第1話 パパがんばる
心地よい微睡み…。
あぁそろそろ目が覚めるな~でももう少し寝ていたいなぁ… ってそんな時間だったんだけどそうはいかない。
「「クスクス」」
小さな笑い声が聞こえる。
隣で小さく寝息をたてている妻の声ではないだろう、俺はうっすらと目を開けてみた。
ほぅ…?
見えたのは半裸の妻であった。
なんで眠いかってつまりそういうことであるからでして、子供たちも寝付き夜も更けた時にたまたま目を覚ました俺は妻の寝顔を見ているとついこう… ちょいしてしまった、子供を起こさないように声を殺す君は実に…。←けだもの
まぁ仕方ないのです、我々は結婚5年目ほどになりますが、まだ若いので。
「「クスクス」」
とまた笑い声とともにテトテトと足音が聞こえる、くっそぉ~近寄ってきたぁ~!ごめーんもう少し寝かせて~?昨晩張り切ってましたごめんなさぁ~い!
足音が止まった、近い… すぐ後ろだ。
「「クスクス」」
あぁ~上がってきたー!
「パパ起きてー!」猫耳グィー
「朝ですよー!」尻尾グィー
「あぁイタタタタ!?わかったわかった!おはよう!離して!?」
息子が耳を娘が尻尾をグイグイと引っ張り、俺の心地よい微睡みは終了を迎えた。
「こらぁー!捕まえたぞ早起きさんめー!」
「「きゃぁハハハハ!」」
…
おはようございます、シロです。
子供ってのはなぜか早起きですね?俺も仕事の都合上早起きな方なのだけど、子供というのはなぜこう早起きなのか?
とても眠い!
まぁ今日に関しては昨晩の妻とのどったんばったんが朝に響くという結果に至ったのである意味でいえば自業自得と言える。
「パパなんで裸なのー?」
「寒くないのー?」
「裸じゃないよ、ちゃんとパンツ履いてるだろ?」
フム、そろそろもっとうまい言い訳を考えないとなるまい?子供はいつまでも無知ではないのだから、なのでそろそろ三人目を… ってまぁそれはいいんだけど。
「んん… シロさん?」
「あ、おはようかばんちゃん?いつものやつだから気にしないで?」
「ママ起きた!」
「おはよーママ!」
「あー?またパパのこと起こしたの?あんまり意地悪したらダメだよ?パパ疲れてるんだから」
「「はーい!」」←適当
最近の朝は大体こう。
割と早起きのはずの俺と妻のかばんちゃんが寝ているとさらに早い時間帯に子供たちがスッと目を覚ます。
そして息子クロユキは耳を引っ張り、娘シラユキは尻尾を引っ張り俺を起こす、まいった。
妻のかばんちゃんはその騒ぎを聞き付けて目を覚ます。
どうやらヤンチャな二人は朝の俺の反応が面白くてハマってしまったようだ。
そんな可愛い二人を抱えてやれやれという感じで外へ出た、今日もいい天気だ。
「朝御飯はなにがいいかなー?」
「ぼくね、卵焼き食べたい!」
「ユキも!」
「OK卵焼きねー?お味噌汁も作ろうかな~?納豆もあるし」
「「なっとーイヤ!」」
そうか… だがこの和の心、子供にはわかるまい!←発作
子供たちは今3才、ということは俺は大体23歳ってことだ、今に25になり三十路になりおっさんになっていくことだろう。
フレンズモードが標準になってからはそこまでどっと老けた記憶もないが、いずれこの白髪も当たり前な年齢になる。
その時はこの子達も大きくなって俺のけも要素を引っ張り回すことはなくなっているのかと思うとそれはそれで寂しい。
こうして「パパ!」「パパー!」ってくっついてくることもなくなるのか…。
まぁいい歳になってベタベタくっついてくるなんてその状態もどうかと思うけど、娘はともかくいい歳した兄ちゃんとおっさんがくっついてるなんて親子でも絵面キツいですよぉ…。
ところで、そんな二人はどんな大人になるだろうか?
