… あぁぁぁあッ!?尻尾を引っ張るな!?」
そしてご覧の通り、彼女のリアクション芸は変わらず健在である。
「ツチノコちゃん、元気?」
「見ればわかるだろ?ったくまたヤンチャになりやがったなコイツら?」
「ゴメンね?ほら二人とも!ツチノコちゃんを困らせないで?噛まれるよ?」
「「噛むの…?」」
「噛まねぇよ!」
一方カコさんは俺の推理通り膝を強打したらしく、膝を庇うように床に座り込んでワナワナとしていた。
きっとこういうお茶目なところがカコさん人気の要因の一つなんだな。
「カコさ~ん?ミライです、大丈… カコさん!?」
「よ、よく来てくれたわねみんな…」プルプル
「先輩“また”ビックリして膝打ったの?変わんないなぁ…」
「こういう性格なんだもの、仕方ないじゃない、はぁ… それよりお茶を出すわ?少し待っててね?」
「か、カコさんは休んでてて下さい!僕が出しますから?」
「面目無いわ…」
うちの双子さんはカコ先生にとっても孫のような存在、そもそも出産の成功もカコ先生あってのものだ。
「動物の出産は何度か立ち会ったけど、何事もなくてよかったわ」
なんておっかなびっくりなことを言っていたが本当に先生は天才だった、あらゆる知識を結集して成功させてしまったのだから。
しかも初戦で双子という鬼モードだ。
うちの子達が元気に育っているのはすぐそこで膝をさするこのカコ先生のおかげなのです。
当時子供たちがハイハイでどこにでも突き進みカコハウスをすっちゃかめっちゃかにしてるあの頃も楽しかった…。
…
「アーイ」
「あらあら、ダメよー?シラユキちゃん?割れたら痛い痛いですからねー?あれ?クロユキくんは?」
「ダブダブ」
「アァァァァッ!?よせぇッ!?刃物をもつなーッ!?おいシロ!しっかり見とけ!」
「めんごめんご~… クロ~?怒られたなぁ?ちゃんと謝ろうなぁ?」
「イヒヒ」
「き、気を付けろよ?怪我したら大変だ///」
「アーイ」尻尾ギュー
「ふぁはっ!?なんだ!?お、おいユキ!尻尾はやめろ!ん…///しゃぶるな!?」
あの時にやはりツチノコちゃんは尻尾が弱点なのかとわかった、だからどーこーってわけじゃあないんですけどね?
と、そんなことよりだ…。
「ツチノコちゃん、今日は君に会わせたい人がいるんだ」
「なんだ?愛人か?」
「違うよ人聞きの悪い… どーぞー!入ってきて!」
サーバルちゃんに連れられてカコハウスに入ってきたのは今回同行してもらった猫科のあの子。
彼女は旅人らしくマントを身につけている。(かばんちゃん作)
そしてそれについているフードを深く被りその可愛らしい顔と大きな耳を隠していた。
「久しぶりですねぇ?なかなか帰って来ないからこっちから来てしまいましたぁ…」
「おまえ、どうして…?」
さっとフードをとると、その顔と大きな耳が露に… 薄めのブロンドのショートヘアーにヒラヒラとレースのついたスカートがよく似合い声もとっても可愛いと評判の彼女。
「ツチノコに会いたいからに決まってるじゃないですかぁ~!」ムギュウ
「スナネコ!よく来たなぁおい!」
顔を見るなりぎゅっと強く抱き合う二人に思わず感動を覚えた。
外野↓
「ヒュー!いいぞ!」「尊いね!」←ムッツリ親子
ツチノコちゃんはそんな俺たちのノリで恥ずかしくなってしまったのかサッと距離をとり、顔を赤くしてモジモジと話始めた。
それに関しては申し訳ない。
「う、うるさい!… その~元気だったか?///」
「全然です… ツチノコが出ていってからというものボクは寂しくて寂しくて…」シュン
「う… すまないな、急に出ていって?」
確かに急だった、当たり前に一緒にいられるであろうと思っていた友人がふと姿を消すのはスナネコちゃんにも耐え難いことだったろう。
「ボクにあんなことをしておいて…」
「なに!?」
「責任もとらずに出ていくなんて…」
ザワザワ
ざわつく周囲に焦るツチノコ氏。
えぇ?まさか二人に既成事実があったなんて!?
「おいまて!なんの話だ!」
「忘れてしまったんですかぁ?あんなに熱い日々だったのに… ボクとはそれっきりの関係だったんですねぇ?シクシクシク」
「あぁ~っ!?!?おい!適当なこと言うな!?」
「寒い砂漠の夜を二人で身を寄せあって温めあったではないですかぁ?」
「含みのある言い方すんな!」
“二人はただならぬ関係なのだ”
そう周りは認識し始めた、しだいにそんなツチノコちゃんの煮え切らない態度にお節介焼きのサーバルお姉さんは言った。
「ツチノコ!スナネコはスッゴく!スッゴく!さみしかったんだよ!そんな態度はひどいよ!」
「乗るなよ!オレ達は変な関係じゃあねぇぞぉ!?キックシャー!」
「酷いです… “二人共”ボクの体だけが目当てなんですねぇ?シクシクシク」
「そんな関係じゃないよ!」
「そんな関係じゃねーよ!」
スナネコちゃんは修羅場製造機にでもなりたいのか?このままではサーバルちゃんとツチノコちゃんの距離感が微妙になってしまうぞ。
「二人?ってまさかサーバル… お前スナネコとはそういう?」
「な、なんでもないよ!普通の友達だよ!本当だよ!」
「「体だけってなにー?」」
「うみゃー!そんなんじゃないよ!」
ハッとしたカコ先生が子供たちを連れて外へ出た、スナネコちゃんはこの数年の間に随分知識(性)を吸収してきたようだな?
犯人ならわかってる…。
エロ漫画オオカミの仕業だ!前にアリツさんがチラッと口を滑らせたんだ「メス同士もなかなか… あ、いえ気にしないでください!」とな!
きっとそこで必要もない性知識を学んでいろんな子に唾つけたに違いない!
「あぁぁぁ!!!わかった!悪かったスナネコ!謝るからオレとおまえがそのほら!体がどうこうとかのな?/// そ、そういうのやめろ!頼む!」
「ツチノコはスケベですねぇ?」
「なに!?」
「砂漠は熱いんですから熱々な日々は当たり前ではないですかぁ?夜だって寒いんですから肩を寄せ合うくらいのことはしないと~?そういう意味に決まってるじゃないですかぁ?なんだと思ったのですかぁ?」
「おぉまぁえぇ~!!!///」
「満足…」
はぁ… この子、少し自粛させないとな?二人をからかってるうちはいいんだが、子供に変な話を吹き込まれては困る。
それにツチノコちゃんはノーマルだ… なんでわかるって理由は察してくれ。
それに…。
息子がサーバルちゃんを気に入ってしまったようだからな、かばんちゃんは俺がとってしまったからと言って別の子と彼女に百合の花を咲かさせるのダメだ、それにそんなことはサーバル伝道師シンザキさんが許さないだろう。
見てみろよ?今もすごい腰の角度で眼鏡をクイクイ動かしてるぜ?
ゴゴゴゴゴ
「サバ×スナぁ… 悪くないぃですかねぇ?」クイクイ
ダメな人だった~!やっぱりミライさんの部下だわこの人!
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