ユキは髪が白いだけで俺のようにフレンズの姿をしているわけではない、でもきっと俺の母によく似た女性になるだろう。
クロはかばんちゃんとよく似てるが男の子だ、でも勿論彼女に似て頭のいい子になるんだろう。
ただ、頭がいいに越したことはないが悪くたってここではそう困らない、だからどうか思いやりのある子になってほしい。
ユキに限った話ではないが、急に耳とか尻尾が生えるようになるんだろうか?その時は責任を持って修行をつけてあげないとならないな。
「二人ともおはよう、朝は卵焼きと味噌汁でいいかな?納豆もあるよ?」
「おはようなのですシロ」
「おはようなのです… また子供たちに起こされたのですか?」
博士と助手の二人はいつものように淡々と俺に挨拶を返した、子供たちも二人に元気よく朝の挨拶をした。
「「はかしぇとじょしゅおはよー!」」
「おはようなのですよ、クロ、ユキ」ナデナデ
「お前たちは偉いですね?“早起きは三文の徳”なのです」ナデナデ
そんな子供には甘い
「さーもん?」
「違うよユキ!さんもんだよ!」
「サーモンは魚なのです」
「また食べたいですね?」
「「じゅるり」」
ユキまだまだ花より団子か… って3才だぞ?色気付かれても困る。
しかしサーモンか、今度またお寿司でも握ろうか… さび抜きでね?子供にはキツい。
「今のは早起きすると普通よりちょっとだけいいことがあるって意味ですよ?」
「さぁ、お前たちのパパはこれからご飯を作るのです、サーバルも起こしてくるのです」
「「わーい!」」
子供たちは楽しそうに図書館へ駆けていった、毎朝サーバルちゃんが俺と同じ目にあってるというのは最早言うまでもない。
「うみゃ~!?」
という叫び声も朝の恒例行事と化した。
…
朝の恒例ルーティーンとして…。
まず俺が起こされる(耳&尻尾グイグイ)、妻それに気付き起きる、俺が二人を連れて外にでると博士たちがすでに起きているので挨拶をする。
続いてサーバルちゃんを起こすために刺客を送り込む、すぐに「うみゃー!?」が聞こえる、二人が寝ぼけたサーバルちゃんを引っ張ってくる(耳&尻尾)。
「サーバルちゃん起きてー!」グィ~
「ごはんごはん!」グィグィ
「うみゃあ~眠いよ~…」
そんな大変丁度よいタイミングで支度を済ませた妻こと、かばんちゃんがそれを華麗に止めて歯みがきをして着替えもさせる。
俺はそんな最中に朝食を作り、博士たちは既に食卓に着いている… もしこの時、もし俺が料理中に子供たちが俺の弱点を責めてきたら?それはもう残念な朝食が待っていることだろう。
まったくやれやれ、耳と尻尾を触りたがるなんて誰に似たんだか…。←遠い目
\いただきますッ/!パンッ!
みんなで元気よく挨拶の後に楽しい楽しい朝食を済ますと俺は洗い物を、かばんちゃんは洗濯をしてくれる。
その間二人の相手はサーバルちゃんがしてくれるのだ。
「狩りごっこしよー!」
「しよー!」
「いいよ!まっけないんだから!」
無論サーバルちゃんは子供相手にガチごっこはしない、ちゃんと子供に合わせた狩りごっこをしてくれる、さながらその姿は幼稚園の先生である。
「待て待て~!」←あーはー!
「きゃ~!」←本気で逃げる幼女
「食べないでー!」←母の面影
やはり子供は外で気持ちよく体を動かすに限る、そしてヤンチャな二人をまともに相手できるのは我らがサーバルさんしかいないのである、俺も混ざったことがあるが大分キツかった… 歳だろうか?
ちなみにかばんちゃんはすぐに捕まり相手にならない、子供に甘いのだ。
「あぅッ!」ステン
「あ!クロちゃん大丈夫?」
「クロいたいいたい?」
「ふぇ…いたい…」
あ、あぁ~!大変だ!怪我してないかな?
と洗い物を中断して駆け寄ってみると今にも泣き出しそうなクロが顔に土を付けて地面に座り込んでいる
「クロ、大丈夫か?よしよし、痛くなかった?」
「うん… イテテ」
「偉いなぁ、痛いの我慢したのか?」
「泣いたらサーバルちゃんが悲しむから!」
やだこの子本当に3才?めっちゃいい子!この歳でこんなに気を配れる子が他にいるかなぁ?
「よしよし、お前は本当にママにそっくりで優しいな…」
俺がクロを抱き上げて背中を撫でてやると、同時に妻もそれに気付いたのか洗濯物を中断して駆け寄ってきた
「クロ!転んだの!?大丈夫!?」
「へーきだよ!」
「そっか、よかった… クロはパパに似て強いね~?」ナデナデ
そうだね俺と君の子だからね、どちらにも似て然りというわけだ。
「クロちゃん大丈夫!?ごめんね!ちょっとはしゃぎ過ぎちゃった…」
「ぼくね!我慢できたよ!」
「男の子だからちょっとはしゃぐくらいのがいいよ、心配いらないよサーバルちゃん?」
「よかったぁ~…」
慌てたサーバルちゃんにはなんでもないので気にしないように伝えた、男の子は擦り傷だらけの泥だらけになって帰ってくるものだ、これは当たり前のことなのだ。
「ママ~!ユキも抱っこして!」
「あら~?甘えんぼだね~?おいで?」
というと妻はユキを抱き上げた、彼女が言うにはこういうところが俺とよく似ており可愛いそうだ… ん?つまり俺が可愛いということかな?よし。
さておきユキはヤキモチ焼きなとこがある、クロを抱っこしてるとしょっちゅう自分もしてくれとせがむのだ、俺が思うにこういうとこは妻と似てる気がするんだけどどうだうか?
なので、子供たちが悲しまないように俺一人で子供の相手をするときは大体なんでも片腕ずつだ、抱っこは左右に、肩車も左右に。
両腕があることを感謝したい、もちろん我々夫婦は二人とも平等に愛しているのでご心配なく。
「クロ我慢していいこね?」ナデナデ
「ユキったらクロを慰めてるの?」
「優しいなぁユキは」ホッコリ
やだこの子本当にry …。
なんということだ、ここには天使がたくさんいたのだ。←親バカ
あ、そっか!本当の愛ってここにあったのか!?←真理
…
午後からはお昼を食べた後に妻が母から先生に変わる、子供たちには読み書きと算数くらいは覚えさせてやらないといけないからだ。
「5つのジャパリマンをサーバルちゃんがひとつ食べてしまいました、残りはいくつでしょうか?」
「はいはーい!残りはみんなで分け合おうよ!」←聖獣
「ユキもジャパリマン食べるー!」←純粋
「それじゃあ残りは3つになるよ!」←神童
「かばん、我々さすがにそれくらいはわかるのです」
「バカにしすぎです」
「え、えーっと… そうではなくて…」
そしてそこにはサーバルちゃんと長二人も参加する、博士たちは読み書きだけでいいだろう、賢いので… そうだろ?
ちなみに俺はその間おやつを作る、ユウキくんがリンゴを切り刻んでパイの中に入れてオーブンで焼きました… 答えは?
アップルパイ!
はい、アップルパイその通り。
それをみんなで仲良く食べる。
子供たちは口の周りねちょねちょにするので俺とかばんちゃんは見てなくてはならない、ぶっちゃけあまり食えないが俺は構わない… 食べたいよりも食べるところが見たいからだ。
ただかばんちゃんはどうだろう?おやつの時に限らずあまり食べてるように見えない気がする、それではどんどん痩せていってしまう、胸も。
ちゃんと食べているのですか?今度彼女の好きなものありったけ食わせてみたい、その晩俺は彼女を食べゲフンゲフン。
それで、おやつを食べると子供たちは疲れてお昼寝してしまう、寝る子は育つのだ。
よく遊んでよく食べてよく眠りなさい子供たち?そしてパパもできれば朝もう少し眠らせてくれ、5分だけでもいいんだ。
そんな子供たち(とサーバルちゃん)のお昼寝中に晩御飯を作る、よし今日はカレーにしよう!そしたら朝御飯もカレーにできる口実になりかばんちゃんとベタベタできる時間があるかもしれない!
ちなみに妻は俺が晩御飯を作るその間、洗濯物を取り込んだり掃除したりしてくれる
家事育児って大変だね?最近めっきりご無沙汰だよ!←嘘
夜になるとお昼寝&晩御飯の後で回復を遂げてはしゃぎ回る子供たちを捕まえてお風呂にいれなくてならない。
これは当番制で今日は俺が入れてあげなくてはならない。
「子供たちー!お風呂の時間だよー!」
「「やー!キャハハハ!」」
「待て待て~!」
走り回る子供たちを捕まえるのも苦労するよ、全裸ダッシュが許されるのは幼児までだ。
お風呂をあがって歯も磨いてやりようやく寝かしつけることができる、でもうちのハイテンションたちを寝かしつけるのは一苦労だ、特にお昼寝までした後では尚更。
そこで長ぁちゃんの登場ですよ!
「クロ?ユキ?ベッドに入るのです」
「お話を聞かせてやりましょう」
「今日はどんなお話?」
「ユキ白猫のお話聞きたい!」
白猫…?待てそれまさか俺の話か?美化してくれてるんだろうな?そうだろ長?
「あの話は長いのでお前たちは寝てしまうのです」
「今日はまんまるを探すアライグマの話をしてやるのです」
聞きそびれたか、いいさ今度俺も「聞きたーい!」って言ってみるから。
…
とまぁこのように一日がドタバタ過ぎていくわけだ、とても大変だ… 耳と尻尾が持たないよ。
でもそれ以上に幸せなんだ。
大変なのは一向に構わない、子供たちは楽しそうだし元気に育っている。
「「パパー!」」ってくっついてくるのも幸せだし「「ママー!」」ってくっついてるの見るのも幸せだ、かばんちゃんも嬉しそうだし。
でも夜は俺が「ママー!」ってなります、この時間だけは譲れん。←聞いてない
「ではお前たち、子供たちが寝たので我々は図書館に戻るのです」
「仲がいいのはわかりますが程々にするのです、子供は親の背中を見て育つのです」
「「はい…」」
つまり、俺の「ママー!」は幼い子供には教育に良くないと言ってるのだろう。
確かにうちの双子は男女だし「パパとママのマネ!」とかいって裸で抱き合われたら敵わん、俺たちに似ているのがもっと質が悪い、何か考えねばなるまい。
つーか聞音くなよこの変態フクロウ。
「えへへ、怒られちゃいましたね?」
「ごめんね?かばんちゃんも、朝とか辛いでしょ?」←あと声我慢
「いやぁ僕は… まぁ、ちょっとだけ?」
ん~やっぱり程々にしないとダメかなぁ?
でもとても双子を生んだとは思えない彼女の体を前に俺に対して程々とはどれ程のものを意味しているのか?
いやしかしダメだ。
「わかった、とりあえず今日は我慢するよ」
「できますか?」
「大丈夫だよ、妊娠中ちゃんと我慢できたじゃないか?」
「いえ、安定期に入ったとき一回襲われそうになりました」
「くっ…!」
それを言われると弱るぜ!でもラッキーがアラート鳴らして結局できなかった上に旧パーク組にこってり怒られた、若さ故の過ちというやつだ。
「よし、いいこと考えた… 今夜からまたサンドスターコントロールの修業を始めるからかばんちゃんは先に寝てて?」
「隣にいてはくれないんですか?」
「我慢するのやめた」
「あ、いや… わかりました!じゃあシロさん、おやすみなさい?」
「うん、おやすみなさい」
よし…。←悔しげ
まぁ修業と言っても座禅を組んでサンドスターあっちゃこっちゃ移動して出したり引っ込めたりボール状にしてそれを維持するだけだ、正直もうボール状の物なら一時的にサッカーボールにできるくらいの技術がある、腕も作れたし。
しかし、ボールや腕にできるんだ… ならば。
そぉだぁ(ネットリ)いろんな形にできるようにいろいろ試してみよう。
また武器を手にする事ができるかもしれない。
「あの… シロさん?」
「どうかした?」
「僕、嫌なわけじゃないですから… シロさんに求められるの、嬉しいですよ?」
「…///」
修業は明日からにしよう…。←心の弱さ
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